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第2部1章 指と異端と癒し手と
061 コスプレ
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俺たちは今、服屋にいる。
目の前には新しい服に着替えたミカとサチさんがいる。
ミカは薄い黄色いワンピース型のドレスを着ている。
ふわりとした生地で腰のところは同じ色で染めたレースの帯のようなもので絞られている。
ふわりとしたスカートは膝丈より少し上の長さで、小柄ながらもすらりとした足が伸びている。
本人は足が太いとか言っていたが、どう見ても太くない。
綺麗な刺繍のほどこされた短靴をはいた彼女のコンセプトはお金持ちのお嬢様の街遊び用スタイルである。
肩まで伸びた髪の毛もきれいに整えられている。
「もう一度上から覗いたらぶつからね」
俺はそう警告されている。
彼女の服装は胸元が大胆にカットされていて、背の高さがある俺が横に並ぶと、大変ドキドキするのだ。
「俺の目は鉄、君の体は磁石。引き付けられるのも……」
言い終わる前につねられた……。俺は吟遊詩人にはなれないようだ。
素直に謝る。
「バカっていいたいとこだけど、あたし、現金な子だから! これくれたから今回は許してあげるっ!」
ミカがニッと笑って右手の薬指を見せる。
宝石がついているわけでもない簡素な銀の指輪が光る。
簡素だが、幾何学模様の彫金に惹かれてペアリングとして買ったのだ。
本当はこっそり買ってびっくりさせる予定だったのだが、うまくいかなかった。
指輪にサイズがあるとか、そんなの習ってない。ゲームの装備で指輪ってあるのは、あれどうなってんだよ?
サゴさんに慰められながら宝飾店を出た俺は帰って、勇気のかなりの部分を消費して、彼女を誘った。BPなんてものがあればその大半を消費しての一撃。これを断られたら、残りすくないBPがマイナスになって、俺は泣きながら逃げ出しただろう。
幸いなことに彼女はにっこり笑って了承してくれた。ただし、プレゼントではなく、プレゼント交換にしようというのが彼女の提案だった。
だから「現金な子」というのはずいぶんと露悪的な表現だ。彼女も照れくさいのかもしれない。
俺がなんかして照れてもらえるというのはなんだか嬉しい。
彼女の笑顔はいつも素敵だが、それでも鎖かたびら着込んでいるときより、今の姿のほうが断然素敵でいつも以上に見とれてしまう。
いつもなら、チュウジがここらへんで
「シカタよ。ズボンの中に暗器を隠すのはやめたらどうなのだ? バレバレであるぞ?」
とか煽ってくるところだが、今回はそれはない。
あいつはあいつでサチさんに見惚れて真っ赤になっているからだ。
サチさんは黒を基調とした落ち着いたこれまたワンピース型のドレスを着ている。
スカートの丈はくるぶしくらいまであるロングスカートで、靴は普段はいているのとは別のショートブーツをはいている。
落ち着いた服装のコンセプトはお手伝いさんだそうだ。こちらは胸元までしっかりと覆い隠されている。
全体的に地味であるが、そんな中でワンポイントとなるのが胸元の銀のネックレスだ。
これがなんとチュウジがプレゼントしたものなのだ。
あいつがこれを買う時、横にいたが、まさか実際に渡すだけの勇気が奴にあるとは思わなかった。
ただ、渡した後も奴の態度はぎこちないままだ。
真っ赤になっているチュウジの肩をたたく。
「おい、ドラ息子よ。お前はもっと偉そうに構えとけよ」
チュウジもまた衣装を変えた。
この街の若者の間で流行っているという左右で柄の違う縞のシャツとこれまた左右で柄の違う縞のズボンを身に着けている。
シャツの右の柄とズボンの左の柄というように対角線上に同じ柄で揃えるのが、この街の裕福な(そしてガラの悪い)少年たちで流行っているらしい。
みんなの前で駄々をこねて買ってもらった黒い立襟のサーコートは脱がせた。
「似合ってる似合ってる! 中2病のお前にはぴったりだ」
褒めてやったのに、チュウジは不満そうである。
「お似合いでございますよ、坊ちゃま。このハゲには私が後で説教をしておきましょう」
白シャツ、黒ズボンに灰色のベストに身をつつんだサゴさんがチュウジを褒める。
ちなみに俺は服は変わらないが、頭を刈り込まれた。
俺の場合、短くしたほうがよりチンピラっぽく見えるという個人的には納得のいかない理由による。
スキンヘッドにするか、せめて頭頂部だけでも剃り上げるようにとサゴさんが訳の分からない説得をしてきたが、これは無視した。
髪型は気に入らないが、ミカが頭を触ってくれるのは嬉しい。坊主頭はどうしてこうも人の手のひらを吸い寄せるものか。
どうしてコスプレめいたことをしているのかというと話は数日前にさかのぼる。
◆◆◆
「異端派の線と売買目的での誘拐の線、この2つを手分けして調べてみよう」
タケイさんの提案に俺たちは乗った。
異端派はそもそも癒し手の存在自体を忌避と言うか嫌っているところがある。
そのようなところに癒し手であるサチさんが関わるのは危ないのではないか。
チュウジがこう主張したので、俺たちは売買目的での誘拐について調べることになった。
「結局のところ、どっちも危ないんじゃないか?」
「十字軍から近年のテロまで宗教というのは人を思わぬ方向に突き動かす力があるのだ。それを相手にするなら金目当ての悪党のほうがまだ対応しやすい」
俺の疑問に答えたチュウジにタケイさんが笑いながら突っ込んだ。
「で、俺たちにその危ない方をやらせるってわけか」
「まぁ、良いじゃん。俺たちのアイドルが危ない目にあうのは……いー、やぁ、だ、し、な。くそっ! まいったっ!」
腕相撲をしていたタケイ隊のジロさんというスキンヘッドの巨漢がミカにねじ伏せられながら言った。
◆◆◆
こんなやりとりから、あるかどうかもわからない闇市等の調査をすることになった俺たちは、情報が集まりやすいように変装(?)することになった。
変装のコンセプトは裕福な家の不良息子とその彼女、そしてお付きの者どもである。
刺激を求める不良のボンボンに悪い誘いがやってくることを期待というわけだ。
「そんなことあるんですかね?」
今一納得がいかない(そして、配役にも納得がいかない)俺はサゴさんに疑問をぶつけた。
「昔、チーマーっていう不良グループが乱立しましてね。この人たち、君らみたいな結構頭の良いとこの坊っちゃんだったんですよ。それが恐喝にはじまり、パーティー券さばいたり、悪い人たちとつるんで薬物売買にも手を出したのもいたんですから。世界が変わっても金持ちのボンボンにつきまとう悪人はいるんじゃないんでしょうかね」
他に良い調査方法も思いつかないので従っている。
不良息子とその彼女はチュウジとミカ。
世話係の女性はサチさん、お目付け役はサゴさん。
俺は護衛をつとめるチンピラ。
「ガラの悪さなら、チュウジだって負けてないだろ! ていうかこいつは呪いの日本人形ですよっ!」
チンピラ役をあてがわれた俺は少し抵抗したが、
「チュウジくんはガラが悪いというより、不気味なんですよ。この中で一番チンピラっぽくなりそうなのはシカタくんですよ」
サゴさんが俺もチュウジも落としてまとめてしまったのだった。
目の前には新しい服に着替えたミカとサチさんがいる。
ミカは薄い黄色いワンピース型のドレスを着ている。
ふわりとした生地で腰のところは同じ色で染めたレースの帯のようなもので絞られている。
ふわりとしたスカートは膝丈より少し上の長さで、小柄ながらもすらりとした足が伸びている。
本人は足が太いとか言っていたが、どう見ても太くない。
綺麗な刺繍のほどこされた短靴をはいた彼女のコンセプトはお金持ちのお嬢様の街遊び用スタイルである。
肩まで伸びた髪の毛もきれいに整えられている。
「もう一度上から覗いたらぶつからね」
俺はそう警告されている。
彼女の服装は胸元が大胆にカットされていて、背の高さがある俺が横に並ぶと、大変ドキドキするのだ。
「俺の目は鉄、君の体は磁石。引き付けられるのも……」
言い終わる前につねられた……。俺は吟遊詩人にはなれないようだ。
素直に謝る。
「バカっていいたいとこだけど、あたし、現金な子だから! これくれたから今回は許してあげるっ!」
ミカがニッと笑って右手の薬指を見せる。
宝石がついているわけでもない簡素な銀の指輪が光る。
簡素だが、幾何学模様の彫金に惹かれてペアリングとして買ったのだ。
本当はこっそり買ってびっくりさせる予定だったのだが、うまくいかなかった。
指輪にサイズがあるとか、そんなの習ってない。ゲームの装備で指輪ってあるのは、あれどうなってんだよ?
サゴさんに慰められながら宝飾店を出た俺は帰って、勇気のかなりの部分を消費して、彼女を誘った。BPなんてものがあればその大半を消費しての一撃。これを断られたら、残りすくないBPがマイナスになって、俺は泣きながら逃げ出しただろう。
幸いなことに彼女はにっこり笑って了承してくれた。ただし、プレゼントではなく、プレゼント交換にしようというのが彼女の提案だった。
だから「現金な子」というのはずいぶんと露悪的な表現だ。彼女も照れくさいのかもしれない。
俺がなんかして照れてもらえるというのはなんだか嬉しい。
彼女の笑顔はいつも素敵だが、それでも鎖かたびら着込んでいるときより、今の姿のほうが断然素敵でいつも以上に見とれてしまう。
いつもなら、チュウジがここらへんで
「シカタよ。ズボンの中に暗器を隠すのはやめたらどうなのだ? バレバレであるぞ?」
とか煽ってくるところだが、今回はそれはない。
あいつはあいつでサチさんに見惚れて真っ赤になっているからだ。
サチさんは黒を基調とした落ち着いたこれまたワンピース型のドレスを着ている。
スカートの丈はくるぶしくらいまであるロングスカートで、靴は普段はいているのとは別のショートブーツをはいている。
落ち着いた服装のコンセプトはお手伝いさんだそうだ。こちらは胸元までしっかりと覆い隠されている。
全体的に地味であるが、そんな中でワンポイントとなるのが胸元の銀のネックレスだ。
これがなんとチュウジがプレゼントしたものなのだ。
あいつがこれを買う時、横にいたが、まさか実際に渡すだけの勇気が奴にあるとは思わなかった。
ただ、渡した後も奴の態度はぎこちないままだ。
真っ赤になっているチュウジの肩をたたく。
「おい、ドラ息子よ。お前はもっと偉そうに構えとけよ」
チュウジもまた衣装を変えた。
この街の若者の間で流行っているという左右で柄の違う縞のシャツとこれまた左右で柄の違う縞のズボンを身に着けている。
シャツの右の柄とズボンの左の柄というように対角線上に同じ柄で揃えるのが、この街の裕福な(そしてガラの悪い)少年たちで流行っているらしい。
みんなの前で駄々をこねて買ってもらった黒い立襟のサーコートは脱がせた。
「似合ってる似合ってる! 中2病のお前にはぴったりだ」
褒めてやったのに、チュウジは不満そうである。
「お似合いでございますよ、坊ちゃま。このハゲには私が後で説教をしておきましょう」
白シャツ、黒ズボンに灰色のベストに身をつつんだサゴさんがチュウジを褒める。
ちなみに俺は服は変わらないが、頭を刈り込まれた。
俺の場合、短くしたほうがよりチンピラっぽく見えるという個人的には納得のいかない理由による。
スキンヘッドにするか、せめて頭頂部だけでも剃り上げるようにとサゴさんが訳の分からない説得をしてきたが、これは無視した。
髪型は気に入らないが、ミカが頭を触ってくれるのは嬉しい。坊主頭はどうしてこうも人の手のひらを吸い寄せるものか。
どうしてコスプレめいたことをしているのかというと話は数日前にさかのぼる。
◆◆◆
「異端派の線と売買目的での誘拐の線、この2つを手分けして調べてみよう」
タケイさんの提案に俺たちは乗った。
異端派はそもそも癒し手の存在自体を忌避と言うか嫌っているところがある。
そのようなところに癒し手であるサチさんが関わるのは危ないのではないか。
チュウジがこう主張したので、俺たちは売買目的での誘拐について調べることになった。
「結局のところ、どっちも危ないんじゃないか?」
「十字軍から近年のテロまで宗教というのは人を思わぬ方向に突き動かす力があるのだ。それを相手にするなら金目当ての悪党のほうがまだ対応しやすい」
俺の疑問に答えたチュウジにタケイさんが笑いながら突っ込んだ。
「で、俺たちにその危ない方をやらせるってわけか」
「まぁ、良いじゃん。俺たちのアイドルが危ない目にあうのは……いー、やぁ、だ、し、な。くそっ! まいったっ!」
腕相撲をしていたタケイ隊のジロさんというスキンヘッドの巨漢がミカにねじ伏せられながら言った。
◆◆◆
こんなやりとりから、あるかどうかもわからない闇市等の調査をすることになった俺たちは、情報が集まりやすいように変装(?)することになった。
変装のコンセプトは裕福な家の不良息子とその彼女、そしてお付きの者どもである。
刺激を求める不良のボンボンに悪い誘いがやってくることを期待というわけだ。
「そんなことあるんですかね?」
今一納得がいかない(そして、配役にも納得がいかない)俺はサゴさんに疑問をぶつけた。
「昔、チーマーっていう不良グループが乱立しましてね。この人たち、君らみたいな結構頭の良いとこの坊っちゃんだったんですよ。それが恐喝にはじまり、パーティー券さばいたり、悪い人たちとつるんで薬物売買にも手を出したのもいたんですから。世界が変わっても金持ちのボンボンにつきまとう悪人はいるんじゃないんでしょうかね」
他に良い調査方法も思いつかないので従っている。
不良息子とその彼女はチュウジとミカ。
世話係の女性はサチさん、お目付け役はサゴさん。
俺は護衛をつとめるチンピラ。
「ガラの悪さなら、チュウジだって負けてないだろ! ていうかこいつは呪いの日本人形ですよっ!」
チンピラ役をあてがわれた俺は少し抵抗したが、
「チュウジくんはガラが悪いというより、不気味なんですよ。この中で一番チンピラっぽくなりそうなのはシカタくんですよ」
サゴさんが俺もチュウジも落としてまとめてしまったのだった。
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