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第十四章 真犯人への罠
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そうこうしているうちに、王宮へと到着する。門の所には、護衛は一人しかいなかった。珍しいな、と私は思った。他の者は、休憩にでも入っているのだろうか。
アルベール様も、一瞬不思議そうなお顔をされた後、私にこう仰った。
「この先、俺は入れないので、ここでのお別れになりますが。では、また後日」
「ええ、ここまでありがとうございました」
アルベール様が、踵を返して去って行かれる。そのお姿を名残惜しい気持ちで見つめた後、私は門をくぐった。宮殿の玄関に向かって歩いていると、背後で足音がした。振り返ると、なぜか護衛の男が後を付いて来るではないか。
「あの、門を離れられてよいので……」
言いかけたその時、私はぎょっとした。護衛の男が、剣を抜いたのだ。その瞳は、真っ直ぐに私を見つめている。
私は、とっさに走り出した。男は、追って来る。
「助けて……!」
そう叫ぶものの、周囲に人気は無い。必死で逃げていたその時、運悪く何かに蹴つまずいてしまった。みっともなく、転倒してしまう。起き上がろうとして、私は息を呑んだ。頭上では、男が剣を振りかざしているところだったのだ。
(もうダメ、刺される……!)
男が私の胸めがけて、剣を振り下ろす。次の瞬間、ドスンと衝撃が走った。だが、刺されたのではなかった。私の体の上に、誰かが覆いかぶさったのだ。
「――アルベール様!?」
私の体の上では、アルベール様が倒れ伏していた。その右肩からは、大量の血が流れ出している。私を庇って、刺されたのか。
「この……!」
男が、再び剣を振りかざす。私は、絶叫していた。
「もう止めて!」
そのとたん、男の動きは途中で止まった。その手から、剣がぽとりと落ちる。そして、私は気付いた。男の脇腹が、剣で刺し貫かれていることに。手負いのアルベール様が、下から攻撃したのだ。男はそのまま、その場に崩れ落ちた。
「何事だ!?」
騒ぎを聞きつけたのか、大勢の人が駆けつける気配がする。アルベール様は、ふっとため息をつくと、私に尋ねられた。
「あなたの悲鳴が聞こえた気がして。追いかけて来て、よかった……。大丈夫ですか」
「アルベール様こそ!」
彼の出血は、増す一方だ。お顔からは、どんどん血の気が失われていく。
「言ったでしょ。奥方をお守りするのは当然だ、と……」
そう呟いたとたん、彼は瞳を閉じ、私の上に倒れ込んだ。私は、絶叫していた。
「この男を捕まえて! そして、彼に治療を……!」
そう叫んだきり、私の意識もまた、ふっつりと途絶えたのだった。
アルベール様も、一瞬不思議そうなお顔をされた後、私にこう仰った。
「この先、俺は入れないので、ここでのお別れになりますが。では、また後日」
「ええ、ここまでありがとうございました」
アルベール様が、踵を返して去って行かれる。そのお姿を名残惜しい気持ちで見つめた後、私は門をくぐった。宮殿の玄関に向かって歩いていると、背後で足音がした。振り返ると、なぜか護衛の男が後を付いて来るではないか。
「あの、門を離れられてよいので……」
言いかけたその時、私はぎょっとした。護衛の男が、剣を抜いたのだ。その瞳は、真っ直ぐに私を見つめている。
私は、とっさに走り出した。男は、追って来る。
「助けて……!」
そう叫ぶものの、周囲に人気は無い。必死で逃げていたその時、運悪く何かに蹴つまずいてしまった。みっともなく、転倒してしまう。起き上がろうとして、私は息を呑んだ。頭上では、男が剣を振りかざしているところだったのだ。
(もうダメ、刺される……!)
男が私の胸めがけて、剣を振り下ろす。次の瞬間、ドスンと衝撃が走った。だが、刺されたのではなかった。私の体の上に、誰かが覆いかぶさったのだ。
「――アルベール様!?」
私の体の上では、アルベール様が倒れ伏していた。その右肩からは、大量の血が流れ出している。私を庇って、刺されたのか。
「この……!」
男が、再び剣を振りかざす。私は、絶叫していた。
「もう止めて!」
そのとたん、男の動きは途中で止まった。その手から、剣がぽとりと落ちる。そして、私は気付いた。男の脇腹が、剣で刺し貫かれていることに。手負いのアルベール様が、下から攻撃したのだ。男はそのまま、その場に崩れ落ちた。
「何事だ!?」
騒ぎを聞きつけたのか、大勢の人が駆けつける気配がする。アルベール様は、ふっとため息をつくと、私に尋ねられた。
「あなたの悲鳴が聞こえた気がして。追いかけて来て、よかった……。大丈夫ですか」
「アルベール様こそ!」
彼の出血は、増す一方だ。お顔からは、どんどん血の気が失われていく。
「言ったでしょ。奥方をお守りするのは当然だ、と……」
そう呟いたとたん、彼は瞳を閉じ、私の上に倒れ込んだ。私は、絶叫していた。
「この男を捕まえて! そして、彼に治療を……!」
そう叫んだきり、私の意識もまた、ふっつりと途絶えたのだった。
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