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186話 夢は闇に堕ちた2

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 俺は教会から出て、教会の場所をしっかりと頭に焼き付けた。

 そして、俺はスラムから抜け出し、あの黒いドームがある場所の上空へと飛び上がった。

 雲などが邪魔をして全ての場所を見渡すことは出来ないが、少なくとも今生きている人間はこの場所にはほとんど居ない。

 しかし、この場所でこれから暮らすというのは苦しい事だ。

 よって俺はこれから救済を行う。

 これをすれば俺の俺達に害をなす人間を1人残らず殺す事もでき、それと同時にここにいる人達もこれから苦しい思いをしなくて済む。

 win-winだ。

 俺は貯めていた体外魔力の半分を使って様々な魔法を複合した丸い玉を生み出す。

 これは様々な魔法がぶつかり合うことによって普通はどちらかが打ち勝ってどちらかが消えるところを、全く同威力の異なる種類の魔法がぶつかった時に起こる魔法の増幅反応を利用して、今使える魔法の最大威力の物を結界魔法と時空魔法を使ってぐるぐると丸い玉の中で威力を加速的に増させて、その後その全てを同時にぶつけることによって破壊的な威力を出すことの出来る魔法だ。

 普通こんな事をするためには脳が何十個も必要な程難しいものだが、今の俺は本当にそれほどの処理能力がある。

 なので、こんな事も出来てきまう訳だ。

 俺はその玉をゆっくりと下に下ろしていく。

 あまり早くおろしてしまうと流石の俺でも処理しきれなくて暴発するか、不発に終わるかだ。

 俺は丸い玉を慎重に黒いドームの頂上付近に置いた。

 ここは日曜の現人神が住んでいた場所で、兵器も多くある。

 その中の何かが俺を害するようだと行けない。

 なので俺はそこから破壊していくことにしたのだ。

 俺は玉の中の魔法をぶつけた。

 その瞬間、とてつもない程の魔法の増幅反応を見せた。

 魔法には色んな属性があるが、この魔法は無属性、全てを塵にする魔法だ。

 俺はその魔法の余波に巻き込まれないように更に上空へ飛び上がり、教会に被害が及ばないようにそこに俺の魔力がいかないようにした後、一応結界魔法で決壊を貼っておいた。

 俺の放った魔法は増幅を繰り返し、どんどんと大きさを増やしていく。

 最初はドームの建物を飲み込む程度だったのに、数秒後にはその庭まで、更に数秒後には近くの屋敷などが立ち並ぶ場所まで(今は俺が全て壊したため立ち並んではいない)、そして1分ほどが経つ頃にはスラム街の全ても飲み込み、日曜の現人神が統べていた場所の全ては俺の魔法によって消し去られた。

 うぅん、ここまでの威力が出るとは思わなかった。

 これでさらに体外魔力を集め、全力でこの魔法を放ちでもすればこの世界の全てが塵に変わってしまいそうな程の威力だ。

 発生した大量の塵は空へと舞い上がり、大空を覆い尽くした。

 その塵は遥か遠くまで飛んでいく。

 これは俺の反撃の狼煙だ。

 これで少なくとも日曜の現人神も少しは考え直すだろう。

 何せ信者を全て失ったのだからな。

 俺は笑った。

 これはまだ始まりに過ぎない。

 これから地の果てまで追いかける。

 俺はゆっくりと地面に降りる。

 しかし、地面は全て塵になってしまっていて、地面にはいつまでたっても辿り着かない。

 ただ俺の穴という穴の中に塵が入り込んできて気持ちが悪いだけだ。

 俺は憂鬱な気分になりながらも仕方がなく空を飛んで行った。

 次の目的地は月曜の現人神が統べる地だ。

 ここからだと1番近い場所ではある。

 日曜の現人神とはしょっちゅう喧嘩をしていて、それが原因で何度も戦争になっている。

 迷惑な話だ。

 やはりこいつらは殺さなくてはいけないな。

 俺は猛スピードで空を飛んで行った。

 近くにあるだけあって俺のスピードで行けばものの数十分で着くことが出来た。

 地理はそこまで得意なはずでは無いのだが、スキルのおかげで頭の回転や記憶力が良くなっているため、場所などはすぐに分かる。

 月曜の現人神の統べるところにはスラムというものは無い。

 しかし、その代わり奴隷制度があり、スラムに行くような人は奴隷になってしまうらしい。

 やはりこういうヤツらの考えはおかしい。

 弱者が搾取されるようなことは絶対にあってはならない。

 だからこそ俺は弱者も強者も平等に殺す。

 俺はまずは中心地であるような場所に降り立った。

 どこが中心地なのかはすぐに分かった。

 何故なら分かりやすく光り輝く白いドーム状の建物があったからだ。

 あそこに月曜の現人神が居るのだろう。

 もしかすると日曜の現人神もあそこに居るかもしれない。

 俺はその場所へと降り立った。

 すると、その瞬間周りから何人もの人が飛び出してきた。

 警備をしている人のようだ。

 俺はその人たちをサクッと殺し、ドーム状の建物への攻撃を開始する。

 ドーム状の建物は日曜の現人神の時と同じく何度攻撃したところで何度も再生した。

 あの魔法をぶつける魔法…………魔核合成魔法と呼ぼう。

 魔核合成魔法を使った時には壊すことが出来たから、もう一度使ってしまおうか…………。

 俺がそう考えていたその時、ドーム状の建物のてっぺんから誰かがでてきた。


「良かった、手間が省けたな。」


 俺はにやりと笑った。
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