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年齢なんて気にしない
②栄子、ちょっとだけいい気分
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無言のまま、食事をする3人。
雪が、中谷に話しかける。
「中谷さん。」
「はい。」
「お見合いって、然るべき場所で、然るべき時間に、するものなんじゃないんですか?」
「すみませんでした。叔母さんにお見合い写真を見せられて、一目惚れをしてしまい、いても立ってもいられず、来てしまいました。」
「あなた、母の年齢をご存知なんですよね?」
「はい。57歳です。」うっとりと栄子を見つめる中谷。
「中谷さん。私と同じ35歳ですよね?」
「はい。」
「57歳が、あなたの恋愛対象になっているんですか?」
「はい。恋愛に、年齢は関係ありません。俺は真剣です。」
「あのねえ、よーく考えてください。母はもう60前のお婆さんですよ。後10年、15年もすれば、介護が始まるかもしれない。あなた紙おむつをした母の介護ができるんですか?」
雪の言葉を聞いていた栄子のこめかみは、激しくピクピクと引きつっていた。
「雪。ちょっと、それは言い過ぎよ。」
と小さく呟いたが、二人の耳には聞こえなかった。
中谷は、はっきりと答えた。
「喜んで、やらせて頂きます。」
雪はもう何も言えなかった。
「あなたのお気持ちはわかりましたので、今日のところは、もうお引き取り下さい。」
「はい。」
中谷は立ち上がると
「あのう。今日は俺、どこで寝ればいいんですか?」
「はあ?」
雪も立ち上がり中谷を睨む。
「西田の叔母さんから、ここで共同生活を送って、お互いの気持を確認してから結婚を決めなさいって言われてるんですけど。」
雪は栄子の方を見て
「お母さん。叔母さんの電話番号教えて。私が文句言ってやるから。」
中谷はしょんぼりしながら
「あの、俺帰ります。突然お邪魔した俺が悪かったです。ごめんなさい。」深々と頭を下げた。
「待って下さい。」
栄子が声をかける。
「今日はもう遅いから泊まっていって下さい。中谷さん。」
栄子の言葉に感激している中谷は
「ほんとによろしいのですか?」
と雪の顔をチラチラとみながら伺いを立てる。
「ね?雪。いいでしょ?泊めてあげても。」
「好きにすれば。」
雪はぷいっとそっけなく言うとニ階へ上がっていった。
「気にしないで下さい。雪はとっても良い子なんです。私を心配しているだけですから。」
「いえ。気にしていません。俺は。大丈夫です。栄子さん。」
「あのね中谷さん。あなたの気持ちは嬉しけどこの話は所詮無理な話よ?」
黙っている中谷。
「だから私のことは諦めて下さい。」
栄子は一度言ってみたかったセリフを言ってみた。
中谷は
「栄子さん。俺をしばらくここに置いてください。そして一緒に暮らしていればお互いの性格も分かるし、俺のことももっと知ってもらいたい。だめですか?」
栄子を見つめる中谷。
栄子は中谷の熱意に押されて
「分かったわ。一週間だけね。一週間後二人の考えが一致しなかったらこの話はなかったことにしてくれない?」
中谷は栄子の手を握り「分かりました。」と答えた。
主人以外に手を握られたことのなかった栄子は、いきなり手を握るなんて反則よと思いながら中谷に言った。
「手を離して下さる?」
このセリフも栄子が一度言ってみたかったセリフであった。
雪が、中谷に話しかける。
「中谷さん。」
「はい。」
「お見合いって、然るべき場所で、然るべき時間に、するものなんじゃないんですか?」
「すみませんでした。叔母さんにお見合い写真を見せられて、一目惚れをしてしまい、いても立ってもいられず、来てしまいました。」
「あなた、母の年齢をご存知なんですよね?」
「はい。57歳です。」うっとりと栄子を見つめる中谷。
「中谷さん。私と同じ35歳ですよね?」
「はい。」
「57歳が、あなたの恋愛対象になっているんですか?」
「はい。恋愛に、年齢は関係ありません。俺は真剣です。」
「あのねえ、よーく考えてください。母はもう60前のお婆さんですよ。後10年、15年もすれば、介護が始まるかもしれない。あなた紙おむつをした母の介護ができるんですか?」
雪の言葉を聞いていた栄子のこめかみは、激しくピクピクと引きつっていた。
「雪。ちょっと、それは言い過ぎよ。」
と小さく呟いたが、二人の耳には聞こえなかった。
中谷は、はっきりと答えた。
「喜んで、やらせて頂きます。」
雪はもう何も言えなかった。
「あなたのお気持ちはわかりましたので、今日のところは、もうお引き取り下さい。」
「はい。」
中谷は立ち上がると
「あのう。今日は俺、どこで寝ればいいんですか?」
「はあ?」
雪も立ち上がり中谷を睨む。
「西田の叔母さんから、ここで共同生活を送って、お互いの気持を確認してから結婚を決めなさいって言われてるんですけど。」
雪は栄子の方を見て
「お母さん。叔母さんの電話番号教えて。私が文句言ってやるから。」
中谷はしょんぼりしながら
「あの、俺帰ります。突然お邪魔した俺が悪かったです。ごめんなさい。」深々と頭を下げた。
「待って下さい。」
栄子が声をかける。
「今日はもう遅いから泊まっていって下さい。中谷さん。」
栄子の言葉に感激している中谷は
「ほんとによろしいのですか?」
と雪の顔をチラチラとみながら伺いを立てる。
「ね?雪。いいでしょ?泊めてあげても。」
「好きにすれば。」
雪はぷいっとそっけなく言うとニ階へ上がっていった。
「気にしないで下さい。雪はとっても良い子なんです。私を心配しているだけですから。」
「いえ。気にしていません。俺は。大丈夫です。栄子さん。」
「あのね中谷さん。あなたの気持ちは嬉しけどこの話は所詮無理な話よ?」
黙っている中谷。
「だから私のことは諦めて下さい。」
栄子は一度言ってみたかったセリフを言ってみた。
中谷は
「栄子さん。俺をしばらくここに置いてください。そして一緒に暮らしていればお互いの性格も分かるし、俺のことももっと知ってもらいたい。だめですか?」
栄子を見つめる中谷。
栄子は中谷の熱意に押されて
「分かったわ。一週間だけね。一週間後二人の考えが一致しなかったらこの話はなかったことにしてくれない?」
中谷は栄子の手を握り「分かりました。」と答えた。
主人以外に手を握られたことのなかった栄子は、いきなり手を握るなんて反則よと思いながら中谷に言った。
「手を離して下さる?」
このセリフも栄子が一度言ってみたかったセリフであった。
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