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第七章 新たな犠牲者

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「それは、男性ですか、女性ですか?」

 モンタギュー侯爵が、ドニ殿下にお尋ねになる。さあ、と殿下は首をかしげられた。

「事件の翌日、こちらへ弔問に訪れた際、門番がペラペラと喋っていたのですよ。まだ手袋とショールが出て来る前だったので、私もうっかり聞き流しておりました」
「ガストンめ……」

 お父様は、歯ぎしりされた後、ハッとしたような顔をされた。

「モンタギュー様、失礼いたしました。これ以上、娘に疑いがかかってはと、言えずにいたのです」
「いえ。ドニ殿下が仰った通り、モニク嬢に濡れ衣を着せる一環でしょう……。すぐに、門番を呼んでください」

 だがお父様は、力無くかぶりを振った。

「すみません。ガストンは……門番は、今休暇を取って、郷里に帰っているのです。本当です。でも、明日には戻りますから」
「明日ですか。でしたら明日、もう一度こちらへ参ります。そしてその門番から、じっくり話を聞かせてもらいましょう。アンバー殺しの夜のアリバイの件も含めて、ね」

 モンタギュー侯爵にじっと見つめられ、私は静かに頷いた。

「私には、何も疚しいことはございません。何なりと、聞いていただければと思います。……そして真犯人を捕らえ、アンバーや男爵、夫人の無念を晴らしていただきたいですわ」
「承知いたしました」

 侯爵が、うやうやしくお辞儀をされる。その瞳からは、もうすっかり私への疑念は消えていて、私は少しだけ安堵したのだった。
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