ハズレスキル「落下ダメージ減少」と世界のシステム「飛び降り自殺」を組み合わせると人間メテオが使えました。

黒飛清兎

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8話 強くなりたい

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「僕は盗みなんてしてません!!」

俺はデルさんにそう言った。

「まぁ!!この期に及んで白々しい......。」
「まぁまぁ。まだ決定した訳じゃ無いんだから。」
「そ、そうですが......。」
「任せてくれよ。いいね?」
「はい。」

受付嬢は渋々といった感じで引き下がった。

「さて、君にはウルフを他人から家の権力を使って奪っているというがある。これについて何か言うことはあるかな?」
「はい!! まず僕は盗みなんてしてません!! ウルフは僕が倒しました。それに、家からは追放されてしまい、手を貸しては貰えません。」
「ふんっ。ハズレスキル持ちがウルフを倒せるわけがない!!」

あぁ。イラット来た。
もう殴っちゃうか?うん。殴っちゃおう!!
俺は真顔でそんなことを考えていた。
そして、それを行動に移そうとしたその時、デルさんが口を開いた。

「ちょっと君。」

その時のデルさんはさっきの穏和な雰囲気ではなかった。


「っ!!」

そのデルさんの声は、口調こそ同じだが、雰囲気が正反対の重たい雰囲気だった。

「もっ、申し訳ございません!!」
「良いんだよ。これは僕とリエル君との会話だから割って入ってこないでね?」
「はい!」

ふぅ。びびった。
この雰囲気には流石にあの受付嬢でも怖かったらしく、すぐに口を閉じた。
しかし、目は俺を睨んだままだ。
決めた。この話が無事に終わったらこいつはちょっとしばこう。
俺はそう決意した。

「いやぁ。済まなかった。話を戻すが、君は本当に盗みなんてしてないんだね?」
「はい。断じてしていません。」
「ふぅん。一応信頼のあるカルルの頼みだったから聞いてみたが、誤解だったかもしれないな。僕には君が嘘をついているようには見えない。僕は人を見る目には自信があるんだ。」
「だ、だったら!!」
「いや、まだだ。君の実家のリン家は魔法の優れた家紋だ。魔法を使うには並々ならぬ頭のよさが必要だ。そのため、嘘を隠している可能性もあるだろう。だから一つ試したいことがある。」

そういってデルさんは何かのスクロールを取り出した。

「これは存在値を測るためのスクロールだ。存在値というのは、まぁ簡単に言えば戦闘力みたいなものだ。ウルフの存在値はおよそ120ほどだ。」

すこし間をあけてデルさんは言った。

「3日あげよう。3日後にこれを使い、ウルフよりも存在値が高ければ君は盗みなどはしていない。低ければ盗みをしていると言うことで逮捕ということにしよう。」
「は、はい。」

あまりよく分からなかったが、3日後までにウルフよりも強くなれということか。
はっきり言って無茶だ。
三日間というのは思ったよりも短い。
果たしてこの短期間でそんなことが出来るのか。
そして、一つ疑問がある。
それは、なぜ俺に猶予をくれたのかだ。
今やればもっと早く決めることが出来て、負担が減るのではないのか?と思った。
その事に聞こうと思った瞬間、受付嬢が話し始めた。

「発言をしてとよろしいでしょうか?」
「いいよ? なんだい?」
「なぜこいつに執行猶予を与えるのでしょうか。今計ってしまった方がよろしいのではないのでしょうか?」
「あぁ。それはね、貴重な人材を減らさないためだよ。もともとウルフよりも強いのなら別だが、弱かった場合、僅か三日間でかなり強くなれる存在と言うことになる。それはものすごい才能だ。そんな人材を失いたくないんだ。」

そうか。それなら納得だ。
俺を助けたことによって結果的にギルドに利益が来る可能性があるのだ。
この人、相当頭が良いな。
俺はデルさんを少し尊敬した。

「分かったかい?」
「はい!!」
「ではまた3日後にまた会おう。」
「分かりました。」

そして、俺はギルドから出た。

「ははっ。最後のあの受付嬢の悔しそうな顔は傑作だったな!!」

俺は少し性格の悪いことを良いながらも、強くなるために必要なことを考えるのであった。
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