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ミルト番外編 赤ちゃんの頃のはなし
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あるとても暖かな日のことです。
ふと、ミルト王子はお昼寝から目覚めました。
辺りを見回しますと、求めてやまない存在がいません。
いるのは陽気に誘われてつい眠ってしまったのでしょう子守りだけです。
ミルトは一気に不機嫌になりました。
けれどここでぐずっても愛しい存在でなくこの女が起きてあやそうとするのだと理解しているミルトは、いっそ好都合だと起こさないよう音を立てず、最近できるようになったハイハイで部屋を抜け出し愛しい存在を探しに行くのでした。
探しに行くといっても場所はわかっていました。
こんなぽかぽかした日はだいたいあそこにいると、いつのときも愛しい存在から目を離さなかったミルトには予想できました。
それに、愛ゆえでしょうか、あそこにいると勘が告げるのです。
ガラス張りのドーム型の建物内には樹が生い茂っていて、陽射しと葉陰で良い塩梅に心地よい温度が保たれています。
つるつるに磨かれた大理石を這っていくと、中央に陽射しのせいだけではなく神々しく眩しく輝く漆黒のオオカミが横たわっていました。
いた。
嬉しくてつい興奮して全速力で近づいてみますと、どうやら眠っているようです。
すぴすぴと気持ちよさそうに寝息をたてています。
柔らかなもふもふとしたおなかが上下に緩やかに動いていて、誘われるようにそこへ顔をうずめました。
あったかくて、とても良いにおいがします。
だいすきな、だいすきな、ぼくの……
しばらく堪能していましたが、そのうち何故自分が起きたのかを思い出しました。
おなかが空いたのです。
目の前には、甘いみるくのにおいをして誘う乳首があります。
本当はすぐさま本能のままにむしゃぶりつきたいのですが、こんなにも気持ちよく眠っているのを起こすのは大罪だと思い、起こさないようゆっくりとお乳に吸いつきました。
そこからはもう夢中でした。
んくんくと一生懸命みるくを飲みます。
ぷっくりと歯みごたえのよい乳首をあむあむと甘噛みします。そうすると、ぴゅっぴゅっとみるくが飛び出てくるのです。
ミルトはおなかいっぱいになっても乳首をつかんで離しませんでした。誰にも渡さない、というように小さなおててでやんわりと握っています。
「っんぅ……」
その刺激にさすがに目を覚ましたようです。
毛並みと同じ美しい漆黒の瞳が現れます。
「れー!」
目が合うと、ミルトはにぱっと満面の笑みで乳首は離さず笑いかけます。
レイはまだ少し寝ぼけているのでしょうか、きょとんとしてご満悦のミルトを見ています。
そして口の周りがみるくでベタベタなのに気付くと舌でぺろぺろと舐めとってあげました。
それに更に喜びはしゃぐミルトが掴んだままの乳首におもわず力を籠めるので、みるくが大量にあふれてふかふかの毛並みが甘い汁でぐちょぐちょになっています。
「腹減ったから抜け出してきたのか」
「んぅー!」
それもありますが一番はレイの傍にいたかったからです。
ミルトはそう主張したつもりですが残念なことにまだ喋れないのでレイには伝わりませんでした。
不甲斐ない自分に立腹してぷりぷりすると、急にご機嫌斜めになったミルトをあやすようにレイがしっぽでほほをくすぐってきます。
自由奔放なレイが自ら構ってくれるのは珍しいことなので、すぐにキャッキャッと機嫌が直ります。
「つーか今頃大騒ぎになってんじゃねえの」
「まったくだよ」
そこに、ミルトの父親であるユイト王が登場しました。
困った子だ、などと言いながらもニッコニコの笑顔です。セリフと表情が合っていません。
レイに会える口実になったのですから本音はよくやったと思っているのでしょう。
「駄目だろう、勝手に抜け出して。皆心配したんだよ。まあレイに会いに行ったんだろうことは察してたからすぐに僕のところへ報告がきてこうして迎えに来たんだけど」
しかし一応嗜めておくようです。
けれどはたして満面の笑みで叱られて効果はあるのでしょうか。
ミルトはしらんぷりしてレイにじゃれついています。
そのレイがみるくまみれなのに気づくと、ユイトは目を輝かせて「僕も♪」とミルトとは反対の乳首に吸い付きます。
「おいしいよ、レイ」
おいちいとでも言いだしそうに甘ったれています。
ちゅっちゅくと幼児のように飲むユイトを見てレイは引きませんでした。
何故ならユイトはレイの産んだ子供だからです。
立派な大人の男になろうがその事実は変わらないので何をされても受け入れるのでした。
それはいつの時代・場所でも変わることはありません。
故郷でもよく見られた光景だったのです。
子どもに母乳を与えていると、弟が自身の子であるにも関わらず無慈悲に引きはがして、みるくで濡れた胸にむしゃぶりついてきたものです。
それに他の子らが便乗して愛撫のようにみるくまみれのレイの美しい肉体を舐めまわしてくるのですから快感がハンパではなく、甘い拷問のように絶頂でびくんびくんと震えが止まらないものでした。
その時に比べるとこの授乳は穏やかなものです。
ユイトは子どもっぽい性格なので、息子に優しくしている母を見て幼児帰りモドキでも起こったんだろうとレイは冷静に傍観していました。
満腹になったミルトはうつらうつらと船を漕いでいます。
ぽすん、と頭が毛に埋もれました。
穏やかな寝顔を見て、レイとユイトは優しく笑い合いました。
今日も王国は平和です。
ミルト番外編おわり
ふと、ミルト王子はお昼寝から目覚めました。
辺りを見回しますと、求めてやまない存在がいません。
いるのは陽気に誘われてつい眠ってしまったのでしょう子守りだけです。
ミルトは一気に不機嫌になりました。
けれどここでぐずっても愛しい存在でなくこの女が起きてあやそうとするのだと理解しているミルトは、いっそ好都合だと起こさないよう音を立てず、最近できるようになったハイハイで部屋を抜け出し愛しい存在を探しに行くのでした。
探しに行くといっても場所はわかっていました。
こんなぽかぽかした日はだいたいあそこにいると、いつのときも愛しい存在から目を離さなかったミルトには予想できました。
それに、愛ゆえでしょうか、あそこにいると勘が告げるのです。
ガラス張りのドーム型の建物内には樹が生い茂っていて、陽射しと葉陰で良い塩梅に心地よい温度が保たれています。
つるつるに磨かれた大理石を這っていくと、中央に陽射しのせいだけではなく神々しく眩しく輝く漆黒のオオカミが横たわっていました。
いた。
嬉しくてつい興奮して全速力で近づいてみますと、どうやら眠っているようです。
すぴすぴと気持ちよさそうに寝息をたてています。
柔らかなもふもふとしたおなかが上下に緩やかに動いていて、誘われるようにそこへ顔をうずめました。
あったかくて、とても良いにおいがします。
だいすきな、だいすきな、ぼくの……
しばらく堪能していましたが、そのうち何故自分が起きたのかを思い出しました。
おなかが空いたのです。
目の前には、甘いみるくのにおいをして誘う乳首があります。
本当はすぐさま本能のままにむしゃぶりつきたいのですが、こんなにも気持ちよく眠っているのを起こすのは大罪だと思い、起こさないようゆっくりとお乳に吸いつきました。
そこからはもう夢中でした。
んくんくと一生懸命みるくを飲みます。
ぷっくりと歯みごたえのよい乳首をあむあむと甘噛みします。そうすると、ぴゅっぴゅっとみるくが飛び出てくるのです。
ミルトはおなかいっぱいになっても乳首をつかんで離しませんでした。誰にも渡さない、というように小さなおててでやんわりと握っています。
「っんぅ……」
その刺激にさすがに目を覚ましたようです。
毛並みと同じ美しい漆黒の瞳が現れます。
「れー!」
目が合うと、ミルトはにぱっと満面の笑みで乳首は離さず笑いかけます。
レイはまだ少し寝ぼけているのでしょうか、きょとんとしてご満悦のミルトを見ています。
そして口の周りがみるくでベタベタなのに気付くと舌でぺろぺろと舐めとってあげました。
それに更に喜びはしゃぐミルトが掴んだままの乳首におもわず力を籠めるので、みるくが大量にあふれてふかふかの毛並みが甘い汁でぐちょぐちょになっています。
「腹減ったから抜け出してきたのか」
「んぅー!」
それもありますが一番はレイの傍にいたかったからです。
ミルトはそう主張したつもりですが残念なことにまだ喋れないのでレイには伝わりませんでした。
不甲斐ない自分に立腹してぷりぷりすると、急にご機嫌斜めになったミルトをあやすようにレイがしっぽでほほをくすぐってきます。
自由奔放なレイが自ら構ってくれるのは珍しいことなので、すぐにキャッキャッと機嫌が直ります。
「つーか今頃大騒ぎになってんじゃねえの」
「まったくだよ」
そこに、ミルトの父親であるユイト王が登場しました。
困った子だ、などと言いながらもニッコニコの笑顔です。セリフと表情が合っていません。
レイに会える口実になったのですから本音はよくやったと思っているのでしょう。
「駄目だろう、勝手に抜け出して。皆心配したんだよ。まあレイに会いに行ったんだろうことは察してたからすぐに僕のところへ報告がきてこうして迎えに来たんだけど」
しかし一応嗜めておくようです。
けれどはたして満面の笑みで叱られて効果はあるのでしょうか。
ミルトはしらんぷりしてレイにじゃれついています。
そのレイがみるくまみれなのに気づくと、ユイトは目を輝かせて「僕も♪」とミルトとは反対の乳首に吸い付きます。
「おいしいよ、レイ」
おいちいとでも言いだしそうに甘ったれています。
ちゅっちゅくと幼児のように飲むユイトを見てレイは引きませんでした。
何故ならユイトはレイの産んだ子供だからです。
立派な大人の男になろうがその事実は変わらないので何をされても受け入れるのでした。
それはいつの時代・場所でも変わることはありません。
故郷でもよく見られた光景だったのです。
子どもに母乳を与えていると、弟が自身の子であるにも関わらず無慈悲に引きはがして、みるくで濡れた胸にむしゃぶりついてきたものです。
それに他の子らが便乗して愛撫のようにみるくまみれのレイの美しい肉体を舐めまわしてくるのですから快感がハンパではなく、甘い拷問のように絶頂でびくんびくんと震えが止まらないものでした。
その時に比べるとこの授乳は穏やかなものです。
ユイトは子どもっぽい性格なので、息子に優しくしている母を見て幼児帰りモドキでも起こったんだろうとレイは冷静に傍観していました。
満腹になったミルトはうつらうつらと船を漕いでいます。
ぽすん、と頭が毛に埋もれました。
穏やかな寝顔を見て、レイとユイトは優しく笑い合いました。
今日も王国は平和です。
ミルト番外編おわり
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