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第七章 暴かれた真実

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 レオ様の部屋を訪れると、彼は外出の支度をされていた。

「出かけられるのですか?」
「職安の視察です。あとは、聖女の方々が到着されるので、お迎えに」

 そう答えるレオ様は、すっかり普段と変わり無い様子で、私はほっとした。

「少しだけ、お時間いいですか? 実はアグネスに、またハイゼルへ行ってもらって、実家へ手紙を届けてもらおうと考えているのです」

 私は彼に、二通の封筒を見せた。

「父へは、レオ様が遊び人だという噂は虚偽だ、彼を愛しているからフランツ殿下とのことは諦めてくれ、と書いています。妹には、余計な真似をするな、と……。すみません、殿下の脱走の手配は、妹がやったらしいのです。よかれと思って、勝手に判断したそうです」

 レオ様は、静かに聞いていた。

「……読まれますか?」
「いえ」

 彼は苦笑した。

「そんな検閲みたいな真似はしたくありません。貴女を信じていますよ」
「ありがとうございます」

 私は、ほっと胸を撫で下ろした。

「それで、アグネスのハイゼル行きなのですが、一つ問題が……」

 テレーゼ様の話をすると、レオ様は眉をひそめて聞いていた。

「まあ、仕方ありませんね。マテウスの楽師調査も急ぎますし、母には少し我慢してもらうしか無いでしょう。シャルロッテ、話し相手になってやってくれますか? きっと喜ぶと思います」
「ええ、私でよければ喜んで」

 私は、大きく頷いた。

「ただ僕も、気になっていることがありましてね。エヴァ様が仕込んでいた、妙な薬の件です。それを絶って以降、どういう変化が母に現れるか、観察しておいた方がいいと思うのです」

 確かに、と私は思った。お見舞いの頻度を増やそうか、などと考えていると、レオ様はこう言い出された。

「そうだ、もしよければなのですが。当面、母には本邸へ移動してもらうのはどうでしょう。そうすれば貴女も、彼女の変化が分かりやすいでしょう。手を煩わせて、すみませんが」
「とんでもありませんわ! いいアイデアですわね」

 言われてみれば、それがベストだろう。本邸を煩わしがっているテレーゼ様だが、アグネス不在の間、他の使用人に彼女を任せるのは不安だ。こちらへ移ってくれれば、私も安心できる。

「ありがとう。では、母とシュルツには、僕から言っておきますね。ああ、もう時間だ。じゃあ、出かけて来ますよ」
「行ってらっしゃいませ」

 私は、丁重に彼を見送った。意外と普通に会話ができたことに、内心では深く安堵していた。
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