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年齢なんて気にしない
⑥年の差
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ボーリングのあとカラオケ店へ行った。
しかし知っている曲が噛み合わない。
改めて年の差を感じて落ち込む雪。
康介とは14歳も違う。
雪が20歳の時には康介はまだ6歳だ。
雪の青春時代の曲は康介にすれば懐メロになってしまうのかもしれない。
逆に康介の歌も知っているような知らないような曲が多い。
雪は最近ではテレビも見ないし、音楽もあまり聴かなくなっていた。
雪が口ずさむ歌は、やはり自分が10代から20歳前後に流行った曲になってしまう。
最近の歌はあまり知らない。これが年の差か・・・。
次はプラネタリウムを見に行った。
プラネタリウムには雪が小学生の頃、父と母と3人で来たことがあった。
目の前に広がる星々を見ていると、心がとっても落ち着く。
私もこの宇宙のように広い心で生きていければどんなに素晴らしいことか。
まあ宇宙ほどの心の広さを持っている人なんてこの世にはいないが。
そして最後にレストランで食事をして、今は食後のコーヒーを飲んでいる二人。
「雪さん。今日は俺に付き合ってくれてありがとうございました。」
「ううん。私も楽しかったわ。」
「それは良かった。あの~。」
「なに?」
「西田の叔母さんはこの前、雪さんに俺と1回だけデートしてあげてって言ったじゃないですか?」
「うん。」
「今日でほんとに終わりですか?」
康介が切なそうな表情で雪を見た。
「私ね。正直に言うとあなたに少しトキメイたりしたのよ。」
康介の表情がぱっと明るくなった。
「あなた。可愛らしくて。なんかぎゅうって抱きしめたくなるぐらい。」
雪はコーヒーを一口飲んで、
「でもね。やっぱり年の差は埋められないわ。」
雪は淋しそうに言った。
「私には母の真似は出来ない。」
康介は黙って聞いていた。
「今日で会うのは最後にしましょ
う。中谷君。」
雪は席を立った。
テーブルの上に置いてあった会計票を持って行こうとしたら康介がそれを手で抑えた。
「これは俺が。」
小さな声で康介が言った。
「そう。ありがとう。」
雪は一人先に店を出た。
デートなんてするんじゃなかった。
もう若い男は絶対に恋愛対象から外すわ。
一緒にいれば年の差がどうしても出てくる。
ドキドキして心をときめかせれば、その分だけあとが辛くなる。
「可愛かったな。中谷くん。」
私、自分では若いと思っていたけどやっぱりいつの間にかおばさんになってたのね。
「年は取りたくないわねー。」
その時、康介の声がした。
「待って!雪さん!」
雪が振り向くと康介が走って来る。
走って来て雪の真ん前で止まった。
はあはあ、と息をはずませながら。
「中谷くん。」
「雪さん。俺と結婚を前提に付き合って下さい。」
「中谷くん。」
「俺のこと嫌いですか?」
「・・・。」
「雪さん。答えて下さい。」
「・・・。」
「答えて下さい。」
「好きよ。」
「年の差を気にしてるんですね。」
雪は正直に答える。
「うん。」
康介は雪を強く抱きしめた。
「年の差なんて時間が解決してくれますよ。」
「え?」
「ずーっと一緒にいれば時間が解決してくれます。」
「そう・・かな?」
「俺だってそのうちハゲて来るだろうし。」
「それはやだ。」
二人は康介が大学を卒業して就職したら結婚することになった。
しかし知っている曲が噛み合わない。
改めて年の差を感じて落ち込む雪。
康介とは14歳も違う。
雪が20歳の時には康介はまだ6歳だ。
雪の青春時代の曲は康介にすれば懐メロになってしまうのかもしれない。
逆に康介の歌も知っているような知らないような曲が多い。
雪は最近ではテレビも見ないし、音楽もあまり聴かなくなっていた。
雪が口ずさむ歌は、やはり自分が10代から20歳前後に流行った曲になってしまう。
最近の歌はあまり知らない。これが年の差か・・・。
次はプラネタリウムを見に行った。
プラネタリウムには雪が小学生の頃、父と母と3人で来たことがあった。
目の前に広がる星々を見ていると、心がとっても落ち着く。
私もこの宇宙のように広い心で生きていければどんなに素晴らしいことか。
まあ宇宙ほどの心の広さを持っている人なんてこの世にはいないが。
そして最後にレストランで食事をして、今は食後のコーヒーを飲んでいる二人。
「雪さん。今日は俺に付き合ってくれてありがとうございました。」
「ううん。私も楽しかったわ。」
「それは良かった。あの~。」
「なに?」
「西田の叔母さんはこの前、雪さんに俺と1回だけデートしてあげてって言ったじゃないですか?」
「うん。」
「今日でほんとに終わりですか?」
康介が切なそうな表情で雪を見た。
「私ね。正直に言うとあなたに少しトキメイたりしたのよ。」
康介の表情がぱっと明るくなった。
「あなた。可愛らしくて。なんかぎゅうって抱きしめたくなるぐらい。」
雪はコーヒーを一口飲んで、
「でもね。やっぱり年の差は埋められないわ。」
雪は淋しそうに言った。
「私には母の真似は出来ない。」
康介は黙って聞いていた。
「今日で会うのは最後にしましょ
う。中谷君。」
雪は席を立った。
テーブルの上に置いてあった会計票を持って行こうとしたら康介がそれを手で抑えた。
「これは俺が。」
小さな声で康介が言った。
「そう。ありがとう。」
雪は一人先に店を出た。
デートなんてするんじゃなかった。
もう若い男は絶対に恋愛対象から外すわ。
一緒にいれば年の差がどうしても出てくる。
ドキドキして心をときめかせれば、その分だけあとが辛くなる。
「可愛かったな。中谷くん。」
私、自分では若いと思っていたけどやっぱりいつの間にかおばさんになってたのね。
「年は取りたくないわねー。」
その時、康介の声がした。
「待って!雪さん!」
雪が振り向くと康介が走って来る。
走って来て雪の真ん前で止まった。
はあはあ、と息をはずませながら。
「中谷くん。」
「雪さん。俺と結婚を前提に付き合って下さい。」
「中谷くん。」
「俺のこと嫌いですか?」
「・・・。」
「雪さん。答えて下さい。」
「・・・。」
「答えて下さい。」
「好きよ。」
「年の差を気にしてるんですね。」
雪は正直に答える。
「うん。」
康介は雪を強く抱きしめた。
「年の差なんて時間が解決してくれますよ。」
「え?」
「ずーっと一緒にいれば時間が解決してくれます。」
「そう・・かな?」
「俺だってそのうちハゲて来るだろうし。」
「それはやだ。」
二人は康介が大学を卒業して就職したら結婚することになった。
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