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4話 生存者
しおりを挟むグシャッ
俺とウルフは潰れた。
パァァァァ
「んんぅ。」
俺は血だらけのウルフの上に立っていた。
完全に死んだと思った。
やっと生きる希望も見つかって、これから頑張っていこうと思っていたところなのに死ぬのは嫌だ。
たが、なんで生き残れたのだろうか......。
「......生存者。」
そうか。生存者か一ヶ月に一回だけ体力が切れた全回復するんだもんな。
俺はこれのおかげで生き延びたのか。
落下ダメージ減少のせいで死にかけて落下ダメージ減少のおかげで手に入れた称号で生き残るなんてなんとも皮肉だな。
ともかく、俺は生き残った。
もっと明るくポジティブに行こう!!
俺は鼻歌交じりにギルドへと向かった。
ー
ーーーー
ーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ー
「はぁ、また盗んできたんですか?」
「......早く鑑定して売ってくれ。」
「はいはい。分かりましたよ。」
受付嬢が白い目でこちらを見てきた。
まだ俺が倒したんじゃなくて、盗んだんだと勘違いしているみたいだ。
「他の冒険者の方から通報されたらすぐにギルド証剥奪ですからね?」
「......。」
「まさかお金で買ったのか......。いやいや、実家から追放されたリエルさんがそんなことできるはずないですよねぇ?だって、お金ないですし。」
「......。」
なんだよこいつ。ムカつくなぁ。
悪い性格極めてるなぁ。
まぁ、受付嬢に向かって怒ったりすると下手したら捕まったりするからな。
俺は心を穏やかにすることを心がけた。
「また今回もスクロールにしますか?」
「いや、今回は現金で頼む。」
「ボソッ うわっ、めんどくさっ。」
はぁ、聞こえてるぞ。一応俺も客なんだから、客の前でそう言うことを言っちゃ駄目だろ。
本当に嫌な奴だな。
だが、俺のスキルがひどいのにも原因がない訳じゃない。スキルで人生が左右されると言っても過言ではないほどスキルというのは強いのだ。
例えば、ただのスキルなしの剣士と「剣士」スキルを持っている剣士がいたとしよう。ステータスはスキルなしの剣士の方が50%高いとする。技術は同じくらいだ。
そして、その二人が戦った結果、大体の時は「剣士」スキルを持っている方が勝つ。
そのスキルのレベルにもよるが、レベル3以上なら確定だろう。
それほどにスキルというものは大切なのだ。
ハズレスキルを持っている人はどれだけ頑張っても良いスキルを持っている人には勝てないというのが鉄則なのだ。だからといってあの受付嬢を正当化するわけではない、わからなくもないというだけだ。
まぁ、俺のはハズレスキルじゃない可能性が出てきたけどな。
「買取価格は30000円です。」
「ありがとうございます。」
はっきり言って命を懸けた価格としては安すぎる。
だが、これがこれからどんどん高くなっていく可能性があるとなると、ワクワクが止まらない。
さて、次の準備をしよう。
人間メテオは協力だが、ダメージがあるということがネックだ。
故に連発をしたりすると、痛みで気を失ったり、ダメージで動けなくなったり、最悪死ぬこともある。
だから回復が必要なのだ。
それを補うために俺は回復薬を買うことにした。
回復薬の種類はこれだ。
最下級 500円 体力F50%回復
下級 2000円 体力F100%回復
中下級 5000円 体力F200%回復
中級 10000円 体力F500%回復
中上級 25000円 体力F1000%回復
上下級 50000円 体力F2500%回復
上級 100000円 体力F10000%回復
最上級 500000円 体力F50000%回復
伝説級 ???円 体力F300000%回復
神話級 ???円 体力全回復
こんな感じだ。
伝説級や神話級は遺跡などからしか出ることがなく、滅多に売られることがないため、売られる時はオークションになってしまい、値段が決まっていない。
ステータスの読み方はこんな感じだ。
F 一番低いステータス
F+ F×1.5
E F×3
E+ F×4.5
D F×9
D+ F×13.5
C F×27
C+ F×40.5
B F×81
B+ F×121.5
A F×243
A+ F×364.5
S F×729
S+ F×1093.5
ステータスはS+までしか行ったことのある人がいないため、こうなっている。本当はもっとあるのかもしれない。
伝説級の回復薬ではFの3000倍が回復されるため、昔はもっと体力がある人がいたのかもしれない。
今の俺の体力はF+なので、下級の回復薬で足りるだろう。
俺は知り合いのいる薬屋「サインリーア」へと向かった。
「いらっしゃいませーって、なんだ、リエルか。」
「あぁ。だが一応今日は客だぞ?」
「えぇ!?」
心底ビックリした様子で俺の顔を見ているのは俺の友達のメイラだ。
身長は俺よりも少し小さいくらいで、神は金髪の短髪。
昔からの友達で、よく一緒に遊んでいた。
今でもちょくちょくこの薬屋に来て遊んでいる。
そして、独学で学んだ薬学で店を出すほどの凄い奴だ。
つい先日の神の判断で薬系のスキルを手に入れたと言っていた。
薬を買う相手としては十分だった。
「まっ、まさか毒薬を買う気!? だめだよ!! 売らないよ!! 私が一生養ってあげるから死なないで!!」
「はぁ?」
なにいってるんだぁ?こいつ。
あぁ。まさか俺がハズレスキルをとってしまったと聞いて自殺するとでも思ったのか?
そんなことあるはずが......って、一回やったんだったな。
「大丈夫だ。自殺したりなんかしない。」
「本当?」
いま俺は希望に満ち溢れている。そんなときに自殺する人なんているわけないだろう。
「あぁ、本当だ。」
「よかったぁ。」
メイラは心底安心したようにため息をついた。
「で、何のよう?」
「あぁ。回復薬を買いにきたんだ。」
「え?追放されたんじゃないの?」
「いやぁ、まぁ金はあるから大丈夫だ。」
「......そう。まさか悪いことしたりしてないよね?」
「してねぇよ!!」
こいつは俺のことを何だと思っているんだ。
「でも、何でいきなり回復薬なんて必要になったの?」
「うぅーん。話してほしい?」
「ほしい!!」
どうしようか。必要な理由を話すのは良いが、心配書けたりしたら嫌だからな......。
少し考えたのち、俺はある程度強くなるまで教えないことにした。
「やっぱり教えない。」
「えぇー。いじわるー。」
「ははっ。もうちょっとしたら話してやるから待ってろ。」
「むぅー。」
メイラは膨れっ面になってしまった。
本当に拗ねやすいなー。
「さぁ、回復薬をくれ。20000円分くれ。」
「あぁ、はいはい。一本おまけしておくよ。はい、十一本。」
「おぉ。ありがとう。」
メイラはやっぱり優しい。
はっきり言って俺がハズレスキルをとったと聞いてバカにしなかったのはメイラが初めてだよな。
やはり、持つものは友達だな。
メイラはもう親友と言っても良い程の仲だ。
サエルが裏切ったいま俺の親友はお前だけだ。
「ちょ、なに見つめてんの。恥ずかしいって!!」
「あぁ、ごめんごめん。」
おっと、考え事をしていたらついつい見つめていたみたいだ。
「よし、じゃあ行くよ。」
「うん。じゃあね。」
そうして俺はサインリーアを出た。
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