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3、触れる

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 音のない、静かな夜だった。

 時間はもう深夜1時を過ぎている。
 それなのに、目が冴えていた。

 敦美は「寝室で待っていて」と言われて文字通り寝室で彼がシャワーから戻って来るのをそわそわしながら待っていた。ナチュラルブラウンで統一された部屋の雰囲気はまさに中村っぽかった。

 だからか、妙にそわそわしてしまう。それに緊張しているのか、それともシャワーを浴びたせいか、体が熱い。敦美は熱を冷まそうと、窓辺に立って外を眺めた。
 
 外は月に照らされて、意外にも明るかった。その景色はどことなくひんやりと冷たい。少しだけ窓を開ければ、涼しい風が入ってきた。

「気持ちい……」
「気持ちい?」

 ぎゅっと背後から彼に抱きしめられる。ふわっとシャンプーの香りがして、冷ました熱は再び体を熱くする。

 中村がシャワーから出てきたのだろう。突然の背後からの抱擁は飛び上がるほど驚いた。

「な、中村さっ」

 髪をかき分けられて、うなじにキスされる。それから唇は肌に触れるか触れないかの位置で首筋に移動してきた。それが物凄く神経を敏感にさせる。ついつい彼の唇に全神経が集中してしまう。そんな中、耳元で囁かれる。

「こっち向いて」

 なんて事のない言葉なのに、甘い声音で言われるものだからもうすでに腰が砕けそうだ。敦美が振り向くと同時に、お互いに目が合い、磁石のように唇同士が重なりあう。

 キスだけなのに、体がとろけてしまいそうで、気持ちよかった。

 中村はそっと窓を閉めてカーテンを閉めた。

 少しだけカーテンの隙間から薄暗い寝室を照らすように月明かりが差し込む。それが足元を照らした。

「やっぱりシャツは俺のだと大きいね。……ズボン履いてないんだ」
「あ、シャツだけでいけそうなサイズでしたし、それに、ズボンは大き過ぎて直ぐに脱げちゃうので」
「そっか。なんか……エロいね」

 そう言って中村は敦美の腰へ腕を回す。敦美はぐいっと抱き寄せられて、お互いの体が密着した。下腹のあたりに彼の膨らみが触れている。

 あ……。

 ついつい視線を下に向けた敦美に、中村は顎をクイっと持ち上げた。敦美の顔が上がり、視線がぶつかる。彼から、もう視線を逸らせなかった。トクン、と胸が高鳴る。

 ゆっくりと二人の影が重なった。

 優しく触れるようなキスだった。愛おしさと優しさが、彼の唇から伝わってくる。

 キス、気持ちい……。

 中村は敦美の唇をゆっくりと丁寧に味わうようにんだ。ちゅ、ちゅ、と甘美な音が耳に響く。唇が離れる毎に、吐息が漏れた。

 二人はゆっくりとベッドに移動する。敦美はベッドに横たわり、中村はその上に覆い被さった。

 目があって微笑み合う。敦美は頬を親指の腹で撫でられて、目を細めた。

「中村さんの手、好き……」
「……ありがとう。でも……あんまり煽らないでくれる? 優しく出来なくなる」
「別に煽ってないです……んっ」

 私の唇に触れた彼の唇は熱い吐息を纏っていた。わずかに開いた隙間から舌がゆっくりと入ってきて、私の舌を絡めとる。

「んっ」

 私も彼の舌に応えるように動かせば、舌を吸われた。

「ふあっ……」
「かわいい」

 今度は強引に舌が入ってくる。舌を舐められ絡め取られ、口の中を蹂躙される。まるで知らない生き物が口の中で暴れているような感じだ。

 頬に添えられていた彼の手が胸へ移動してゆき、シャツの上から胸を包むように揉み始めた。

「んぁ……っ」

 形が変形してゆく自分の胸は揉まれるごとにどんどん感覚を研ぎ澄ませてゆき、体がだんだん熱くなる。
 
 彼は指でまさぐるようにシャツの上からブラを少しだけ下げ、ツンと立っているだろう場所を探り当て、指でくにくにと刺激し始める。シャツの上からだからか余計に摩擦を感じ、体がビクビク震えた。

「んん……!」
「敏感なんだね。かわいいよ、敦美」

 急に耳元で囁かれて、息を吹きかけられた。ぶわっと全身に電気が走ったような感覚に襲われて、大きく体が震えた。

「やぁ……耳、ダメ……」
「弱いんだ」

 ゆっくりと噛まれて、舌でなぞるように舐められる。おまけに胸は刺激を与え続けられていてなんだか変になってしまいそうだ。まるで全身が一つの性器みたいで、彼が触れる所触れる所、感じてしまう。自分がこんなにも感じやすかったなんて、思ってもみなかった。

「気持ちいいかい?」
「あっ……」

 低いしっとりとした声が耳を襲うと同時に、空いていた手がするりと股へ。そして秘所に滑ってゆく指にびくりと体が反応して、下着越しに触れられいるにもかかわらず、くちゅり、という音がした。

「もう、こんなにも濡れてるよ」

「あっ……中村さん……待って」
「智紀って呼んで」

「と、智紀……さんっ」
「何だい、敦美……」

 敏感になっている所を撫でるように、執拗に擦る。擦られる毎に体は反応して、甘い吐息が漏れる。耳も、乳首も、秘所も刺激され、快楽の波が一気に押し寄せてきた。

 何この感覚。気持ち、いい……!

「ほら、イッていいよ」
「あっ……やっ……!」

 囁かれた声がより快楽を増す。全身が痙攣するように震え始めて。

「智紀さんっ……! 待っ、あああっ……!!」

 最高潮に達した敦美の体は大きくのけぞった。

「はあ……はあ……」

 くたりと脱力している敦美に、智紀はくすりと笑う。

「まだまだこれからだよ、敦美」
「へ……」

 彼に一体これからどんな事をされるのか。前の彼は早々に挿れてお終い、という感じだったのだが……。久しぶりにするエッチに、敦美は興奮と少しの緊張を感じていた。

 すると、智紀は首筋に唇を落とし、ちゅうと吸い上げた。体が敏感になってしまっているため、首筋を吸われただけで大きく体がびくつく。

「はぁっ……!」

 唇が首筋から鎖骨の方へゆっくりと移動してゆくのと同時に、シャツのボタンがプチ、プチ、と外されてゆく。

 開けた胸元にキスを落とされ、今までよりも強く吸われた。敦美の白い体に赤い花が咲く。

 体にキスされる事がとてつもなく甘くて、痺れる。そんな彼のキスにうっとりしてしまう。まるで自分の体がチョコになったような感じで、このまま熱で溶けてしまいそうだ。

 キスってすごい……。

 ぼんやりとそんな事を考えながら、智紀を見上げた。敦美についた跡を嬉しそうに見つめる智紀の視線に、何だが嬉しさが込み上げてきた。

「智紀さん……唇にキス、して」
「いいよ」

 優しく私の唇に触れた彼の唇。お互いをゆっくりと味わうようにキスをする。

 彼の手がシャツにかかり、敦美はシャツを脱がされた。ブラのホックをパチンと外され、締め付けていた胸が解放されてふわっと揺れた。ブラをするりと取られたら、全身に夜特有のひんやりとした空気が体に触れた。それでも全身は熱い。

 彼も服を脱げば、引き締まった体が露わになった。筋肉なんて全然無さそうだと思っていたのに、ずるい。体までカッコいい。

 彼の指が、唇から頬を通り、首筋、鎖骨、脇から腰にかけてゆっくりと輪郭を確かめるように撫でてゆく。その指は、細くて長かった。壊れものを触るようにその手で優しく触れられるだけで、子宮が疼き、吐息が漏れる。

 頭が真っ白で、何も考えられない。

 薄暗い部屋にカーテンの隙間から差し込んでいる柔らかな月の光は、敦美の裸体を白く際立たせた。

「敦美……綺麗だよ」

 彼の熱い眼差しが全身を這い、そして嬉しそうに微笑む。その笑みに心臓がきゅう、となる。

 彼がゆっくりと頬を撫で、唇に優しいキスが降る。彼の指が、私の柔らかな胸に伸び、直に触れた。撫でるように全体を揉み、柔らかさを堪能しているようだ。

「ん……」

 ゆっくりと揉みしだかれ、じんわり快感に包まれる。

「敦美……乳首、こんなにも立ってるよ……」

「やだ……言わないでください……っ」
「ふふふ……かわいい」

 ツンと立っている敏感な所を親指で転がしつつ、反対の胸にキスをした。急な刺激に体がびくんと飛び跳ねるように反応する。

「あっやんっ」
「気持ちいい?」
「んぁっ……気持ち、いです」

 智紀は敦美の先端を口に含み、ちゅう、ちゅうと吸い上げた。

「あんっ……と、もきさんっ」

 敦美の反応を楽しむように、今度は舌で刺激する。桃色の輪をゆっくりと舐められ、先端を刺激されていないのに感じてしまう。でも、そこだけでは少し物足りない。もっと彼からの刺激が欲しい。

「智紀さん……」
「何だい?」

「あの……舐めて、ください」
「どこを?」

「え、あ……」

 かあああっを頬が熱くなる。自分でこんなこと言うのが恥ずかしい。でも、智紀はそれを良しとしなかった。

「どこを、舐めてほしいの?」
「ち、乳首……を、舐めて、ください」
「よく出来ました」

 輪の周りをしっとり舐めて、つんつんつんと舌を出し入れするように先端を刺激する。口に含んでれろれろと舐め転がされた。

「はあんっ」

 それから智紀は膨らみに沿うように胸を舐め、輪を舐め、最後にぺろりと先端を愛おしそうに、美味しそうに舐めた。それがとても気持ちよくて。

「ああん……っ」

 びくん、と体が大きく震え、予期せず敦美は達っしてしまった。

「はあっはあっ」
「乳首攻められてイッちゃったの? かわいい。……でも、まだイケるよね?」

「ちょっと……ストップ……」
「だめ」

 すると胸の先端を舌で転がしながら、智紀は指を下の方へ滑らせる。愛液でぐしょぐしょになった下着を脱がせ、ぷっくりと膨らんだ所を指で擦った。直後、びりっと体に強い刺激が走り、敦美は股をぎゅっと閉じようよするが、智紀の体に阻まれて閉じれない。

「攻められるの、胸も好きだけど、ここも好き?」

 智紀は胸と下の紅い蕾を刺激してくる。刺激がとてもじゃないが強すぎる。だからだろうか、腰が浮く。

 でも、そこ、気持ちい…っ!!

「はあっやあああんっっ!!」

 刺激により快楽に支配された敦美の体は再び大きく震えた。

「はあっ、はあっ……」

 体をこんなにも刺激されたのは初めてだ。なんだか感じすぎて自分の体ではないような気がするが、それでも、もっと彼を感じたいと思った。

 息も絶え絶えになりながら、敦美は智紀の方を見た。智紀は微笑みながら、上体を起こした。一体次はどこを攻められるのだろう、そんな風に思っていれば。

「あっ」

 ぬっと何かが、花弁をかき分け敦美の中へ入って来た。固い異物のようなものは確かめるように、少しだけゆっくり出し入れされる。一体何が入っているのか気になった敦美は股の方へ視線を向けた。

 指が、入ってる……。

 彼の指がぬるぬると出し入れされていた。

「痛くはないね?」
「はい……」

「じゃあ、もう一本挿れるね」
「えっ?……っあん!」

 にゅっと増えた指の太さに壁が伸ばされて、敦美の体はびくんと反応する。その状態でゆっくり出し入れした後に、奥を探るようにもっと深くに入ってきた。

「んあっ」

 指がくにくにとまさぐる様に動き、段々とそれは早くなる。リズミカルに刺激されて、快楽の波が再び押し寄せてきた。いやらしい水音が部屋に響く。

「すごい音。ねえ、気持ちいい?」
「気持ちっ、はっあっ……!」

 全身が小刻みに震え出し、快感が全身を駆け抜けてゆく。

 ダメ。また、イッちゃう。

「あっ待ってっっっ」
「待たないよ、ほら、もう一回イキなよ」
「ダ、ダメっ……やああああっ!!」

 敦美の体は快楽を体で表すかのように、弓形にのけぞった。

「はぁっはぁっはぁっ……」

 敦美はベッドに全体重を預ける。肺に酸素を沢山入れようと、胸が上下した。目の前がチカチカ光っているような気がする。

「ほら敦美、見て」

 秘所から出した指に、愛液がたっぷり付いていた。指を開いたり閉じたりしたら、指の間を糸が引いた。まるでスライムか何かが付いているみたいだ。

「いらしいね」
「み、見てないで、ティッシュで拭いてください……」
「照れてるの? かわいい……」

「は、恥ずかしいんです……」
「どうして?」

「こ、こんなにも自分の体がいやらしいなんて……やだ……恥ずかしい」

 顔を覆う敦美に、智紀は小さく笑う。手を拭き、そして自身の反り立った肉棒にゴムを着ける。
 
 敦美の顔を覆っている手をそっと退け、優しくキスをした。

「何言ってるんだよ」
「……え?」

「恥ずかしがることはないよ。だって、敦美の体がこんなにも反応してくれるってことは、体全身で俺を感じてくれてるってっことだろ? こんなにも嬉しいことはないから」
「あ、そっか……」

 お互いに視線が絡み合って、キスをする。

「そう。だから、もっと感じて、敦美のかわいい声を聞かせて」

 耳元でそう囁かれ、敦美が吐息を漏らした途端、蜜壷の中へ太くて固い智紀の肉棒が入ってきた。

「ああっ!」

 それは熱くて、ぎゅうぎゅうと壁を押し広げる。でも、それが気持ちいい。

「指でならしたから、多分大丈夫だと思うけど……痛い?」
「……痛くは、ないです。気持ち、いいです」

「そっか、よかった。それじゃあ、一気に奥までいくね」

 重量がどんどん迫ってきて、子宮の入り口をこれでもかというほど押し込まれる。

「はあんっ!」
 
 体が震え、奥まで挿れられただけなのにイッてしまった。

 智紀にキスされ愛撫され、イキやすくなってしまったこの体。これから起こる事を想像しただけで、大丈夫かな、と不安に思った。でも、きっと彼と一緒なら、大丈夫だろう。

 そう思っていたが、思った以上に事は凄かった。

 彼は自分の肉棒を、敦美の中に馴染ませるように、ゆっくり動かす。奥へ当たるごとに、全身を支配するような甘い痺れを感じて、敦美は甘美な声を漏らす。

 馴染んできたら、彼の腰の動きが突き上げるような動きになった。速く、強い。奥をズンズン突かれ、お腹の中が壊れてしまいそうだ。でも、それがとても気持ちいい。

「ふっんっあっ……智紀、さんっ」
「敦美……っ」

 開いた口に舌が入り込んでくる。口の中もお腹の奥もかき混ぜられて、もう感じすぎずにはいられない。全神経に快感が伝わりすぎて、乱れてしまう。本当にどうにかなってしまいそうだ。でも、体全身が彼をもっともっとと求める。

「そんなに、も……締め付けないで」
「あっあんっ、そんな事言われれてもっ……んっ」

 すると物凄く突き上げる速さが速くなった。びりびりと体が快感で痺れる。どこかにしがみついていなければ、意識も体もどこかへ飛んでいきそうだ。彼の体をぎゅうっと抱きしめた。

「あっ待って!待って!待って!んあっ」
「もう、待てない……!」

 苦しそうに、切羽詰まったように呟く彼の声。心臓がぎゅっと掴まれる。

 淫らな音と甘い声が響く中、お互いをお互いが求め合うように抱きしめる。そして、最上級の快感が二人を襲った。

「あっだめっイクッ」
「いいよ。一緒にっ」

「智紀さんっ」
「敦美っ」
 
 ズン、と奥へ一際突き抜けるような動きに、敦美の体は一際大きく震えた。

「敦美……」
「智紀さん……」

 ちゅう、とキスをする。陶酔したように、敦美は智紀をぽーっと眺めた。

「好きだよ」
「はい……。幸せ……」
「俺も……」

 気だるさが体を襲い、ゆっくりと目を閉じて眠りにつこうとした敦美に、智紀はゆっくりと動き始める。じんっと子宮が疼いた。

「あっ……智紀さんっ……。もう、だめですって」
「何言ってるの」

 それからズンズン奥を刺激して、敦美をさらなる快感へと誘う。

「あっやっ……だめっ」
「今夜は眠らせないから、覚悟して」

 びくつく体を肌で感じながら、智紀はもてあそぶように胸の先端を指でいじった。

「はあああああんっ」

 体が大きくのけ反った敦美の胸元に、キスを降らす。
 敦美は気持ち良過ぎて、意識が吹っ飛んだ。
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