桜咲く社で

鳳仙花。

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第一章

第三十二話 襲撃と麒麟

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 「あれ、十六夜様だけですか?」
「わしだけじゃ不満か、薫」
居間に行くと、十六夜が畳で寝っ転がっていた。
「いえ…不満とかじゃなくて、史さん達はどこへ…」
「台所じゃよ。茶をれるから居間で待ってろと言われたんじゃ」
「…そうですか」
(茶を淹れるのに三人も要らないか)
薫子は手伝いに行こうかと思ったが、逆に邪魔になりそうだったので十六夜と共に待つことにする。座布団を人数分用意すると、十六夜はごろごろと転がって座布団を枕にし始めた。
 (子供のようだ)
薫子はまだ幼い弟の藤助ふじすけを思い出す。先ほど家族から文が届いたので中を確認したら、昨日藤助と長男の菊太が村の男の子たちと相撲をやって遊んでいたと書かれていた。十六夜は薫子の中で、その小僧どもとたまに同じに見える。
 「……時に薫子よ」
「はい」
失礼なことも考えていると、十六夜が薫子の方に寝返りを打った。
「お主、いつの間に蛇歌と知りおうた」
「蛇歌様……蛇歌ねえさんとは以前、茜鶴覇様と北玄ぺィシュアンへ行ったときにお会いしました」
薫子は蛇歌に様をつけるなと言われたことを思い出して訂正する。十六夜はむくりと起き上がった。
「奴は、蛇歌以外になんと名乗った?」
不思議な質問をする十六夜に、薫子はくびをかしげつつ「蛇歌、としか聞いていません」と正直に答える。勿論茜鶴覇も蛇歌としか呼んでいない。
「そうか…」
十六夜は目を伏せ、含みのある反応を返した。どこか引っかかる。
(もしかして、本当は蛇歌という名前じゃないのか?)
薫子は疑問が浮かび上がり、口に出した。
「蛇歌さ……蛇歌姐さんには、別の名前があるのですか?」
そう言うと、十六夜は沈黙ちんもくする。その様子は肯定と捉えて良さそうだった。
「……言えない事情が御有りのようですね」
薫子は出過ぎた真似をしたと反省し、「申し訳ありません」と一言謝罪する。いくら史の言う通り天界の関係者になったとしても、踏み入れてはならない領域はあるはずだ。
 薫子が黙ると、十六夜は目を閉じて深いため息を吐く。
「…いや、わしに奴の名を口に出来ぬ理由は無い」
憂いを帯びた声音でそう言うと、十六夜は視線を上げた。
「あやつの本当の名は、天大蛇命アマオロチノミコト。……水神すいじんじゃよ」
薫子は目を見開いて唖然とする。
 現世には火、水、土、風、いかづちをそれぞれつかさどる神が存在する。この五つを神は己の神力で操るのだが、それぞれの属性だけとなると全て彼らの下位互換となるのだ。この五大属性の神々の中で薫子が知っているのは風神、風牙だけである。雷神にはまだ会ったことが無いので除外したが、彼もまた五大属性の神の一人である。もし十六夜の話が本当ならば、蛇歌は彼らと同じ上級神という身分のやんごとなきお方だ。
「……どうして、名を偽っているのですか」
「それを説明するには、四千年前の事を話さねばならぬ」
(……四千年前。やはり何かあったんだ)
薫子の中にある憶測が、確信に変わる。何があったのかと訊ねようとした時、十六夜はそれよりも早く口を開いた。
「じゃが、まだそれをお主には話せぬ」
(話せない…?)
「何故でしょうか」
「お主はまだ本当の意味で天界こちらに身を置いてはおらぬ。下手に知って面倒をこうむる事になるのはお主じゃ、薫」
十六夜はいつになく真剣な顔で薫子を見る。四千年前、余程巨大な事件があったようだ。
「……約束する。時が来れば全ての事実をお主に語ろう。それまではどうか、聞き分けてくれまいか」
薫子はあまりにも真っ直ぐな十六夜の金色の瞳に、頷く他なかった。

 「どうだい?」
「とても美味しいです」
「そうだろう、そうだろう。茶の味が分かる人間は好きだよ」
目を輝かせて答えた薫子に、蛇歌は満足げに頷く。
 あれから暫くして、湯呑と急須を持ってきた蛇歌。その後ろから、史がみたらし団子を持って居間に入ってきた。無論十六夜は大はしゃぎで茶よりも団子に食いつく。蛇歌は蟀谷こめかみに青筋を立てたが、相手が十六夜クソガキなので諦めたらしい。
 「このお茶はアタシが茶葉から作ってるんだよ」
「葉から……ですか」
「ああ、山に茶畑を作ったんだ。そんなに大きくはないけれど、アタシには十分さ」
そう言って蛇歌は湯呑に手を添えて飲む。その横顔を見ながら薫子は先ほどの十六夜の話を思い出す。
(本当の名を名乗らなくなってしまった水神様…か)
その理由を知る術が、今の薫子にはない。自分が知った所で何もならないのは重々承知だが、無知というのもそれなりにもどかしい。
 薫子は蛇歌から手の中で湯気を立ち昇らせている湯呑に視線を向ける。黄褐色の茶の水面に薫子の浮かない顔が映った。
 「蛇歌はお茶の研究が趣味なのよ。色んな種類を開発してるわ」
史は視線を落としていた薫子に話を振る。史は十六夜同様呼び捨てで呼んでいるようだ。薫子は顔を上げて蛇歌を見る。自慢げにしている所を見ると本当の様だ。
(なるほど、それで)
ふと薫子は蛇歌の家に行った時の事を思い出す。店でもないのに大量に置かれた茶葉や薬草は研究対象だったわけだ。
(下手な店で買うよりも、数段蛇歌姐さんの茶こちらの方が美味い)
いつも史が淹れるお茶は、恐らく彼女から買っている物である。普段から美味い茶だと思っていたが、まさか蛇歌が作ったものだとは思わなかった。
 (それにしても、いつもの茶とはだいぶ風味がちがう)
再び湯呑に視線を戻すと、薫子は水面を見つめる。黄褐色の色の茶は普段の見慣れた者とは違い、不思議な香りが漂っていた。
「これはねぇ、緑茶の茶葉を発酵させて加熱したものなんだよ」
「緑茶…?これ緑茶なんですか?」
「半分正解で半分違う。茶葉は同じでも、発酵させると風味が変わるんだ。しかも炒ったり花の香りを移したりすると、更に違う味になる。そうさね、茶の種類だけで言うと百はくだらないよ」
(そんなにあるのか)
得意げに語る蛇歌。薫子は瞬きをしながら彼女の話を聞く。
「そのお茶は烏龍ウーロン茶と言うんだ。覚えておきな」
「うー、ろんちゃ」
聞きなれない言葉を復唱すると、十六夜がにやにやしながら団子を頬張った。
「絶対明日には忘れておるな、こやつ」
「そういう十六夜様はどうなんですか」
むっとして薫子が言うと、十六夜は食べ終わった串をさらに置く。
「茶の名前くらいわしだって覚えられるウーモン茶じゃ」
「烏龍だ馬鹿」
胸を張って答えた少年に、妖艶な声音で蛇歌はすかさず突っ込む。茶が関わってくると蛇歌は恐ろしい。それ以前に、彼女は基本男性に厳しい様だ。
 「こら、十六夜。全部食べてはだめよ」
口をすぼめながら団子に手を伸ばす十六夜に、史がぴしゃりと言いつける。そしてその皿を薫子に差し出した。
「薫さん、一本も食べてないでしょう」
「あ、でも…」
薫子は蛇歌を見る。
「アタシはもうすでに一本食った。遠慮する必要はない」
そう言いながら蛇歌は竹串を見せた。
「では…」
薫子はみたらし団子をそっと手に取る。
「要らぬのならわしが食べてやるぞ!」
「いえ、お気になさらず」
十六夜の欲にまみれた申し出を断り、薫子は団子を頬張る。圓月えんげつほど甘味が好きなわけではないが、それでもこの団子は美味いと思う。もちもちした団子と、とろりとしたタレの相性は最高に良い。
 薫子は咀嚼した後、烏龍茶を口に含む。口の中に残った甘さを、烏龍茶がすっきりと流した。
(お茶ってすごい)
 湯呑受けに茶を置き、残りの団子を口に入れようとしたその時。
「……」
パッと天井を見上げる十六夜。否、天井じゃない。上空を見上げているようだった。同じく蛇歌も目を見開いて上を仰いでいる。
(なんだ?)
薫子は何かあるのかと上を見上げた。ただの天井が広がっている。すると。
「皆その場に伏せろ‼」
十六夜が血相を変えて叫んだ。
「うっ」
薫子は蛇歌に抱え込まれて畳に伏せる。蛇歌の腕越しに来る背中への衝撃と同時に聞こえたのは、何かが激しく割れる音と大きな地響きだった。屋敷が一瞬揺れて湯呑が倒れる。
(地震…じゃ、ないよなこれ)
すぐに全員置きあがり、顔を見合わせた。その誰もが冷や汗を搔いている。
「馬鹿な。何故なにゆえあやつらがここにる…」
十六夜の焦った表情に、薫子はやっと非常事態が起きている事を察した。今の音と地響きが何かは分からない。だが、ここが襲撃されているのは十六夜と蛇歌の反応から明らかだった。
 居間から直接庭に出ると、空が割れてその裂け目から光の粒が霧散していくのが見える。薫子は息を飲んだ。
(違う、空が割れているんじゃない。あれは)
社を守っていた筈の結界である。
 「薫さん、屋敷の中へ!」
史は何かを察して薫子を呼んだが、十六夜が咄嗟とっさに止めた。
「よせ、戻るな!屋敷に攻め入られたら逃げ場が無くなる。できる限りわしらの目の届く範囲に待機せよ!」
そう叫ぶと、人差し指と中指をスッと出して印を結ぶ。彼の足元にあった影が大きく揺れ動き、わしのような巨大な鳥が四体姿を現した。
「緊急招集じゃ。社が襲撃されておる、直ちに集結せよ」
口早にそう言うと、鳥は東西南北に飛んでいく。そして十六夜は地面と平行に手のひらを出した。
「来い」
十六夜が命令すると、影の中から不思議な姿をした動物が出てきた。顔は龍を連想させ、尾は牛を、蹄は馬を、角は鹿を彷彿ほうふつとさせる。
「茜鶴覇を呼んで来い。まずいことになった」
それだけ言うと、不思議な生き物は地を蹴って飛び上がり、光と共に消えた。
「間に合うのか」
「分からん。……が、持たせるのがわしらの務めじゃ。行くぞ蛇歌!」
蛇歌は眉間にシワを寄せて頷くと、十六夜と共に桜の木がある正面の庭へ走る。薫子と史も二人を追いかけた。
(一体何が起こってるんだ)
薫子は収まらない動悸どうきを必死に落ち着けながら、もつれる足を必死に動かす。
 庭へ辿り着くと、砂埃と光の粒、そして花びらが舞っていた。
「あれは…」
薫子が上空を見上げると、何十という数の人ならざる者達が背に生えた翼で浮遊してる。その頭には角を生やし、牙と爪が鋭く光っていた。
「……地獄の番兵ばんぺいじゃよ。外の国では悪魔とも言う」
十六夜は苦虫を嚙みつぶしたような顔でそういう。
「やつらには一切言葉が通じん。その上最も厄介なのは―――…」
何かを言いかけた瞬間、空から物凄い速さで黒い塊を四人めがけて撃ち放ってきた。当たる直前、蛇歌が腕を振り上げる。滝のような膜が下から上にあがり、目の前で黒い塊が爆ぜた。どうやら空を飛んでいた地獄の番兵の一体が攻撃してきたらしい。
 十六夜は腕を真横に振る。四人を覆っていた砂埃が突風によって吹き飛ばされた。
「…厄介なのは、神に攻撃することが出来るという点じゃ。あやかしと同じく、わしらにとって有害となる力を体内に宿して居る」
(それが本当なら、今はまさに)
絶体絶命、その言葉が過る。しかし。
「苦労して張った結界を、良くもやってくれたな」
パリッという音が鳴り、十六夜の周りに風が巻き起こる。
「貴様ら地獄の者が、足を踏み入れて良い場所では無い、去れ」
ぎろりと睨みつけて言うと、十六夜の周りが光り始めた。あまりの眩しさに薫子は目をつぶる。史は薫子をかばうように前に立った。
 やがて眩しさが徐々に収まり、薫子は目をゆっくり開ける。数回瞬きをして十六夜を見ると、薫子は目を見開いて唖然とした。
 そこにはよわい十あまりの少年の姿は無く、上背のある青年が立っていたのである。
(だれ、いざよい、どこに、なにがおきて)
焦っているのか、困惑しているのか。薫子は自分の思考が完結せず、濁流だくりゅうの様に混乱しているのが分かる。
 だがよく見ると青年の髪はふわふわとした桜色で、長い睫毛が掛った瞳は金色だった。
(まさか、この人は)
薫子はある推測が頭に浮かび、青年を見つめる。少しはだけた着物からは厚い胸板が覗き、その左胸の上には『麒麟きりん』という文字が刻まれていた。
 薫子は生唾を飲んで薄く息を吐く。その横顔は幼さの消えた社の土地神、十六夜だった。
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