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32話「好敵手」
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「さて、とりあえず自己紹介して貰おうか?まさか理由も無く仲間を襲ったりはしないだろ?」
「良いだろう。俺はトミジマ=ヤマト。世界一の冒険者となる男だ。…その為に、カワベ=トモヤ、お前を殺しに来た!」
「なるほどな。世界一か…ぷっ…」
少年漫画か何かか。トモヤは笑いそうなのを必死に堪えて、ヤマトを見据える。
「お前の言い分は分かった。俺を殺すと言うなら、俺もそれ相応の態度でお前を迎え撃とう。」
トモヤは背中の盾を抜き取り、その力を顕にする。黒のオーラとは合い離れた、薄い青色のオーラが放たれる。ただ、この現象はまだ、仲間達ですら見た事が無かった。
「なんでしょうか…あの煙…」
「私にも分からないわ…」
スフレとトレファが戸惑っていると、カツァルが答えた。
「あれは神器のオーラ…武器と使用者、その両方の意思が合致する事で神器から力が放たれる…それがあのオーラだ…」
「それじゃあ…あの盾は…」
「ああ、恐らく…奴を倒したいと願っているはずだ…」
────
「少しは楽しませてくれよ?トモヤ。」
「お前こそ、せいぜい死なないよう頑張るんだな。」
解き放たれる黒い大剣。その名も、天剣ドゥリンダナ。破壊の女神ディアナが持ち得ていた武器で、黒い炎を刀身に宿している。その斬撃はひと薙ぎで大岩をも砕くと言われ、北の大地ペルディでは邪龍退治に勇者が使った剣とされている。
「小手調べから行くかァ!」
────ゴオオオオオオオオオオオッ!!!
加えて。彼には女神から受け取った力がある。人智を超越した剣技と、圧倒的な力。この力で世界を正せと。ディアナに命令されたあの日から、彼はその力で敵を屠ってきたのだ。今回も、そのつもりだ。
『黒炎斬撃』
────ガギィィィッ!!
剣と盾の応酬。黒炎を纏った斬撃はトモヤの盾へと振り下ろされ、鈍い音を立てて弾かれる。トモヤの反射が発動するが、ヤマトには通じている様子が無い。
「(反射無効か…めんどくせぇ…)」
「どうした?防いでるだけでは勝てねえぞ!」
横凪の一閃。トモヤはそれをしゃがんで躱す。
────ビュン!!
そして、隙が生まれる。…だが、迂闊には攻撃に転じられない。エクスブローを放てば、後ろの町まで消し飛ばしてしまう可能性があるからだ。だからトモヤは前へ進んだ。その技を放つ為に。
『シールドバッシュ』
────ドスッ!
「ぐっ…!?」
それは、単純な物理攻撃。盾で殴り付けるだけの、シンプルな攻撃。だが、ヤマトにはそれが一番応えた。予想外の行動だったからだ。
「盾で攻撃出来ないとでも思ったか?」
「やるじゃねぇか…だが、非力だ!」
────ガイイイイン!
だが。肝心のトモヤの物理攻撃力は、そこら辺の魔法職と大佐無い。同格の敵相手では、せいぜい牽制程度にしか使えない。…だから、トモヤはそこにある罠を仕込んでいた。
「…そんな雑魚い攻撃で俺を倒せると思ったのか?ええ?」
「そうだな。こんな攻撃ではお前は倒せない。」
ポタリ、ポタリ。何かがゆっくりと下に落ちていく。ヤマトは盾をぶつけられた右腕を見ると、盾で擦れて傷が出来たのか、そこから血が流れていた。ヤマトは面倒くさそうに回復魔法を傷口に当てて止血を施した。
「そんなら、全力で殺りに来やがれ。その方が俺も面白い!」
「…上等。それなら、見せてやる。」
────ガシャコン!
盾の装置を動かす。相手が立っているのは街の壁側。トモヤは戦いながらそちら側に行く様に誘導していた。まあ、壁なら最悪吹き飛ばしてしまっても問題無いだろう。
「さァて…俺も殺ってやるかァ!」
────ゴオオッ!!
黒い炎。トモヤが感じたのは、今までに感じたことも無い最凶の攻撃だ。先程セーブしていたのは本当だったのか、先程よりも禍々しく、より強大な炎が天へと登って行く。
「(なんて威力だ…こっちも全力で行かないと駄目だな…!)」
「消えて無くなれッ!!!」
『邪龍爆炎斬』
『巨獣山御霊︰エクスブロー』
────ズズズズズズッ…!
再現されたのは、巨大な山の化身の攻撃。その巨体を震わせる、巨大な山の攻撃。果てしなく大きな、トモヤをも警戒させたその一撃が、ゆっくりと盾から放たれる。
────ゴオオオオオオオオオオオッ!!!
邪龍と巨獣が激突し、凄まじい激震が当たりを包む。恐るべき攻撃。並の人間では到達出来ないAランクの冒険者達ですら、その衝撃に震えていた。巨獣を喰らう炎。炎を食らう大山。実力は互角。どちらが先に力尽きるかの勝負だ。
「行けえええええええっ!!」
「喰らえぇぇぇぇぇっ!!」
────カッ!
その刹那。凄まじい閃光が立ち上り、爆煙があたりを包み込む。
「良いだろう。俺はトミジマ=ヤマト。世界一の冒険者となる男だ。…その為に、カワベ=トモヤ、お前を殺しに来た!」
「なるほどな。世界一か…ぷっ…」
少年漫画か何かか。トモヤは笑いそうなのを必死に堪えて、ヤマトを見据える。
「お前の言い分は分かった。俺を殺すと言うなら、俺もそれ相応の態度でお前を迎え撃とう。」
トモヤは背中の盾を抜き取り、その力を顕にする。黒のオーラとは合い離れた、薄い青色のオーラが放たれる。ただ、この現象はまだ、仲間達ですら見た事が無かった。
「なんでしょうか…あの煙…」
「私にも分からないわ…」
スフレとトレファが戸惑っていると、カツァルが答えた。
「あれは神器のオーラ…武器と使用者、その両方の意思が合致する事で神器から力が放たれる…それがあのオーラだ…」
「それじゃあ…あの盾は…」
「ああ、恐らく…奴を倒したいと願っているはずだ…」
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「少しは楽しませてくれよ?トモヤ。」
「お前こそ、せいぜい死なないよう頑張るんだな。」
解き放たれる黒い大剣。その名も、天剣ドゥリンダナ。破壊の女神ディアナが持ち得ていた武器で、黒い炎を刀身に宿している。その斬撃はひと薙ぎで大岩をも砕くと言われ、北の大地ペルディでは邪龍退治に勇者が使った剣とされている。
「小手調べから行くかァ!」
────ゴオオオオオオオオオオオッ!!!
加えて。彼には女神から受け取った力がある。人智を超越した剣技と、圧倒的な力。この力で世界を正せと。ディアナに命令されたあの日から、彼はその力で敵を屠ってきたのだ。今回も、そのつもりだ。
『黒炎斬撃』
────ガギィィィッ!!
剣と盾の応酬。黒炎を纏った斬撃はトモヤの盾へと振り下ろされ、鈍い音を立てて弾かれる。トモヤの反射が発動するが、ヤマトには通じている様子が無い。
「(反射無効か…めんどくせぇ…)」
「どうした?防いでるだけでは勝てねえぞ!」
横凪の一閃。トモヤはそれをしゃがんで躱す。
────ビュン!!
そして、隙が生まれる。…だが、迂闊には攻撃に転じられない。エクスブローを放てば、後ろの町まで消し飛ばしてしまう可能性があるからだ。だからトモヤは前へ進んだ。その技を放つ為に。
『シールドバッシュ』
────ドスッ!
「ぐっ…!?」
それは、単純な物理攻撃。盾で殴り付けるだけの、シンプルな攻撃。だが、ヤマトにはそれが一番応えた。予想外の行動だったからだ。
「盾で攻撃出来ないとでも思ったか?」
「やるじゃねぇか…だが、非力だ!」
────ガイイイイン!
だが。肝心のトモヤの物理攻撃力は、そこら辺の魔法職と大佐無い。同格の敵相手では、せいぜい牽制程度にしか使えない。…だから、トモヤはそこにある罠を仕込んでいた。
「…そんな雑魚い攻撃で俺を倒せると思ったのか?ええ?」
「そうだな。こんな攻撃ではお前は倒せない。」
ポタリ、ポタリ。何かがゆっくりと下に落ちていく。ヤマトは盾をぶつけられた右腕を見ると、盾で擦れて傷が出来たのか、そこから血が流れていた。ヤマトは面倒くさそうに回復魔法を傷口に当てて止血を施した。
「そんなら、全力で殺りに来やがれ。その方が俺も面白い!」
「…上等。それなら、見せてやる。」
────ガシャコン!
盾の装置を動かす。相手が立っているのは街の壁側。トモヤは戦いながらそちら側に行く様に誘導していた。まあ、壁なら最悪吹き飛ばしてしまっても問題無いだろう。
「さァて…俺も殺ってやるかァ!」
────ゴオオッ!!
黒い炎。トモヤが感じたのは、今までに感じたことも無い最凶の攻撃だ。先程セーブしていたのは本当だったのか、先程よりも禍々しく、より強大な炎が天へと登って行く。
「(なんて威力だ…こっちも全力で行かないと駄目だな…!)」
「消えて無くなれッ!!!」
『邪龍爆炎斬』
『巨獣山御霊︰エクスブロー』
────ズズズズズズッ…!
再現されたのは、巨大な山の化身の攻撃。その巨体を震わせる、巨大な山の攻撃。果てしなく大きな、トモヤをも警戒させたその一撃が、ゆっくりと盾から放たれる。
────ゴオオオオオオオオオオオッ!!!
邪龍と巨獣が激突し、凄まじい激震が当たりを包む。恐るべき攻撃。並の人間では到達出来ないAランクの冒険者達ですら、その衝撃に震えていた。巨獣を喰らう炎。炎を食らう大山。実力は互角。どちらが先に力尽きるかの勝負だ。
「行けえええええええっ!!」
「喰らえぇぇぇぇぇっ!!」
────カッ!
その刹那。凄まじい閃光が立ち上り、爆煙があたりを包み込む。
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