《完結》運命の人は運命の人だけではありません

ぜらいす黒糖

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年齢なんて気にしない

③栄子、微妙に揺れる

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4人の男が乗った黒のワンボックスカー。

加賀邸が見える場所に止まっていた。

4人は携帯電話から聞こえる声に集中していた。

『いいか。加賀の表札の家は見つけたか。』

A「はい。」

『その家には35と57の女しかいないから、心配するな。』

A「はい。」

『手順を説明するぞ。よく聞け。』

電話の主の声に耳を傾ける男達は自分の役割を確認して各々返事をした。

「「「了解です。」」」

決行は深夜2時。運転役のAが言った。

「まだ時間はある。飯でも食いにいかないか?」

他の3人も頷いた。

「よし。行こう。」

車は静かに加賀邸から離れて言った。 


夜8時、雪、栄子、中谷の3人は食卓でお茶を飲みながら家族会議を開いていた。

議長役の雪が言った。

「よろしいですか?明日でちょうど1週間です。あしたの夜8時にお二人の気持ちを聞かせて頂きます。いい?」

中谷「はい。覚悟は出来ています。」

栄子「私も。」

雪「では最後に二人で話し合って下さい。話し合いは9時に終了します。はい。スタート。」

雪「じゃあ私は先にお風呂へ行かせてもらうわね。」

俯いている二人を見ながら雪は立ち上がってお風呂へ行った。

雪は湯船に浸かりながら、中谷さん最初はふざけているのかと思ったけど本気みたい。

あーゆう男もこの世の中に一人ぐらいいてもおかしくはないけど。

でもねえ、これが身近で起きると側にいるものとしては迷惑よねえ。

お母さん、どうするつもりなんだろ。

まさかとは思うけど。

OKするんじゃないわよね?

まあしないと思うけど。

「栄子さん。」

「はい。」

「俺の決心は変わりません。でも栄子さんが断るなら俺は諦めます。気にしないで下さい。」

「あのね、最初はあなたのこと迷惑だと思ったの。」

「やっぱり。」

「でもね。この年になっても男性から慕われるのは嬉しいものね。」

「それなら。」

「今はまだいいかもしれない。けど老いは突然やってくるものなのよ。」

「そのときになって後悔しても遅いのよ。私はまだいいわ。心配なのはあなたの方よ。」

「雪の言ったセリフじゃないけど私が病気になったら、あなた、老人の介護をするために結婚したことになるのよ?」

「あなたが気の毒よ、それじゃあ。」



「恐れながら、申し上げます。」

「私、お代官様じゃないんだけど。」

「栄子さん。」

「はい。」

「取り越し苦労は止めにしませんか?」

「え?」

「どうなるか、分からないことをあれこれ心配するのは、止めにしませんか?」

「栄子さん。先をみるのは悪いことじゃないけど、先を見すぎるのも良くないと思います。」

「俺と一緒に今を生きてみませんか?」

目から鱗が落ちるとはこのことかもしれない。

栄子の気持にわずかに変化が起き始めていた。
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