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最終章 前世から来世へ
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何と、草むらの中で浮浪者のごとく横たわっていたのは、お父様だったのだ。拍子抜けしたようなお顔で、アルベール様が剣を収める。
「ここで何をなさっているんです? サリアン伯爵」
「うるさい! ここは私の領内だぞ。私が何をしようと……」
言いながら起き上がったお父様は、私を見てパッと顔を輝かせた。
「おお、モニクか! 会えて嬉しいぞ。取りあえずは、飯を食わせてくれんかね。唯一の可愛い娘と、久々に食事をしたい」
「サリアン伯爵、あなたは! モニクに、他に言うことがあるでしょう!」
アルベール様は気色ばんだが、私は彼を制した。お父様の発言に、違和感を覚えたのだ。
「どういうことですの? 今、『唯一の娘』と仰いませんでした?」
とたんにお父様が、しゅんとうなだれる。
「聞いてくれ。ローズは、私の娘じゃなかったんだ……」
お父様が、切々と語り始める。それによると、ローズはお父様の子ではなく、バルバラ様が浮気してできた子だったというのだ。ちなみに父親というのは、私の襲撃を共に目論んだ、例の愛人だという。
判明したのは、お父様が私をマルク殿下の妃にしようとした時だそうだ。激怒したバルバラ様は、サリアン邸を出る際、真実を口走ったのだという。
(それでローズは、あんな態度を取ったのね……)
婚約祝いと称してミレー邸にやって来た時、お父様の消息を尋ねた私に向かって、ローズは『あんな男知るもんですか』とわめいていた。ようやく、納得だ。
「というわけで、私の血を分けた娘は、モニク一人だ。食事をご馳走してくれんかね」
馴れ馴れしくすり寄ってくるお父様を、私はさりげなく振り払った。
「その前に、ご説明いただけませんこと? 皆、心配してお父様をお捜ししたんですのよ。私もアルベール様も、モーリスも……」
「使用人無しで、やっていけるわけが無いだろうが!」
お父様は、アルベール様をじろりとにらんだ。
「お前の差し金だろう。私一人で、屋敷の中のことをしろと言うのか。それで親類の家に行ったんだが、誰も彼も私を疎みおって。あんな連中に恩に着せられながら厄介になるくらいなら、その辺で寝泊まりした方がマシだ!」
どうやらお父様は、前世で言うところのホームレス生活を送っていたらしかった。
「ここで何をなさっているんです? サリアン伯爵」
「うるさい! ここは私の領内だぞ。私が何をしようと……」
言いながら起き上がったお父様は、私を見てパッと顔を輝かせた。
「おお、モニクか! 会えて嬉しいぞ。取りあえずは、飯を食わせてくれんかね。唯一の可愛い娘と、久々に食事をしたい」
「サリアン伯爵、あなたは! モニクに、他に言うことがあるでしょう!」
アルベール様は気色ばんだが、私は彼を制した。お父様の発言に、違和感を覚えたのだ。
「どういうことですの? 今、『唯一の娘』と仰いませんでした?」
とたんにお父様が、しゅんとうなだれる。
「聞いてくれ。ローズは、私の娘じゃなかったんだ……」
お父様が、切々と語り始める。それによると、ローズはお父様の子ではなく、バルバラ様が浮気してできた子だったというのだ。ちなみに父親というのは、私の襲撃を共に目論んだ、例の愛人だという。
判明したのは、お父様が私をマルク殿下の妃にしようとした時だそうだ。激怒したバルバラ様は、サリアン邸を出る際、真実を口走ったのだという。
(それでローズは、あんな態度を取ったのね……)
婚約祝いと称してミレー邸にやって来た時、お父様の消息を尋ねた私に向かって、ローズは『あんな男知るもんですか』とわめいていた。ようやく、納得だ。
「というわけで、私の血を分けた娘は、モニク一人だ。食事をご馳走してくれんかね」
馴れ馴れしくすり寄ってくるお父様を、私はさりげなく振り払った。
「その前に、ご説明いただけませんこと? 皆、心配してお父様をお捜ししたんですのよ。私もアルベール様も、モーリスも……」
「使用人無しで、やっていけるわけが無いだろうが!」
お父様は、アルベール様をじろりとにらんだ。
「お前の差し金だろう。私一人で、屋敷の中のことをしろと言うのか。それで親類の家に行ったんだが、誰も彼も私を疎みおって。あんな連中に恩に着せられながら厄介になるくらいなら、その辺で寝泊まりした方がマシだ!」
どうやらお父様は、前世で言うところのホームレス生活を送っていたらしかった。
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