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番外編 サブストーリー
1話「謎の辻斬りと謎の杖」
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トモヤ達が平和を取り戻してからしばらく経った頃。魔物と人々が暮らす平和な街に、ある厄介な事件が発生したのだった。
「辻斬り事件…ですか…」
帽子を被った少女が眉を顰める。誰であろう、トモヤの仲間のスフレだ。
「そうなのよぉ~。魔物にだけ的を絞った辻斬り事件…言っちゃえば魔物切りねぇ~。」
「困りましたね…魔物達限定とはいえ、平和な街にこんな事件が起こってしまうなんて…」
魔物切り。平和になったこの世界ではもう、魔物達は人間と争う事はほとんど無い。だが、ここ最近、魔物のみを狙って辻斬りを行う面倒な輩が現れたのだ。魔物の肉体は屈強な為か、死亡者はいないのだが、重傷者が何人も出る大問題に発展しているのだ。
「でもぉ、トモヤはトレファちゃんと一緒に東の地に行っちゃったしぃぃ…事件捜査には正直人手不足なのよねぇぇん…」
と、レーバは残念そうにため息をつく。カツァル達Aランク冒険者達も、今は魔物との親睦を深める為に魔王の住んでいた地へと赴いているのだ。
「今動けるのは私とレーバさんだけ…って事ですね。」
「そうねぇぇん。辻斬りは夜に行われてるって聞いたからぁん、とりあえず今夜から見回りに行こうと思ってるんだけど…」
「それなら行きましょう!お友達になった魔物さん達を傷付けさせるなんて許せません!」
つい先日まで対抗していた種族でも、友達になればもう仲間。それがスフレの信条である。
「決まりねぇん。それじゃ、夜にまたここで待ち合わせねぇ。」
「はい!」
…
夕方頃。スフレは夜の見回りに向けての昼寝から目覚め、うーんと伸びをしてから見回りの準備を始めた。顔を洗って口を濯いだ所で、いつもと違う事に気がついた。
「…あれ?これはなんでしょうか?」
ドスッと、無造作に地面に突き刺さった杖が。あまりにも不自然なもんだから、不思議に思ってスフレそれを拾い上げる。
「杖…ですね。私のではありませんね…どうしてここに…?」
────ドクン…
「えっ…?」
それに触れると同時に、スフレは奇妙な感覚に襲われる。何かが身体の中で目覚めたかと思うと、くらくらと意識が朦朧とし出したのだ。
「(こ、これは…?)」
ぐわんぐわんと意識が朦朧とする中で、スフレは不思議な声が耳に入って来るのが聞こえた。
『訂正者の資格を確認。貴方をマスターとして認めます。』
「え、え…?」
その声がブツリと途切れたかと思うと、スフレは突然意識を取り戻した。
「い、今のは…?」
「スフレちゃーん?そろそろ行くわよぉぉん?」
と、外からレーバの声がする。
「あ、は、はい!今行きます!」
スフレは慌てて準備を済ませ、レーバの元へとかけて行った。その際に、謎の杖まで一緒に持って行ってしまった。
「辻斬り事件…ですか…」
帽子を被った少女が眉を顰める。誰であろう、トモヤの仲間のスフレだ。
「そうなのよぉ~。魔物にだけ的を絞った辻斬り事件…言っちゃえば魔物切りねぇ~。」
「困りましたね…魔物達限定とはいえ、平和な街にこんな事件が起こってしまうなんて…」
魔物切り。平和になったこの世界ではもう、魔物達は人間と争う事はほとんど無い。だが、ここ最近、魔物のみを狙って辻斬りを行う面倒な輩が現れたのだ。魔物の肉体は屈強な為か、死亡者はいないのだが、重傷者が何人も出る大問題に発展しているのだ。
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と、レーバは残念そうにため息をつく。カツァル達Aランク冒険者達も、今は魔物との親睦を深める為に魔王の住んでいた地へと赴いているのだ。
「今動けるのは私とレーバさんだけ…って事ですね。」
「そうねぇぇん。辻斬りは夜に行われてるって聞いたからぁん、とりあえず今夜から見回りに行こうと思ってるんだけど…」
「それなら行きましょう!お友達になった魔物さん達を傷付けさせるなんて許せません!」
つい先日まで対抗していた種族でも、友達になればもう仲間。それがスフレの信条である。
「決まりねぇん。それじゃ、夜にまたここで待ち合わせねぇ。」
「はい!」
…
夕方頃。スフレは夜の見回りに向けての昼寝から目覚め、うーんと伸びをしてから見回りの準備を始めた。顔を洗って口を濯いだ所で、いつもと違う事に気がついた。
「…あれ?これはなんでしょうか?」
ドスッと、無造作に地面に突き刺さった杖が。あまりにも不自然なもんだから、不思議に思ってスフレそれを拾い上げる。
「杖…ですね。私のではありませんね…どうしてここに…?」
────ドクン…
「えっ…?」
それに触れると同時に、スフレは奇妙な感覚に襲われる。何かが身体の中で目覚めたかと思うと、くらくらと意識が朦朧とし出したのだ。
「(こ、これは…?)」
ぐわんぐわんと意識が朦朧とする中で、スフレは不思議な声が耳に入って来るのが聞こえた。
『訂正者の資格を確認。貴方をマスターとして認めます。』
「え、え…?」
その声がブツリと途切れたかと思うと、スフレは突然意識を取り戻した。
「い、今のは…?」
「スフレちゃーん?そろそろ行くわよぉぉん?」
と、外からレーバの声がする。
「あ、は、はい!今行きます!」
スフレは慌てて準備を済ませ、レーバの元へとかけて行った。その際に、謎の杖まで一緒に持って行ってしまった。
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