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第三章
㉙異世界への旅立ちとマリーの決断
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空井戸の前に並んでいるウイリアム、トムス、ローズの3人はすっかり冒険者の格好になっていた。
各自、腰には刀を差して、背中には弓矢の矢が入った筒を背負っている。小さな弓もぶら下げて。
ウイリアムがゼオドアに命令する。
「私達が異世界に行っても、すぐにはトンネルを埋めないでくれ」
「こちらから穴を塞ぐのは、異世界側から完全に穴が閉じられた時だ。わかったな?」
「はい、お祖父様」
「マラオとダスティン、モアは一緒に来て、私達が異世界へ行ったら扉をしっかりと閉めてくれ、いいな」
「はっ」
異世界への扉の前に来た6人。
そっと扉を開けて、外の様子を伺うウイリアム。
暫く耳を澄まして
「まずは私が行く」
外へ出て行くウイリアム。
すぐに戻って来てトムスとローズを外に連れ出した。
「マラオ、後は頼んだぞ!」
「はっ、どうか、ご無事で」
扉がしまった。マラオはすぐには扉に鍵をしなかった。
半日ほどその場に待機をしたが誰も戻って来ない。
暫くして、ようやく扉に鍵をして、しっかりと閉めた。
「さあ、戻ろうか」
マラオとダスティン、モアは引き上げて行った。
それからマラオは毎日ここへ来て扉を確認しに来ていた。
5日目、マラオが扉を開けてみると完全に出口が塞がれていた。
その後、空井戸側からのトンネルも完全に埋められた。
そして時は流れて、ウイリアムとトムス、そしてローズが異世界へ旅立ってから20年が経っていた。
マリーは今日が誕生日で65歳になった。
マリーはヘレンの後をついで校長先生の役職を受け継いでいたが、その役職を今日、後輩の教師に譲った。
校長室のソファには20代半ばくらいの女性が座っている。
その女性は足を組んでコーヒーを飲んでいた。
マリーは机に置いた小さな小瓶を眺めている。
20年前、ウイリアム・ハリー元公爵から頂いた若返りの薬だ。
これを飲もうか、飲むまいか迷っていた。
飲めば20歳に戻ることが出来る。
ソファに座っていた女性がコーヒーカップをテーブルの上に置いて、マリーに話し掛ける。
「マリー、どうするの?飲むの?飲まないの?」
「・・・」
女性はコーヒーを飲み干すと、コーヒーカップをテーブルに置いて立ち上がり、マリーの机の前に立った。
「どうするの?」
マリーはこの若返りの薬をもらった時、65歳までは飲むのを我慢しようと決めていた。
そしてその65歳になってしまった。
若返り薬は、出来るだけ年をとってから飲むほうが、お得な気もするが、精神まで若返る訳じゃない。
いくら体が若返っても精神が老いていると何でもわかった気になって楽しくないように思う。
65歳の今でさえ精神が老いていると感じるのに。
決意を固めたマリーは女性に返事をする。
女性の顔をしっかりと見ながら・・・。
「この薬、飲みます」
「ヘレン様」
各自、腰には刀を差して、背中には弓矢の矢が入った筒を背負っている。小さな弓もぶら下げて。
ウイリアムがゼオドアに命令する。
「私達が異世界に行っても、すぐにはトンネルを埋めないでくれ」
「こちらから穴を塞ぐのは、異世界側から完全に穴が閉じられた時だ。わかったな?」
「はい、お祖父様」
「マラオとダスティン、モアは一緒に来て、私達が異世界へ行ったら扉をしっかりと閉めてくれ、いいな」
「はっ」
異世界への扉の前に来た6人。
そっと扉を開けて、外の様子を伺うウイリアム。
暫く耳を澄まして
「まずは私が行く」
外へ出て行くウイリアム。
すぐに戻って来てトムスとローズを外に連れ出した。
「マラオ、後は頼んだぞ!」
「はっ、どうか、ご無事で」
扉がしまった。マラオはすぐには扉に鍵をしなかった。
半日ほどその場に待機をしたが誰も戻って来ない。
暫くして、ようやく扉に鍵をして、しっかりと閉めた。
「さあ、戻ろうか」
マラオとダスティン、モアは引き上げて行った。
それからマラオは毎日ここへ来て扉を確認しに来ていた。
5日目、マラオが扉を開けてみると完全に出口が塞がれていた。
その後、空井戸側からのトンネルも完全に埋められた。
そして時は流れて、ウイリアムとトムス、そしてローズが異世界へ旅立ってから20年が経っていた。
マリーは今日が誕生日で65歳になった。
マリーはヘレンの後をついで校長先生の役職を受け継いでいたが、その役職を今日、後輩の教師に譲った。
校長室のソファには20代半ばくらいの女性が座っている。
その女性は足を組んでコーヒーを飲んでいた。
マリーは机に置いた小さな小瓶を眺めている。
20年前、ウイリアム・ハリー元公爵から頂いた若返りの薬だ。
これを飲もうか、飲むまいか迷っていた。
飲めば20歳に戻ることが出来る。
ソファに座っていた女性がコーヒーカップをテーブルの上に置いて、マリーに話し掛ける。
「マリー、どうするの?飲むの?飲まないの?」
「・・・」
女性はコーヒーを飲み干すと、コーヒーカップをテーブルに置いて立ち上がり、マリーの机の前に立った。
「どうするの?」
マリーはこの若返りの薬をもらった時、65歳までは飲むのを我慢しようと決めていた。
そしてその65歳になってしまった。
若返り薬は、出来るだけ年をとってから飲むほうが、お得な気もするが、精神まで若返る訳じゃない。
いくら体が若返っても精神が老いていると何でもわかった気になって楽しくないように思う。
65歳の今でさえ精神が老いていると感じるのに。
決意を固めたマリーは女性に返事をする。
女性の顔をしっかりと見ながら・・・。
「この薬、飲みます」
「ヘレン様」
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