ある王族のはなし

及川雨音

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スオウ番外編 約束のはなし

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 その日、初めてレイとお風呂に入れることになった。
 いつもは父に連れ込まれているので俺が一緒に入れたことはない。その父は今日大事なパーティに出席するため遠出している。

 絶好のチャンスだった。


 「レイ、お風呂入ろう。洗いっこしよう」

 相変わらずの無表情だができる限り甘えた声を出してねだった。その体に触れられるのならこどもっぽく演出するのもわけない。

 「俺が全部する。髪も体もじっくり清めないと」

 父にベタベタ触られてたからな。
 あんなとこやこんなとこまで洗って痕跡を消してやる。

 「髪長いから大変だぞ」
 「する。俺、レイの髪好きだから」

 サラサラの美しい髪は濡れてしっとりしたらより輝きを増すだろう。

 「このままのほうが洗いやすいと思うんだが」

 レイが首をかしげた。可愛い。

 確かにそのもふもふを洗う誘惑も捨てがたいが体を撫でまわすという目的のため断念した。

 
 最初にレイに髪を洗ってもらった。
 頭を撫でられているかのようですごく気持ちがいい。
 その手つきは手慣れていて父に嫉妬した。
 たぶん毎日洗ってもらっているのだ。
 贅沢な身分だ。自分で洗え。
 俺は誰にも触られたくないので自分で洗っている。
 使用人が困っているが知ったことか。

 ああ、レイが毎日洗ってくれたらいいのに。

 このまま父が帰ってこなければ俺は極上な毎日を過ごせるのに。
 力を付けたら暗殺してしまおうか、などと物騒なことを半ば本気で考えさせられる。

 まったくレイは魔性だ。

 レイが手にボディソープを出す。
 ぬるぬるしている液を泡立てている姿がエロい。
 俺は期待で体が熱くなった。
 その手でこれから体を撫でまわしてくれるのだ。

 丁寧に肌を滑るレイの手。

 俺のものを洗ってもらう時、ついレイの手に重ねて執拗に上下させてしまった。
 擦られるたびにぬるぬるが増して夢中になった。

 「ませてる」

 レイがクスッと笑った。
 誘惑されているかのようだ。
 俺が満足するまで好きに手をさせてくれている。
 そのまま甘えて思う存分堪能した。

 「次は俺が洗う」

 予想した通り、濡れた髪はすごく美しかった。
 同じシャンプーを使ったはずなのにレイの頭皮からは良い匂いがした。
 体を洗うために髪を結って露わになったうなじを舐めたくなった。

 ボディソープを手だけではなく体にもつけて後ろから抱きついた。
 手を前に回し胸を揉みしだく。乳首が尖って指で押しつぶすとレイが啼いた。背中に体を擦りつけて泡立たせる。密かに俺のものも間に挟んでなすりつけた。うっすらついた筋肉を撫で、下の毛に泡をつけるがその先には触れない。

 お楽しみは最後に取っておく。

 大事な部分には触れずにしなやかな足を撫でまわしていく。
 全部が性感帯になったかのように、レイの肉体はビクビクと震えた。

 「レイは敏感だね」

 こんな淫乱な体を抱いているのかと思うと父に殺意が湧く。
 爪の先まで綺麗にした。

 レイと向かい合う。
 目はとろんと快感に染まっていた。
 この顔は俺がさせたのだ。
 耳もしっぽもくたんとしている。

 「ちゃんと洗うから。隅々まで」

 レイを横たわらせて両足をガバリと開いた。

 すると。

 「……っ!」

 レイは男だと思っていた。
 胸は膨らんでいないし、立派なものがついていたからだ。

 だから。

 その奥に、女の証である秘所が隠れていたなどと思いもしなかった。

 割れ目からとろ~と透明な液がこぼれた。

 「ん……あんま見んな」

 そんなことを言っても煽るだけだ。

 よく見るために一旦シャワーで泡を洗い流した。
 割れ目にも強めにお湯を押し当てる。

 「んぁっ……」

 刺激でレイがぶるっと震えた。

 「これはどういうこと、レイ」
 「っあ、俺は男だけど女でもあ……っる」
 「じゃあ子供が産めるってこと?」
 「まぁ、な」
 「へぇ……」

 割れ目を指で撫でさする。

 「じゃあ俺を産んだのはレイだね」

 またとろとろと蜜がこぼれてくる。

 「ホントお前らって察しいいよなぁ」

 関心したようにレイが呟いた。

 分かるにきまってる。
 孕ませられるなら種付けしまくるだろ、普通。
 これでこの国に王妃がいない謎が解明した。てっきり俺を産んで用無しになったからどこかに追いやられているのかと思ったが。
 レイが母親だったのか。

 ということは、俺の子も産めるわけだ。

 ちゅぷっと音をさせて指を挿入した。

 ここから俺は出てきたのか。

 なんだか興奮してきて、どんどん奥へと指を突っ込む。気づけば手首まで入っていた。

 「あぅっ……くるしっ」

 いつも父のものを銜えこんでいるのだからもっと奥までいけそうだが。
 手だけじゃ満足させることが出来ない。
  子どもの体なのが悔しい。
 今すぐにでもぶち込んで孕ませてやりたい。

 「レイ、俺が大人になったら子どもを産んでほしい」

 ここで、と手をぐりっとさせた。
 レイの体がしなる。感じすぎて涙が出ている。
 舌で舐めとってそのまま口づけた。
 拙いながらも必死に舌で口内を愛撫する。

 「んーんぅんっ」

 甘く切ない声に煽られる。

 「約束して、産むと」
 「ス……オウの」
 「うん」
 「子ども……産んでやる……っよ」
 「うん。絶対だよ」

 レイが首をこくこくと縦に振る。

 「約束して」
 「あぁ……約束」

 チュ、と約束の口づけを交わした。



 それが最後の夜となった。

 翌日、あの事件が起きて、俺はレイとの記憶を失うこととなる。




 スオウ番外編おわり
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