《完結》王太子妃、毒薬飲まされ人生変わりました。

ぜらちん黒糖

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第三章

㉔ヘレンとマリーに別れの挨拶

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 外はもう真っ暗になっていた。

 校長室では、ヘレンとマリーがソファに座ってくつろいでいた。

「校長先生」

「何?」

「あのう、今度、各学年の先生方を呼んで飲み会でもやりませんか?」

「飲み会か・・・いいわね。でも、強制参加は駄目よマリー」

「はい、それはもちろんです」

「それでですね、そのときに、マラオ様たちをお呼びしてよろしいでしょうか?」

「マラオ?ゼオドア様の?どうして?」

「いえ、まあ、そのー、・・・」

「マリーはマラオが気にいったの?」

「いえ、その、なんて言うか、男女がどうのこうのではなく、ただ気が合うと言うか」

「この前、マラオたちと朝まで飲んだ時は楽しかったわね」

「はい、本当に楽しかったです」

「マリーはマラオと飲みたくて、飲み会を開こうって言ったの?」

「・・・」

「いいわよ、誘っても」

 コンコン

 ドアが開いてウイリアム・ハリー公爵が入って来た。

「あ、お父様」

 ヘレンが立ち上がった。

「ハリー公爵様」

 と言ってマリーも慌てて立ち上がる。

「ヘレン、マリー。久しぶりだな、元気にしていたか?」

「はい、お父様もお元気そうで」

「ヘレン、今日は別れの挨拶に来た」

「え?」

 公爵は二人の目の前でエルフの姿にもどる。

 呆然とするヘレンとマリー。

「ヘレン、これがウイリアム・ハリー公爵の真の姿だ。私はエルフなんだ。」


 3人はソファにテーブルを囲むように座った。

 父ウイリアムから、事の経緯を聞いたヘレンとマリーは、驚きながらも信じずにはいられなかった。

「そこでだヘレン、私がこの世界に来た理由と、お前の母ナザリーと私が結婚したところまでは、わかってくれたな?異世界のことも」

「はい、お父様」

「よし、それから私は爵位を孫のゼオドアに継承した。国王陛下にも了承して頂いておる。だからハリー公爵はゼオドアで私ではない」

「お父様はこれからどうなさるおつもりなのですか?」

「私はエルフの里に戻るつもりだ」

「それではもう会えなくなるのですね?淋しくなりますね」

「ああ、ほんとにな。いつでも会えると思えば、会わなくとも気にならないのだろうが、もう二度と会えなくなると思うと淋しくなるものだな」

 マリーが口を挟む。

「あのう旦那様、こちらの世界へ来られて、それでまたあちらの世界へもどられるのですよね?だったらいつでも行き来出来るのではありませんか?」

「マリー、それが出来なくなるのだよ」

「え?」

「こちらの世界と向こうの世界を繋いでいる穴を塞ぐつもりだからだ。」

「向こうの世界に出たところにはダンジョンがあって地下には無数の魔物が住んでおる。」

「そいつらが万が一、イレギュラーか何かで地上に出て来て一匹でもこちらの世界へ迷い出てくれば、間違いなくこの世界は滅ぼされてしまうだろう」

「だから屋敷の裏庭の空井戸から異世界へ続くあの横穴を塞がないといけないのだ」

「特にあちら側の出入り口はしっかりと塞がないと。この先に、トンネルがあるなどと言う痕跡は残したくないのだ」

「ヘレン、お前には悪い事をしたと思っている」

「・・・」

「お前が戻ってきた時、縁談をまとめようとしてすまなかった。」

「お前の気持ちを考えていなかった。私は少し焦っていたのだ」

「ナザリーと父上のためにもこの家をつぶす訳にはいかないと」

「・・お父様」

「マリー、お前には感謝しかない」

「え?」

「ずっとヘレンの側にいてくれてありがとう」

 マリーは思いもしない言葉に目が潤んだ。

「ヘレン、お前には半分エルフの血が流れている。だから長生きすると思うぞ」

「あの・・お父様?私はどれくらい生きることになるのでしょうか?」

「ハーフエルフの場合は100歳から200歳位かな?私にもよくわからん。健康に気をつけていれば200歳以上は行きられるかもしれん」

「それからマリーに渡す物がある」

 ウイリアムは小さな小瓶をマリーに渡たす。

「若返りの薬だ。飲めば20歳に戻れる。100歳で飲んでも20歳。21歳で飲んでも20歳。まあ出来るだけ遅く飲むほうがいいかもな」

 ウイリアムは立ち上がると

「さてと、そろそろ、行くとするか」

 ヘレンとマリーも立ち上がりヘレンは

「あのう、お父様、泊まって行けばいかがですか?」

「いや、帰るよ。次はローズに会いに行かなければいかんのでな」

 次の瞬間ウイリアムの姿はエルフから人間に戻っていた。

「出発は2、3日後になる。ではな」

 そう言うと父ウイリアムは校長室から出て行った。




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