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第十五章 明かされた秘密

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 その場が、静まり返る。私は、ただ呆然としていた。

(どういうこと……? アルベール様は、ジョゼフ五世陛下のお子……!?)

 信じられない。だが、この場でのミレー公爵の態度が、それを証明されている気がした。陛下が、淡々と続けられる。

「ろくでなし呼ばわりされるのも、仕方ない。ただ、これだけは本当だ。私はエレーヌを、心から愛していた。だが、妃に迎えることはしなかった。彼女自身が拒んだということもあるが、私は王妃の嫉妬が恐ろしかったのだ。シュザンヌを殺したということは、今回初めて知ったが、いじめ抜いていたことはよく知っていた。私はエレーヌに、シュザンヌの二の舞になって欲しく無かったのだ」

 陛下は、沈痛の表情を浮かべられた。

「だからエレーヌとは秘密裏に交際し、子供もこっそり産ませた。彼女は遠慮したらしく、息子に王子の地位を与えるどころか、里子に出すとまで言い出した。そこで私は、信頼する従弟であるミレー公爵と奥方に、エレーヌとその子を託したのだ。王妃の手が及ばぬよう、その子が成長しても、私の血を引いていることは絶対に伏せておくよう、ミレー夫妻には頼んでいた」

 エレーヌ様が遠慮なさったのは、陛下のお子である確信が無かったからだろう。同時に、ミレー夫人のお言葉を思い出す。王妃殿下が嫉妬深かった、という話題の際、夫人は何か言いかけて言葉を濁されていた。おそらくは、アルベール様を引き取られたことを、口走りかけてしまったのだろう。

「王妃が亡くなった後、よほどその子を……、アルベールを王室へ入れようか迷った。だが、母エレーヌはすでに亡くなり、アルベールはミレー家に馴染んでいる様子。今さら国王の息子だ、などと言われても、戸惑うだけだろうと判断したのだ。それに跡継ぎなら、マルクとドニの二人がいる。このまま黙っている方が、よかろうと」

 だが、と陛下はアルベール様を見つめられた。

「先日、マルクから持病のことを告白された。あらゆる医師に相談したが、やはり余命はいくばくも無いとのこと。ドニから王位継承権を奪った今、私の血を引き、次期国王となる資格を持つのは、そなただ。ついては、そなたを王太子として迎えたい。今日呼び出したのは、その件だ」
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