魔法騎士団をクビにされたので犯罪者集団に所属して無双しまぁす

ななこ

文字の大きさ
上 下
16 / 33
一章

15、セドリック

しおりを挟む

 気づけば、俺は病院にいた。

『セドリック! 気づいた!?』
『ああ、よかった……。寿命が縮むかと思ったぞ』

 父と母が覗き込んできた。俺はどうやら助かったみたいだ。

 でも、どうやって……? そういえばレオは……?

『レ、オ……レオは!?』

『レオ??』
『レオって何だ?』

 両親は顔を見合わせて首を捻ったが、何か思い当たる節があったのか、『もしかして』と答える。

『傷を負っていた、あのフェンリルのことか?』

『そうだよ、俺のレオ!』
『レオっていうのね。可愛い名前。レオ君、疲れたみたいで寝てるわよ』

『は?』

 両親が体を退ければ、その後ろに丸まって寝ていた。すう、すうと寝息を立てている。見たところ怪我は完全に治っているようだ。

 それにどうやらレオが家まで運んでくれたらしい。俺の姿を見て慌てた両親が病院へ連れてきてくれたようだ。

 俺もレオも生きていた。よかった。本当によかった。

 しかしあのハンターは自分のフェンリルが俺に盗まれた、と魔法騎士団に報告した。そして俺は窃盗罪を背負うことになった。だから家にいたら両親に迷惑をかけるので、俺は家を出ることにしたのだ。

 罪を背負ったとしても、俺は後悔などしていない。

 レオが生きてくれればそれでいいから。

 セドリックは目の前にいるハンターを睨んだ。

「お前にレオの成長を見せてやるよ。なあ、レオ、昔の借りを返してやろうぜ!!」

 セドリックの声に反応するように、レオが真横からハンターに噛み付く。ぎりぎりで短剣で防いだハンターに、セドリックが声を上げた。
 
「第二体型、解・放!!」

 すると青い稲妻がレオを包む。レオの牙や爪がさらに鋭く、筋肉で膨れ上がった体が、ハンターを圧倒する。

「く、くそ!!」

 バキッと短剣を折り、レオは咆哮を上げた。ハンターはバックステップを踏んで、負けじと銃を撃ち鳴らす。銃口から飛び出た銃弾がレオの心臓を狙った。

 しかしレオはその弾を見切って避ける。地面に銃弾がチュンッ、とぶつかり砕けるも、ハンターは狙いを定めて次々と狙い撃った。華麗に避けるレオにはその銃弾はかすりもしない。

「レオ、紺青の稲妻ロイヤルブルー・サンダーボルト!!」

 レオの体を帯電していた電流が、一気に膨れ上がる。バチバチッと轟音ごうおんを響かせたかと思えば、ハンターに稲妻が直撃する。

「うわあああああ!!」

 眩い光が炸裂する。その攻撃は空間でさえも痺れさせ、狙い撃ちされたハンターは丸焦げになって地面に倒れ込んだ。

「う……くそ……!!」

 セドリックはハンターの近くへ歩み寄る。

 ピクピクしているため、死んではいない。これぐらい痛めつけないと、俺とレオの怒りは収まらない。別に復讐したかったわけじゃない。ただ、知って欲しかっただけだ。

 セドリックは冷たい眼差しで見下ろした。

「分かったか。……これが、痛みだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

「異端者だ」と追放された三十路男、実は転生最強【魔術師】!〜魔術の廃れた千年後を、美少女教え子とともにやり直す〜

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
アデル・オルラド、30歳。 彼は、22歳の頃に、前世の記憶を取り戻した。 約1000年前、アデルは『魔術学』の権威ある教授だったのだ。 現代において『魔術』は完全に廃れていた。 『魔術』とは、魔術式や魔術サークルなどを駆使して発動する魔法の一種だ。 血筋が大きく影響する『属性魔法』とは違い、その構造式や紋様を正確に理解していれば、所持魔力がなくとも使うことができる。 そのため1000年前においては、日常生活から戦闘、ものづくりまで広く使われていたのだが…… どういうわけか現代では、学問として指導されることもなくなり、『劣化魔法』『雑用魔法』扱い。 『属性魔法』のみが隆盛を迎えていた。 そんななか、記憶を取り戻したアデルは1000年前の『喪失魔術』を活かして、一度は王立第一魔法学校の教授にまで上り詰める。 しかし、『魔術学』の隆盛を恐れた他の教授の陰謀により、地位を追われ、王都をも追放されてしまったのだ。 「今後、魔術を使えば、お前の知人にも危害が及ぶ」 と脅されて、魔術の使用も禁じられたアデル。 所持魔力は0。 属性魔法をいっさい使えない彼に、なかなか働き口は見つからず、田舎の学校でブラック労働に従事していたが…… 低級ダンジョンに突如として現れた高ランクの魔物・ヒュドラを倒すため、久方ぶりに魔術を使ったところ、人生の歯車が再び動き出した。 かつて研究室生として指導をしていた生徒、リーナ・リナルディが、彼のもとを訪れたのだ。 「ずっと探しておりました、先生」 追放から五年。 成長した彼女は、王立魔法学校の理事にまでなっていた。 そして、彼女は言う。 「先生を連れ戻しに来ました。あなたには再度、王立第一魔法学校の講師になっていただきたいのです」 、と。 こうしてアデルは今度こそ『魔術学』を再興するために、再び魔法学校へと舞い戻る。 次々と成果を上げて成りあがるアデル。 前回彼を追放した『属性魔法』の教授陣は、再びアデルを貶めんと画策するが…… むしろ『魔術学』の有用性と、アデルの実力を世に知らしめることとなるのであった。

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

ギフト【ズッコケ】の軽剣士は「もうウンザリだ」と追放されるが、実はズッコケる度に幸運が舞い込むギフトだった。一方、敵意を向けた者達は秒で

竹井ゴールド
ファンタジー
 軽剣士のギフトは【ズッコケ】だった。  その為、本当にズッコケる。  何もないところや魔物を発見して奇襲する時も。  遂には仲間達からも見放され・・・ 【2023/1/19、出版申請、2/3、慰めメール】 【2023/1/28、24hポイント2万5900pt突破】 【2023/2/3、お気に入り数620突破】 【2023/2/10、出版申請(2回目)、3/9、慰めメール】 【2023/3/4、出版申請(3回目)】 【未完】

処理中です...