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第五章 お茶会の秘密
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だが、それは一瞬だった。エヴァ様は、すぐに笑顔になると、侍女を手招きした。
「楽師の方を、お呼びして」
「かしこまりました」
侍女が、外に出て来ようとする。私はあわてて、その場を離れた。周囲に注意しながら、屋敷内を観察して回る。使用人に見とがめられたら、迷子になったとでも言い逃れるつもりだ。
(せっかくの機会だわ。調べられるだけ、調べて……)
その時、背後で気配がした。振り返れば、エヴァ様本人がサロンから出て来るではないか。
(まずいですわ!)
どこか、隠れる場所は無いか。あたふたしていると、今度は前からメイドがやって来るのが見えた。茶会の参加者たちに、飲み物を持って行くようだ。
(ええい!)
私は、とっさに近くの部屋に飛び込んだ。幸いにも、あまり使われていない客間らしく、無人だった。息を潜めて様子を窺っていると、「お待ちなさい」という声がした。ドキリとしたが、エヴァ様がメイドに声をかけただけのようだった。
「これを、……夫人に」
エヴァ様は、メイドに何やら指示しているようだ。私は、そうっと扉を開けてみた。隙間からのぞくと、エヴァ様とメイドは、廊下の真ん中で何やらこそこそと話し合っている。私は、目をこらして観察した。
しばらくするとエヴァ様は、周囲をきょろきょろと気にしながら、懐から何かを取り出した。ピンク色の、小さな包み紙だ。一見、薬に見える。エヴァ様は、飲み物の一つに、その紙の中身を流し入れた。
「楽師の方を、お呼びして」
「かしこまりました」
侍女が、外に出て来ようとする。私はあわてて、その場を離れた。周囲に注意しながら、屋敷内を観察して回る。使用人に見とがめられたら、迷子になったとでも言い逃れるつもりだ。
(せっかくの機会だわ。調べられるだけ、調べて……)
その時、背後で気配がした。振り返れば、エヴァ様本人がサロンから出て来るではないか。
(まずいですわ!)
どこか、隠れる場所は無いか。あたふたしていると、今度は前からメイドがやって来るのが見えた。茶会の参加者たちに、飲み物を持って行くようだ。
(ええい!)
私は、とっさに近くの部屋に飛び込んだ。幸いにも、あまり使われていない客間らしく、無人だった。息を潜めて様子を窺っていると、「お待ちなさい」という声がした。ドキリとしたが、エヴァ様がメイドに声をかけただけのようだった。
「これを、……夫人に」
エヴァ様は、メイドに何やら指示しているようだ。私は、そうっと扉を開けてみた。隙間からのぞくと、エヴァ様とメイドは、廊下の真ん中で何やらこそこそと話し合っている。私は、目をこらして観察した。
しばらくするとエヴァ様は、周囲をきょろきょろと気にしながら、懐から何かを取り出した。ピンク色の、小さな包み紙だ。一見、薬に見える。エヴァ様は、飲み物の一つに、その紙の中身を流し入れた。
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