185 / 214
186話 夢は闇に堕ちた2
しおりを挟む俺は教会から出て、教会の場所をしっかりと頭に焼き付けた。
そして、俺はスラムから抜け出し、あの黒いドームがある場所の上空へと飛び上がった。
雲などが邪魔をして全ての場所を見渡すことは出来ないが、少なくとも今生きている人間はこの場所にはほとんど居ない。
しかし、この場所でこれから暮らすというのは苦しい事だ。
よって俺はこれから救済を行う。
これをすれば俺の俺達に害をなす人間を1人残らず殺す事もでき、それと同時にここにいる人達もこれから苦しい思いをしなくて済む。
win-winだ。
俺は貯めていた体外魔力の半分を使って様々な魔法を複合した丸い玉を生み出す。
これは様々な魔法がぶつかり合うことによって普通はどちらかが打ち勝ってどちらかが消えるところを、全く同威力の異なる種類の魔法がぶつかった時に起こる魔法の増幅反応を利用して、今使える魔法の最大威力の物を結界魔法と時空魔法を使ってぐるぐると丸い玉の中で威力を加速的に増させて、その後その全てを同時にぶつけることによって破壊的な威力を出すことの出来る魔法だ。
普通こんな事をするためには脳が何十個も必要な程難しいものだが、今の俺は本当にそれほどの処理能力がある。
なので、こんな事も出来てきまう訳だ。
俺はその玉をゆっくりと下に下ろしていく。
あまり早くおろしてしまうと流石の俺でも処理しきれなくて暴発するか、不発に終わるかだ。
俺は丸い玉を慎重に黒いドームの頂上付近に置いた。
ここは日曜の現人神が住んでいた場所で、兵器も多くある。
その中の何かが俺を害するようだと行けない。
なので俺はそこから破壊していくことにしたのだ。
俺は玉の中の魔法をぶつけた。
その瞬間、とてつもない程の魔法の増幅反応を見せた。
魔法には色んな属性があるが、この魔法は無属性、全てを塵にする魔法だ。
俺はその魔法の余波に巻き込まれないように更に上空へ飛び上がり、教会に被害が及ばないようにそこに俺の魔力がいかないようにした後、一応結界魔法で決壊を貼っておいた。
俺の放った魔法は増幅を繰り返し、どんどんと大きさを増やしていく。
最初はドームの建物を飲み込む程度だったのに、数秒後にはその庭まで、更に数秒後には近くの屋敷などが立ち並ぶ場所まで(今は俺が全て壊したため立ち並んではいない)、そして1分ほどが経つ頃にはスラム街の全ても飲み込み、日曜の現人神が統べていた場所の全ては俺の魔法によって消し去られた。
うぅん、ここまでの威力が出るとは思わなかった。
これでさらに体外魔力を集め、全力でこの魔法を放ちでもすればこの世界の全てが塵に変わってしまいそうな程の威力だ。
発生した大量の塵は空へと舞い上がり、大空を覆い尽くした。
その塵は遥か遠くまで飛んでいく。
これは俺の反撃の狼煙だ。
これで少なくとも日曜の現人神も少しは考え直すだろう。
何せ信者を全て失ったのだからな。
俺は笑った。
これはまだ始まりに過ぎない。
これから地の果てまで追いかける。
俺はゆっくりと地面に降りる。
しかし、地面は全て塵になってしまっていて、地面にはいつまでたっても辿り着かない。
ただ俺の穴という穴の中に塵が入り込んできて気持ちが悪いだけだ。
俺は憂鬱な気分になりながらも仕方がなく空を飛んで行った。
次の目的地は月曜の現人神が統べる地だ。
ここからだと1番近い場所ではある。
日曜の現人神とはしょっちゅう喧嘩をしていて、それが原因で何度も戦争になっている。
迷惑な話だ。
やはりこいつらは殺さなくてはいけないな。
俺は猛スピードで空を飛んで行った。
近くにあるだけあって俺のスピードで行けばものの数十分で着くことが出来た。
地理はそこまで得意なはずでは無いのだが、スキルのおかげで頭の回転や記憶力が良くなっているため、場所などはすぐに分かる。
月曜の現人神の統べるところにはスラムというものは無い。
しかし、その代わり奴隷制度があり、スラムに行くような人は奴隷になってしまうらしい。
やはりこういうヤツらの考えはおかしい。
弱者が搾取されるようなことは絶対にあってはならない。
だからこそ俺は弱者も強者も平等に殺す。
俺はまずは中心地であるような場所に降り立った。
どこが中心地なのかはすぐに分かった。
何故なら分かりやすく光り輝く白いドーム状の建物があったからだ。
あそこに月曜の現人神が居るのだろう。
もしかすると日曜の現人神もあそこに居るかもしれない。
俺はその場所へと降り立った。
すると、その瞬間周りから何人もの人が飛び出してきた。
警備をしている人のようだ。
俺はその人たちをサクッと殺し、ドーム状の建物への攻撃を開始する。
ドーム状の建物は日曜の現人神の時と同じく何度攻撃したところで何度も再生した。
あの魔法をぶつける魔法…………魔核合成魔法と呼ぼう。
魔核合成魔法を使った時には壊すことが出来たから、もう一度使ってしまおうか…………。
俺がそう考えていたその時、ドーム状の建物のてっぺんから誰かがでてきた。
「良かった、手間が省けたな。」
俺はにやりと笑った。
1
お気に入りに追加
628
あなたにおすすめの小説
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
【完結】魔力・魔法が無いと家族に虐げられてきた俺は殺して殺して強くなります
ルナ
ファンタジー
「見てくれ父上!俺の立派な炎魔法!」
「お母様、私の氷魔法。綺麗でしょ?」
「僕らのも見てくださいよ〜」
「ほら、鮮やかな風と雷の調和です」
『それに比べて"キョウ・お兄さん"は…』
代々から強い魔力の血筋だと恐れられていたクライス家の五兄弟。
兄と姉、そして二人の弟は立派な魔道士になれたというのに、次男のキョウだけは魔法が一切使えなかった。
家族に蔑まれる毎日
与えられるストレスとプレッシャー
そして遂に…
「これが…俺の…能力…素晴らしい!」
悲劇を生んだあの日。
俺は力を理解した。
9/12作品名それっぽく変更
前作品名『亡骸からの餞戦士』
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
最強の英雄は幼馴染を守りたい
なつめ猫
ファンタジー
異世界に魔王を倒す勇者として間違えて召喚されてしまった桂木(かつらぎ)優斗(ゆうと)は、女神から力を渡される事もなく一般人として異世界アストリアに降り立つが、勇者召喚に失敗したリメイラール王国は、世界中からの糾弾に恐れ優斗を勇者として扱う事する。
そして勇者として戦うことを強要された優斗は、戦いの最中、自分と同じように巻き込まれて召喚されてきた幼馴染であり思い人の神楽坂(かぐらざか)都(みやこ)を目の前で、魔王軍四天王に殺されてしまい仇を取る為に、復讐を誓い長い年月をかけて戦う術を手に入れ魔王と黒幕である女神を倒す事に成功するが、その直後、次元の狭間へと呑み込まれてしまい意識を取り戻した先は、自身が異世界に召喚される前の現代日本であった。
最強の回復魔法で、レベルアップ無双! 異常な速度でレベルアップで自由に冒険者をして、勇者よりも強くなります
おーちゃん
ファンタジー
俺は勇者パーティーに加入していて、勇者サリオス、大魔導士ジェンティル、剣士ムジカの3人パーティーの雑用係。雑用係で頑張る毎日であったものの、ある日勇者サリオスから殺されそうになる。俺を殺すのかよ!! もう役に立たないので、追放する気だったらしい。ダンジョンで殺される時に運良く命は助かる。ヒール魔法だけで冒険者として成り上がっていく。勇者サリオスに命を狙われつつも、生き延びていき、やがて俺のレベルは異常な速度で上がり、成長する。猫人、エルフ、ドワーフ族の女の子たちを仲間にしていきます。
異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる