なんで俺のこと好きになってくれないの

菊智夕

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「男はみんな行く」

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今日も俺は真琴に仰向けにされた。

「風俗みたいにしてみよっか?」

んー。

俺、凹んだ。

「あのさ、真琴。もうできれば、そんなこと言わないで」

「へ? なんで? 気持ちいいから行くんでしょ?」

「あれは。気持ちいいっていうか。性欲処理だからなぁ。なぁ、雪人」

「そうだな」

「雪人さんも風俗行くの?」

あれ?

何か、俺は行ってて当たり前っぽいな?

「そりゃあ、男だから。男はみんな行く」

「結婚してても?」

「行く奴は行く」

お、これは。

「雪人さんは? 結婚してからも行ったの?」

夫婦喧嘩勃発かぁ?

いいぞー、やれー、やれー、ガンガンやれー。

「いや。つうか、お前と付き合ってから行ってねえ。他の女どころか、1人でもやらねえな」

雪人は言い切った。

ま、そうだよね。

俺もね。

「久弥は?」

「んー」

こういうとき、何で俺は嘘がつけないんだろうって思う。

うっかり黙秘したから、真琴の顔色が変わったような気がした。

俺は飛び起きて、ちゃんと座って、真琴の顔を見て、真剣に言う。

「1回だけ、試しに行った。けど、勃ちもしなかったから、金だけ払って帰ったんだよ」

真琴。

こんなことで俺のこと、嫌いにならないで。

と思ったけど、真琴は全然平気そうだった。

俺もちょっと落ち着く。

「真琴、俺、風俗含め他の女とヤったことないよ?」

あぁあああ。

入れてわからせられるなら、そうしたいぃ。

「なぁ、雪人。風俗のこととか、どう言えばいいの?」

すると、雪人が何やら考えながら話しだした。

「真琴は名器だから。その、すげえ気持ちのいい穴を名器っつうんだが。お前はそれを持ってるから、自信持っていいし、変な技術を覚えなくていいし」

ひでぇな、雪人。

まんこしかねぇみたいな言い方すんな。

「風俗嬢は技術があるから、穴であろうと口や手であろうとイカせてなんぼだ。すっきりはするけど、それだけだ。で、だな」

雪人はそこまで言うと、天井を見て、右手の拳で自分のデコを擦りながら話だした。

「雨宮、や俺は、お前とだけ、愛情のあるセックスをしてぇんだ。そういうのはゆっくり時間かけて、お互いに気持ちよくなるもんだ。そこへ、変な技術持ち込んで、早くイクとかしたくねぇし。んで」

デコ、やめた。

「そいつの場合は特にお前に狂ってるから、お前を汚したりしたくねぇんだろ。嬢みたいになってほしくねえんだろ。お前がまあ、そいつとか、よくしてやりてえんなら、もっと求めるだけでいいんじゃねえか?」

おぉおおお。

さっすが雪人。

「雪人、いいこと言うじゃん」

「まあ、俺は真琴が闇堕ちしても構わねえけど」

クズめ。

「うん」

真琴も納得したっぽい。

「真琴ぉ、こっちおいで」

「うん」

「可愛いなぁ、真琴。今日はなんもしなくていいから。たまには俺の腕枕で寝てくれな?」
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