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8話「騎士と守護者の一騎打ち」
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仮面の下から現れたのは、見事なまでのイケメン。透き通るような笑顔に、輝く瞳の明るい碧色。エルフ族特有のツンと尖った耳を小さく生やしている。また、自然にしているだけでも、これでもかと言うほどに綺麗に整えられた顔立ちを強調している。異世界転生してかなりカッコ良くなっていたトモヤも、ちょびっと圧巻される。
「あらあら、男前なのが現れたわね~」
「あはは。よく言われる。でも某はおんn…」
「お待たせしましたー、ウェルカムドリンクで御座います~!アサギ様は、いつものですね!」
元気なウエイトレスさんの声に遮られ、セリフが止まってしまう。アサギの席に差し出されたのは、オレンジジュース。苦いのは苦手で、全く口にした事が無いらしい。
「(あ、オレンジジュースだ。良いな~)」
「それで、騎士団長さんよ、お話ってなんだ?」
「はえ?…あ、ああ。某は国王に頼まれて、貴殿らがこの国を護るのに相応しいかどうかを調べに来たのだ。」
「なるほど、じゃあテストって訳か。それなら全然構わないんだが…一ついいか?」
「うむ。なんだ?」
「一国の勢力にギルドが加担する事は基本的に禁止されているはずだ。なのに何故、依頼して来たんだ?」
「加担が禁止されているのは、私有兵としての使用…つまり他国との戦争時のみだ。某達は現状、国の危機に瀕していると言ってもいい。だからこそ、ギル…ぎるどへと依頼し、貴殿らをここへと招き入れた。」
「…国の危機?どういう事かしら?」
ここまで大きな国だ。まさかBランクの魔物一匹に滅ぼされかける程脆弱では無いと思われるが。
「…察しの通り、我が国は屈強だった。だがある日、Sラン…らんく…相当の魔物が攻め込んで来てな…我々も必死に戦い、魔物を追い返したが、多くの犠牲者が出てしまった…それからは騎士団志願者も減る一方で……」
ズーンと落ち込んでしまうアサギ。思ったより、トラウマとして根付いてしまっているようだ。トレファは同情の色をかるく向けて、静かに黙り込んだ。
「なるほど。事情は分かった。…それで、テストってのは具体的に何をするんだ?」
「…コホン。某と決闘をして貰いたい。それで某を打ち負かせるなら、戦力として認めよう。」
「決闘…って言うと、1VS1の対決か?」
「うむ。誰か一人、某と対決してもらう。誰でも良いが、一人だけだぞ。」
そう言うと、どっかり座り直して三人を見る。まあ、こういう時に誰が出るかと言われれば、間違いなくその人だ。ちらっと、二人の視線がトモヤに向かう。
「…わかった。俺が出よう。」
「決まりだな。では、早速向かうとしよう。」
がたん、と席を立ち上がった所で、アサギはウエイトレスさんに止められる。
「あっ、アサギ様!今日はどうなさいますか?いつも通り、王国にツケておきますか?それとも、後で月払いにしておきますか?」
「えっ!?あっ、あー…ツケで…」
「(セコいな騎士様…)」
────
ツケ払いの騎士と、トモヤが向かい合う。兵舎内の訓練施設で、結構なスペースがある。騎士団長が一騎打ちを行うという事で、兵士達も野次馬気分で兵舎からその様子を伺っている。
「いけー!騎士団長様ー!」
「我らの力を見せちゃって下さい!」
で、建物前で見学してるのが、二人。
「…騒がしいわねぇ…」
「活気があって良いと思いますよ!」
二人とも端からトモヤが負けるなんて思っておらず、単なる催し物気分で見学している様子。
「では始めよう。手加減は無しだぞ。」
「おう、わかってるよ。(…と、その前に様子見…)」
トモヤは隠しスキルのステータス確認を行い、ツケ払いの騎士のステータスを確認する。
名前︰アサギ=イチゴ
職業︰王国騎士
Lv37
HP 398
攻撃 261
防御 89
魔法攻撃 21
魔法防御 74
素早さ 25
運 -125
スキル︰魔法攻撃得意 物理攻撃ニガテ 悪運 防御の心得C+ 商売の天才SSS+
隠れた才能︰ステータス確認+
装備︰サイドサイデルン(大剣) 王国騎士の鎧 楽々の御守り
「(な、なんだこれ…色々おかしいぞ…!?)」
まず名前が違う。ストロベリー=アサギとはなんだったのか。さらにステータスの運。スフレやトレファはもちろん、一般人ですらマイナス3桁は早々いない。某漫画の主人公か!とツッコミたくなったが、さらにおかしいのはその下。なんだよ才能SSSって。もはや異世界転生人レベルである。王国騎士やめて商人やれよと。
「…準備はいいか?守護者。」
「あ、おう!いつでも良いぞ!」
大剣を構える騎士。いくらおちゃらけたステータスしてるとはいえ、攻撃力はそれまでの猛者とも張り合える程だ。トモヤとて油断はできない。
「はあああっ!」
「むっ…!」
────ビュオン!!
「と…!あわわ…!」
「…え?ど、どうしたんだ?」
────ブオン!
「この、ちょこまかと…!」
「いや、ちょっと待て…」
────スカッ!
「ば、馬鹿な…攻撃が当たらん……!?」
「…俺、動いてないぞ…」
んなアホな、と思ったが、本当にトモヤは一歩たりとも動いていない。それどころか、最初に盾を構えただけで、それっきり微動だにしていない。
『隠れた才能︰運気強化 が発案しました』
ここでトモヤの能力、運気強化が発動する。その名の通り、自分の運気を上げる力なのだが、正直トモヤの運はあまり無い。つまり、この能力は何の役にも立たないのだが…
「おりゃー!」
────ビューン!
相手との運の差が100以上ある時、この世界では稀に、「自動回避」が発生する。自動回避は運の差が大きければ大きい程発生しやすい。増してや、相手は元から運気マイナス100。そこまで差があれば、どうなるかと言うと。
「あ、当たらない…」
「卑怯だぞ!回避魔法を使うなんて!」
「それでも守護者か!正々堂々勝負しろー!」
外野からもヤジが飛ぶ。まあ、まさか自分のとこの大将がこんなにノーコンだとは誰も思うまい。
「(俺、なんもしてないけどなぁ…)」
このままでは埒が明かないので、トモヤも自分から仕掛けに行く事にする。とはいえ、『エクスブロー』では誤ってアサギを殺しかねないので、盾を構えてのシールドバッシュ。
────ガギィィィン!
「むむ、やるでは無いか!では某も…!」
「…お…なかなかやるな…」
ぐぐっと、軽くトモヤが押される。流石に、生身だけで勝負すると若干トモヤが不利か。一気に剣を振り抜き、盾から逸れた刃がトモヤの皮膚に直撃する!
────ピキィィィン!
「えっ!?」
「あっ。」
「「えええっ!?」」
皮膚が切られた…にしては甲高い音。自失呆然となるアサギと、呆然と立っているトモヤ。よく見ると、アサギの剣が折れている。くるくるーっと刃が宙を舞い、とすんと地面に突き刺さる。
「そ…某の剣がぁぁぁっ!?」
「あ、悪い。」
「う、ううむぅ…ま、まだだ!勝負はついていない!」
そう言うと、アサギは素手でポカポカ殴り始める。とはいえ、剣で切れないものをどうして拳で砕けようか。トモヤには微塵もダメージは無い。
「…悪いな、一応決闘だし、俺もやらせてもらう。」
「え?」
────ばしーん!
と、盾で一撃。脳天を兜ごとぶっ叩かれ、アサギは気を失ってその場に倒れる。あんまりにもあんまりな結果に王国騎士達は騒然としているが、トモヤは盾を背中に戻して、よっこらせと騎士団長を背負い込む。
「さて、とりあえず合格…かな?」
「そうね。流石トモヤ。やるぅー!」
トレファは近付いて、トモヤの頭をナデナデする。スフレはトレファの行動にびっくりして、急いでトモヤに詰寄る。
「本当に凄いです!あんなに強そうな騎士に勝っちゃうなんて!」
「はは、相手が手加減してくれただけだ。でも、戦力としては認めてくれるだろうな。」
多分手加減はしていないが、一応王国騎士団の面目の為。ひとまず、ツケ払いの騎士様を休ませる為、トモヤ達は一旦兵舎へと向かった。
「あらあら、男前なのが現れたわね~」
「あはは。よく言われる。でも某はおんn…」
「お待たせしましたー、ウェルカムドリンクで御座います~!アサギ様は、いつものですね!」
元気なウエイトレスさんの声に遮られ、セリフが止まってしまう。アサギの席に差し出されたのは、オレンジジュース。苦いのは苦手で、全く口にした事が無いらしい。
「(あ、オレンジジュースだ。良いな~)」
「それで、騎士団長さんよ、お話ってなんだ?」
「はえ?…あ、ああ。某は国王に頼まれて、貴殿らがこの国を護るのに相応しいかどうかを調べに来たのだ。」
「なるほど、じゃあテストって訳か。それなら全然構わないんだが…一ついいか?」
「うむ。なんだ?」
「一国の勢力にギルドが加担する事は基本的に禁止されているはずだ。なのに何故、依頼して来たんだ?」
「加担が禁止されているのは、私有兵としての使用…つまり他国との戦争時のみだ。某達は現状、国の危機に瀕していると言ってもいい。だからこそ、ギル…ぎるどへと依頼し、貴殿らをここへと招き入れた。」
「…国の危機?どういう事かしら?」
ここまで大きな国だ。まさかBランクの魔物一匹に滅ぼされかける程脆弱では無いと思われるが。
「…察しの通り、我が国は屈強だった。だがある日、Sラン…らんく…相当の魔物が攻め込んで来てな…我々も必死に戦い、魔物を追い返したが、多くの犠牲者が出てしまった…それからは騎士団志願者も減る一方で……」
ズーンと落ち込んでしまうアサギ。思ったより、トラウマとして根付いてしまっているようだ。トレファは同情の色をかるく向けて、静かに黙り込んだ。
「なるほど。事情は分かった。…それで、テストってのは具体的に何をするんだ?」
「…コホン。某と決闘をして貰いたい。それで某を打ち負かせるなら、戦力として認めよう。」
「決闘…って言うと、1VS1の対決か?」
「うむ。誰か一人、某と対決してもらう。誰でも良いが、一人だけだぞ。」
そう言うと、どっかり座り直して三人を見る。まあ、こういう時に誰が出るかと言われれば、間違いなくその人だ。ちらっと、二人の視線がトモヤに向かう。
「…わかった。俺が出よう。」
「決まりだな。では、早速向かうとしよう。」
がたん、と席を立ち上がった所で、アサギはウエイトレスさんに止められる。
「あっ、アサギ様!今日はどうなさいますか?いつも通り、王国にツケておきますか?それとも、後で月払いにしておきますか?」
「えっ!?あっ、あー…ツケで…」
「(セコいな騎士様…)」
────
ツケ払いの騎士と、トモヤが向かい合う。兵舎内の訓練施設で、結構なスペースがある。騎士団長が一騎打ちを行うという事で、兵士達も野次馬気分で兵舎からその様子を伺っている。
「いけー!騎士団長様ー!」
「我らの力を見せちゃって下さい!」
で、建物前で見学してるのが、二人。
「…騒がしいわねぇ…」
「活気があって良いと思いますよ!」
二人とも端からトモヤが負けるなんて思っておらず、単なる催し物気分で見学している様子。
「では始めよう。手加減は無しだぞ。」
「おう、わかってるよ。(…と、その前に様子見…)」
トモヤは隠しスキルのステータス確認を行い、ツケ払いの騎士のステータスを確認する。
名前︰アサギ=イチゴ
職業︰王国騎士
Lv37
HP 398
攻撃 261
防御 89
魔法攻撃 21
魔法防御 74
素早さ 25
運 -125
スキル︰魔法攻撃得意 物理攻撃ニガテ 悪運 防御の心得C+ 商売の天才SSS+
隠れた才能︰ステータス確認+
装備︰サイドサイデルン(大剣) 王国騎士の鎧 楽々の御守り
「(な、なんだこれ…色々おかしいぞ…!?)」
まず名前が違う。ストロベリー=アサギとはなんだったのか。さらにステータスの運。スフレやトレファはもちろん、一般人ですらマイナス3桁は早々いない。某漫画の主人公か!とツッコミたくなったが、さらにおかしいのはその下。なんだよ才能SSSって。もはや異世界転生人レベルである。王国騎士やめて商人やれよと。
「…準備はいいか?守護者。」
「あ、おう!いつでも良いぞ!」
大剣を構える騎士。いくらおちゃらけたステータスしてるとはいえ、攻撃力はそれまでの猛者とも張り合える程だ。トモヤとて油断はできない。
「はあああっ!」
「むっ…!」
────ビュオン!!
「と…!あわわ…!」
「…え?ど、どうしたんだ?」
────ブオン!
「この、ちょこまかと…!」
「いや、ちょっと待て…」
────スカッ!
「ば、馬鹿な…攻撃が当たらん……!?」
「…俺、動いてないぞ…」
んなアホな、と思ったが、本当にトモヤは一歩たりとも動いていない。それどころか、最初に盾を構えただけで、それっきり微動だにしていない。
『隠れた才能︰運気強化 が発案しました』
ここでトモヤの能力、運気強化が発動する。その名の通り、自分の運気を上げる力なのだが、正直トモヤの運はあまり無い。つまり、この能力は何の役にも立たないのだが…
「おりゃー!」
────ビューン!
相手との運の差が100以上ある時、この世界では稀に、「自動回避」が発生する。自動回避は運の差が大きければ大きい程発生しやすい。増してや、相手は元から運気マイナス100。そこまで差があれば、どうなるかと言うと。
「あ、当たらない…」
「卑怯だぞ!回避魔法を使うなんて!」
「それでも守護者か!正々堂々勝負しろー!」
外野からもヤジが飛ぶ。まあ、まさか自分のとこの大将がこんなにノーコンだとは誰も思うまい。
「(俺、なんもしてないけどなぁ…)」
このままでは埒が明かないので、トモヤも自分から仕掛けに行く事にする。とはいえ、『エクスブロー』では誤ってアサギを殺しかねないので、盾を構えてのシールドバッシュ。
────ガギィィィン!
「むむ、やるでは無いか!では某も…!」
「…お…なかなかやるな…」
ぐぐっと、軽くトモヤが押される。流石に、生身だけで勝負すると若干トモヤが不利か。一気に剣を振り抜き、盾から逸れた刃がトモヤの皮膚に直撃する!
────ピキィィィン!
「えっ!?」
「あっ。」
「「えええっ!?」」
皮膚が切られた…にしては甲高い音。自失呆然となるアサギと、呆然と立っているトモヤ。よく見ると、アサギの剣が折れている。くるくるーっと刃が宙を舞い、とすんと地面に突き刺さる。
「そ…某の剣がぁぁぁっ!?」
「あ、悪い。」
「う、ううむぅ…ま、まだだ!勝負はついていない!」
そう言うと、アサギは素手でポカポカ殴り始める。とはいえ、剣で切れないものをどうして拳で砕けようか。トモヤには微塵もダメージは無い。
「…悪いな、一応決闘だし、俺もやらせてもらう。」
「え?」
────ばしーん!
と、盾で一撃。脳天を兜ごとぶっ叩かれ、アサギは気を失ってその場に倒れる。あんまりにもあんまりな結果に王国騎士達は騒然としているが、トモヤは盾を背中に戻して、よっこらせと騎士団長を背負い込む。
「さて、とりあえず合格…かな?」
「そうね。流石トモヤ。やるぅー!」
トレファは近付いて、トモヤの頭をナデナデする。スフレはトレファの行動にびっくりして、急いでトモヤに詰寄る。
「本当に凄いです!あんなに強そうな騎士に勝っちゃうなんて!」
「はは、相手が手加減してくれただけだ。でも、戦力としては認めてくれるだろうな。」
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脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
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