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①1️⃣【時田佳奈】(33歳)

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天界の事務室
天使「神様ご報告があります。」
神様「何じゃ?天ちゃん。」
天使「もう、とっくの昔に結婚しているはずの女性がまだ独身なのです。」
神様「ほー。天ちゃん、お主ミスったな?」
天使「(ギクッ)え、えーそんなことはないと思うのですが。」
神様「運命の出逢いは用意したのであろうな?」
天使「はい。もちろんです。」
神様「で?何歳で仕掛けたのじゃ?」
天使「ゼロ歳です。」
神様「!」
天使「産院のベッドで隣合わせになるようにしました。」
神様「天ちゃん。早すぎる。それ、早すぎ。」
天使「ですよねー。それで次は幼稚園も同じにしてみました。」
神様「で?次は小学校か?でその次は中学校か?」
天使「そーです。そーです。」
神様「もう、よい。で大学出て就職した会社も同じ・・・なんじゃろ?」
天使「はい。なのに全然気付かないのです。時田佳奈は!」
神様「天ちゃん、それは佳奈ちゃんは気付かんぞ。」
天使「佳奈ちゃん?あの、何故ですか?」
神様「それじゃあ、ただの幼馴染じゃ、腐れ縁じゃ。」
天使「まーそー言う見方もありますね。紙一重、なんてね。ほんの少し見方を変えてくれれば、また違ったんですけど。」
神様「天ちゃん、評論家みたいな事言っとらんで、しっかりせい。」
天使「すみません。で?どうしましょう。これから。」
神様「天ちゃん。今から神の力を見せてあげるから、よーく見ておくのじゃ。」


社員食堂
「ねぇ、聞いた?時田先輩の事。」
「聞いた、聞いた。お見合い、また失敗だったんでしょ?」
「そーなの。相手の方から断って来たらしいよ。」
「まーあの年じゃねー。」

 食堂の入口で立ち止まっていた、時田佳奈は踵を返し屋上へ向かった。

 お弁当を食べながら、「何よ。いいじゃない。独身でも。結婚が何よ。」
 口の中の玉子焼きを噛むのをやめた瞬間、涙が込み上げて来た。お茶を飲み気分を落ち着かせようとしたが駄目だった。涙がボロボロ落ちて来た。
「なんで私にはいい人が出来ないの?」時田佳奈は空を見上げ一言「神様の意地悪!」

天使「神様?大丈夫ですか?気を付けて下さい。」
そこにはズッコケている神様がいた。
神様「わし、意地悪じゃないもん。」



「佳奈ちゃん。」野太い声がして声のした方へ振り向くと「屋上で食ってんのか?今日は天気がいいからな。」と山崎健吾が言った。
無言の時田佳奈。
「泣いていたのか?」
「・・・」
「誰かに何か言われたのか?」
「・・・」
「俺が文句言ってやる。誰に言われた?言ってみな。」
「もう、ほっといて・・・」
「佳奈ちゃん」
「佳奈ちゃんなんて呼ばないで。もう子供じゃないんだから。」 
「佳奈ちゃん・・・」
「呼ばないでって言ってっ・・ーーーーーーー」
時田佳奈が倒れた。 

「佳奈ちゃん、おい!佳奈ちゃん。」

 山崎健吾の声が時田佳奈には聞こえなかった。













    
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