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第十四章 真犯人への罠
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(殺される……!)
私は、反射的に目をつぶった。だが次の瞬間、バタンという大きな音がした。続いて、鈍い物音と、呻くような声が聞こえる。おそるおそる目を開けて、私は唖然とした。
私の前で、ドニ殿下が倒れ伏していたのだ。その背中には、剣が突き刺さっている。見れば、ベッドの枕元付近の窓は、全開になっていた。そこから入り込み、背後から殿下を襲撃したのは……、アルベール様だった。
「射撃では殿下に敵いませんでしたが、剣の腕は、私の方が上のようですね」
言いながらアルベール様は、ミレー公爵の方を向かれた。
「急所は、外してございます。……私の申した通りでございましょう。外にも人員を配置すべき、と」
「ああ、その通りだ。お前の判断は正しかった」
公爵が、頷かれる。ドニ殿下は、顔を歪めながら、アルベール様をにらみつけた。
「アルベール・ド・ミレー……。全て、お前のせいだ。お前さえ現れなければ、全て上手くいくはずだった……。この、地味で冴えない女」
そこで殿下は、私へと視線を移した。
「この女が、全て罪を被ってくれるはずだったのに。お前を落とすのは、赤子の手をひねるよりたやすかったよ。いつも妹に劣等感を抱いているお前には、妹よりお前の方を評価している、とアピールするだけでよかったんだ……」
言葉の途中で、殿下はうっと呻いた。アルベール様が、刺さった剣を引き抜いたからだ。さらに彼は、傷口を靴先で蹴り飛ばした。
「これは過剰防衛に当たりますか? それとも暴行罪?」
アルベール様が、チラと騎士団の方々を見やる。ミレー公爵とモンタギュー侯爵は、同時に仰った。
「見なかったことにしよう「いたしましょう」」
私は、殿下の傍にしゃがみ込んだ。
「確かに、殿下の仰る通りですわ。アルベール様のおかげで、私は変われたんですの。卑屈で他人の言うなりだった私は、あの夜を境にいなくなったのです」
「……」
「先ほど、仰いましたわね。王妃殿下を殺しても、満足できなかったと。それはそうでしょう。憎しみに憎しみで対抗しても、空しいだけですわ。ですから、あなたのお気持ちはわからないと申し上げたのです」
ミレー公爵は、深いため息をつくと、騎士たちの方を向かれた。
「お手当てしてから、殿下をお連れしろ」
「承知しました」
騎士らが、殿下の元へ駆け寄る。見るに堪えなかったのか、マルク殿下は踵を返され、部屋を出て行かれた。私は、慌てて殿下の後を追った。
私は、反射的に目をつぶった。だが次の瞬間、バタンという大きな音がした。続いて、鈍い物音と、呻くような声が聞こえる。おそるおそる目を開けて、私は唖然とした。
私の前で、ドニ殿下が倒れ伏していたのだ。その背中には、剣が突き刺さっている。見れば、ベッドの枕元付近の窓は、全開になっていた。そこから入り込み、背後から殿下を襲撃したのは……、アルベール様だった。
「射撃では殿下に敵いませんでしたが、剣の腕は、私の方が上のようですね」
言いながらアルベール様は、ミレー公爵の方を向かれた。
「急所は、外してございます。……私の申した通りでございましょう。外にも人員を配置すべき、と」
「ああ、その通りだ。お前の判断は正しかった」
公爵が、頷かれる。ドニ殿下は、顔を歪めながら、アルベール様をにらみつけた。
「アルベール・ド・ミレー……。全て、お前のせいだ。お前さえ現れなければ、全て上手くいくはずだった……。この、地味で冴えない女」
そこで殿下は、私へと視線を移した。
「この女が、全て罪を被ってくれるはずだったのに。お前を落とすのは、赤子の手をひねるよりたやすかったよ。いつも妹に劣等感を抱いているお前には、妹よりお前の方を評価している、とアピールするだけでよかったんだ……」
言葉の途中で、殿下はうっと呻いた。アルベール様が、刺さった剣を引き抜いたからだ。さらに彼は、傷口を靴先で蹴り飛ばした。
「これは過剰防衛に当たりますか? それとも暴行罪?」
アルベール様が、チラと騎士団の方々を見やる。ミレー公爵とモンタギュー侯爵は、同時に仰った。
「見なかったことにしよう「いたしましょう」」
私は、殿下の傍にしゃがみ込んだ。
「確かに、殿下の仰る通りですわ。アルベール様のおかげで、私は変われたんですの。卑屈で他人の言うなりだった私は、あの夜を境にいなくなったのです」
「……」
「先ほど、仰いましたわね。王妃殿下を殺しても、満足できなかったと。それはそうでしょう。憎しみに憎しみで対抗しても、空しいだけですわ。ですから、あなたのお気持ちはわからないと申し上げたのです」
ミレー公爵は、深いため息をつくと、騎士たちの方を向かれた。
「お手当てしてから、殿下をお連れしろ」
「承知しました」
騎士らが、殿下の元へ駆け寄る。見るに堪えなかったのか、マルク殿下は踵を返され、部屋を出て行かれた。私は、慌てて殿下の後を追った。
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