《完結》王太子妃、毒薬飲まされ人生変わりました。

ぜらちん黒糖

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第七章 

63 イジメの黒幕

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 ハンス・シュミットはシュミット男爵家の嫡男で兄弟はいない。

父上や母上には黙っていたが、ハンスはずっと前からいじめを受けていた。

体はいつもアザだらけであった。

いじめっ子たちは顔を絶対に殴ったりはしない。

顔を傷つけるとイジメがバレるからだ。

クラスメイトの中で、助けてくれるのはいつもヘレンだけだった。

しかしイジメっ子たちは、ヘレンのいない時を狙って、イジメるようになっていた。

ハンスは、イジメに耐えかねて死ぬことを考えていた。

そんな時、学校の図書館で黒魔術の解説書を見つけた。

悪魔の召喚術が載っていた。

ハンスはその本の通りに悪魔の召喚をしてみた。

悪魔の姿はハンスには見えなかったが、存在は感じることが出来た。

ハンスから悩みを聞いた悪魔は、取引をしようと持ちかけてきた。

お前を助けてやる代わりに私の条件を飲めと・・・悪魔の条件は一つ。

ハンスの体に憑依させること、それが条件だった。

ハンスは悪魔との取引に応じた。

ハンスは、悪魔に憑依されると、自分が残忍で冷酷な人間に変わっていくのではないかと、心配していたが、そんなことにはならなかった。

常に頭の片隅に、悪魔の存在を感じてはいるが、何も今までとは変わらなかった。

中等部に進級したその日に、早速ハンスはイジメっ子に呼び出された。

「よう、ハンス」

「なんだい、ジェイク」

「お前今朝、トムス様の邪魔をしたらしいな」

「何のことを言ってるの?」

「しらばっくれやがって」

ジェイクがハンスのお腹にパンチを入れた。

「うっ」

お腹を抑えてうずくまるハンス。

「お前はいつもヘレン様の周りをうろちょろしやがって、鬱陶しいんだよ!」

そう言ってセドリックがハンスの足を踏んだ。

「痛い!」

次に背中をマルフォイに蹴られて、前のめりにハンスは倒れた。

その瞬間、ハンスの意識が飛んだ。

うつ伏せに倒れたハンスが、ゆっくりと立ち上がった。

「おい、ジェイク」

イジメっ子3人が顔を見合わせて笑った。

マルフォイが言った。

「ジェイク、お前、ハンスに呼び捨てにされたぞ」

セドリックも笑って、ジェイクに声をかける。

「うける~」

ハンスが続けて話す。

「黙れマルフォイ、セドリック、 私はジェイクに尋ねている」

3人がハンスを睨みつける。しかしハンスは全く怯まない。

「ジェイク、お前は今、私がトムスの邪魔をしたと言ったな?」

「あ、ああ」

「お前は今朝、その場にいなかっただろう?誰から聞いたんだ?」

「はあ?知らねえよそんなこと、知っててもお前に言うわけないだろう?」

ハンスはジェイクの顔面を鷲掴みにすると、 ヒョイっと横にぶん投げた。

呆然としているマルフォイの顔を右手で鷲掴みにして、セドリックの顔を左手で鷲掴みにして、次々にぶん投げた。  

ジェイクの前に立つハンス。

「おい、お前たちが私に意地悪をするのは誰かの命令だったのか?」

黙るジェイク。

ハンスはもう一度、ジェイクの顔面を鷲掴みにして、投げようとした瞬間、ジェイクが言った。

「トムス様だ」

「え?」

「トムス王太子に言われた。ヘレン様の近くをうろつかせるなって」

ハンスに憑依したバロンがニヤリと笑った。

「へー、トムスか・・・お前たちの後ろにトムス王太子がいたのか・・・」

3人はその場を立ち去り、走って逃げて行った。

ハンスは逃げていく3人に手をかざして、何やら呪文を唱えて魔法をかけた。




翌日、朝

ヘレンとハンスが並んで校舎に向かって歩いていると、後ろから挨拶をされた。

「おはよう、ヘレン様、ハンス」

ヘレンとハンスも挨拶を返した。

「おはよう、ジェイク」

すると、マルフォイとセドリックもジェイクと同じように挨拶をする。

「おはよう、ヘレン様、ハンス」

また同じようにヘレンとハンスも挨拶をした。

「おはよう、マルフォイ、セドリック」

ヘレンがびっくりして、ハンスに話しかけた。

「どうしちゃったの?あの3人。急に礼儀正しくなっちゃって」

その時、もう一人、声をかけてきた。

「ごきげんよう、ヘレン公爵令嬢」

2人が振り向くと、爽やかな笑顔を振りまく、トムス王太子が立っていた。







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