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第二章
銀座の街中で
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いつも、機能的でモノトーンな服を着る彼女であるが、華やかな色の服装を着るのも、気分が高揚し悪くないと感じた。スカートのポケットについたビジューが日の光できらめく。スカートもブラウスもこの日のために準備した新品だ。
まずは駅前のホテルのラウンジで一人目の男性と会う予定であった。久しくはいていなかったヒールで一階へあるラウンジへ向かった。昼過ぎ、素手のラウンジには男女のペアが数組、向き合って座りコーヒーや紅茶を片手に談笑をしているようすが見えた。結婚相談所がお見合いに際してすでに席を予約しているため、係に案内されると、黒い革張りのカフェソファーに茶色い木製の丸いテーブルにたどり着いた。彼女の相手はまだ来ていないようで、空席だった。メニューを置いた。
待ち合わせは13時半、里奈はスマートフォンを取り出した。時計は13時20分を示していた。時間厳守がモットーな彼女は相手を待たせないように少し早めに来ていた。一瞬、彼女は下腹部に薄っすらと鈍い痛みが残っていることが気になった。
ただ、彼女がそんな不安をしていると間もなく相手がやってきた。そんな不安も相手が現れると消えていく。お見合い写真とはややイメージの違う男性であった。黒縁の眼鏡に薄い唇が強い印象であったが、前頭部の毛髪は後退していることに彼女は驚いた。写真の写し方によるものなのか、人相は悪くないが彼女は少し釈然としない気持ちを一瞬抱いたが、いつも、病院で患者さんに見せるように微笑んで見せた。お互い、飲み物を注文する。彼女としてはティアードトレイにのったスイーツのセットを食べたいところであったが、彼女はまず相手の頼むものが何であるかを待った。相手がブラックコーヒーを注文したため、里奈も相手に合わせることにした。
会話は当たり障りのない普段の生活や仕事の内容から始まっていく。その何気ない会話から相手の会社での立ち位置などを推察していかなければならない。彼のプロフィールには年収500万円と書いてあったため、里奈よりも少しばかり高給ではある。某大手工作機械会社の子会社勤務だということも分かった。彼女とすれば人柄がよければいいと思っていた。
ただ、相手はやたらとコーヒーを飲むペースが速い。相手のペースに合わせないと申し訳ないと思い、彼女もコーヒーもおかわりする。彼女が徐々に忘れていた、腹部の鈍痛がよみがえってきたのを感じた。そして、尿意も高まりピンク色のスカートから少し出た両膝をこする。お見合いの時間は標準的に一時間半である。徐々に彼女から積極的に発話することは無くなってきた。開始から一時間半ほどになり「そろそろ時間ですね。」と彼女は告げた。二人目との予定もある手前、ある程度のところで時間を切らざる負えない。相手が会計を頼む間、お手洗いに立った。彼女はついつい早歩きになるのを抑えつつ、用を済ませて席へ戻った。彼女としては切迫した感覚と反して、尿量が少ないことに違和感があった。先日の電車の中のイベントで、炎症を起こしてしまったのかもしれないと考えた。二人は、店を去りその場で解散した。その後も会い続けたいかどうかという事に関しては、結婚相談所に報告し、その上でお互いの意向が一致したところで連絡先が相談所から知らされる仕組みになっている。
彼女にとっては継続的に会い続けるかどうか保留したい気持ちであった。次の相手が彼女の本命であった。次の相手は30代前半と比較的若く、年収1000万ほどのエリートだったからだ。
まずは駅前のホテルのラウンジで一人目の男性と会う予定であった。久しくはいていなかったヒールで一階へあるラウンジへ向かった。昼過ぎ、素手のラウンジには男女のペアが数組、向き合って座りコーヒーや紅茶を片手に談笑をしているようすが見えた。結婚相談所がお見合いに際してすでに席を予約しているため、係に案内されると、黒い革張りのカフェソファーに茶色い木製の丸いテーブルにたどり着いた。彼女の相手はまだ来ていないようで、空席だった。メニューを置いた。
待ち合わせは13時半、里奈はスマートフォンを取り出した。時計は13時20分を示していた。時間厳守がモットーな彼女は相手を待たせないように少し早めに来ていた。一瞬、彼女は下腹部に薄っすらと鈍い痛みが残っていることが気になった。
ただ、彼女がそんな不安をしていると間もなく相手がやってきた。そんな不安も相手が現れると消えていく。お見合い写真とはややイメージの違う男性であった。黒縁の眼鏡に薄い唇が強い印象であったが、前頭部の毛髪は後退していることに彼女は驚いた。写真の写し方によるものなのか、人相は悪くないが彼女は少し釈然としない気持ちを一瞬抱いたが、いつも、病院で患者さんに見せるように微笑んで見せた。お互い、飲み物を注文する。彼女としてはティアードトレイにのったスイーツのセットを食べたいところであったが、彼女はまず相手の頼むものが何であるかを待った。相手がブラックコーヒーを注文したため、里奈も相手に合わせることにした。
会話は当たり障りのない普段の生活や仕事の内容から始まっていく。その何気ない会話から相手の会社での立ち位置などを推察していかなければならない。彼のプロフィールには年収500万円と書いてあったため、里奈よりも少しばかり高給ではある。某大手工作機械会社の子会社勤務だということも分かった。彼女とすれば人柄がよければいいと思っていた。
ただ、相手はやたらとコーヒーを飲むペースが速い。相手のペースに合わせないと申し訳ないと思い、彼女もコーヒーもおかわりする。彼女が徐々に忘れていた、腹部の鈍痛がよみがえってきたのを感じた。そして、尿意も高まりピンク色のスカートから少し出た両膝をこする。お見合いの時間は標準的に一時間半である。徐々に彼女から積極的に発話することは無くなってきた。開始から一時間半ほどになり「そろそろ時間ですね。」と彼女は告げた。二人目との予定もある手前、ある程度のところで時間を切らざる負えない。相手が会計を頼む間、お手洗いに立った。彼女はついつい早歩きになるのを抑えつつ、用を済ませて席へ戻った。彼女としては切迫した感覚と反して、尿量が少ないことに違和感があった。先日の電車の中のイベントで、炎症を起こしてしまったのかもしれないと考えた。二人は、店を去りその場で解散した。その後も会い続けたいかどうかという事に関しては、結婚相談所に報告し、その上でお互いの意向が一致したところで連絡先が相談所から知らされる仕組みになっている。
彼女にとっては継続的に会い続けるかどうか保留したい気持ちであった。次の相手が彼女の本命であった。次の相手は30代前半と比較的若く、年収1000万ほどのエリートだったからだ。
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