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14話 反省会

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 朝起きると左肩の痛みは綺麗さっぱり消えていた。

 左肩を見るとまだカサブタはあったが、中身は治っているような感じだった。

 
 正直に言おう。俺はもう戦いたくない。

 だってあんなに痛いの嫌じゃん。それに危ないじゃん。

 だが、箱の力を使えばどうだろうか。例えば筋力のスキルを上げれば確実に攻撃力は上がるだろう。

 耐久のスキルを上げれば痛みにも耐えられるだろうし、再生のスキルを上げれば傷も早く癒えるだろう。

 それにもっと新しいスキルを入手出来ればもっと強くなるだろう。

 独りでこの力を使うと決めた以上我慢して戦うしかない。

 しょうがないから、昨日の反省をしよう。

 昨日の戦いで気がついたが、敵の数が増えるという事は単純な戦力の足し算じゃないんだ。
 
 例えばあのゴブリンの強さが倍になったとしても多分無傷で勝てるだろう。

 だが、二体になった途端にキツくなった。

 攻撃の後にはどうしても少しの隙が出てしまう。

 本気で殺しにかかってくる相手はその隙を見逃してくれない。

 だから俺は刺されたのだ。

 じゃあ、どうすればいいのか。

 それはその少しの隙を無くせばいいのだ。


 俺は箱を持ち、反復横跳びを始めた。

 これで多分速さが上がるスキルが手に入るだろう。

 単純に速さが上がれば攻撃される前に2体とも倒せたり、避けたり出来るだろう。


「ふっ、ふっ、ふっ。」


 しっかし、これは疲れるなぁ。

 早くも息が上がってきた。箱を3つ開けたところで少しきつくなってきた。自分の体力の無さが情けない。

 それでも頑張って開け続けていると頭に声が鳴り響いた。


【スキル《体力LV1》を入手しました】


 おっと、そっちが手に入ってしまったか。

 まぁ、仕方が無いか。最後の方とかもう歩いてるみたいなスピードだったからな。

 だが、これで次はちゃんと取れるだろう。


【スキル《体力LV2》を入手しました】


 またか。まぁ、LVも低かったし、2回目だったしな。とりあえず次はまずしっかり休んでからやろう。

 俺は15分ほど休んだ。LV1の時も体力が上がっている感じはした。

 そして今度はLV2だ。これは行けるだろう。3度目の正直だ!


【スキル《体力LV3》を入手しました】


 舐めてたー! 俺の体力の無さ舐めてたー!

 そりゃそうだよな。ネムちゃんに会いに行った時だってほぼ歩いてないのに息が上がってたしな。

 多分50m走るだけでも気持ち悪くなっていただろう。

 まぁ、別に体力も必要だし、このスキルも取っておいて良いだろう。

 俺はもう一度やり始めた。


【スキル《高速LV1》を入手しました】


 は、はぁ、よし! 手に入れたぞ!

 俺は効果も確かめずに布団にダイブした。

 グチョリという気持ちの悪い感触が背中に広がる。これだけ運動していれば汗もかく。

 俺は喉が渇いたので蛇口を捻り水を飲もうとするが、


キュッキュッキュッ


 蛇口を捻る音が空しく響く。

 水が出ない。

 そういえばだいぶ前から水は出ていないんだった。俺は水道水はあまり好きじゃないので大量にペットボトルで買い込んでいたので困らなかったため忘れていた。

 俺は面倒くさかったが、仕方なく冷蔵庫の中に入れておいてキンキンに冷えた水をがぶがぶと飲んだ。


「くぁーっ! 美味すぎる!」


 この美味さはなんなんだ!? 

 これが噂の運動後の水はどんな飲み物よりも美味い現象か!? 

 そんな噂信じてなど居なかったが、今ならはっきり分かる。

 運動後の水はどんな飲み物よりも美味い。

 きっと世の中の運動が好きな人達はこの水のために運動しているのだろう。そうとしか思えない。

 ペットボトルの水を全部飲み干し、俺は服を全て脱ぎ全裸でベッドへとダイブする。

 俺のベッドのシーツはタオルケットの素材なので、少しくらい汗をかいていても大丈夫だ。逆に気持ちがいいくらいだ。

 俺はもう動く気にはなれず、そのまま箱を開け始めた。

 時間は有効活用しないとね!

 本当は戦闘系のスキルを上げたいのだが、今は動く気にはなれない。

 だから、仕方が無くそのほかのスキルを取る事にした。

 というか、普通に考えたらわかったことなのだが、1番初めに上げるべきだったスキルは《解錠》だっただろう。

 完全に失念していたが、

 今の作業効率は完全にこのスキルのおかげなのだ。だから、ちょっと遅れてしまったが、今からこのスキルをあげることにした。

 《解錠》は何もしないでいれば取れるので、ある意味1番楽なスキルなのだが、それ以外のものに目が眩みすぎて全然あげられていない。

 なので今回であげられるだけ上げていこう。

 そうして俺はそのまま箱を開け続けたのだが、結果としてそれは大成功に終わった。

 何故なら、LVが1上がる事に作業効率はものすごい勢いで上がっていき、LV9になった頃には1番右の番号が分からないだけになっていた。

 これなら1個あけるのに1分もかからない。

 そうして上機嫌で箱を開けていると、いつもと違う声が聞こえた。


【スキル《解錠LV10》を入手しました】

【スキル《解錠LV10》がスキル《マスターキーLV1》に昇格しました】


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