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えっ?意識不明ですの?
しおりを挟むジュリアが出て行った後、私は暫く考え込んでいました。スーザンたちが部屋に戻ってきましたが、私はいつになく話し掛けづらい雰囲気だったと思います。
ジュリアが言いたかったことをまとめてみましょう‥。えーっと‥‥私がレックス様に恋をしているという噂は嘘じゃなくて、ジュリアはレックス様に嫉妬してて、私は自分の気持ちに鈍感‥‥?
ていうかジュリアがレックス様に嫉妬ってどういうことなんですの‥。その情報いるのかしら?可愛い顔してたとかなんとか言ってましたけど、そんなの鏡を見てないから分かりませんわ!!!‥‥はぁぁぁぁ。
「スーザン‥私って自分の気持ちを持ってるのかしら」
「‥‥‥そうですね。持ってると思いますよ。可愛いドレスや可愛いアクセサリーなどを欲しがったりするじゃないですか」
私の唐突な質問にも、しっかり答えてくれるスーザン‥。いつもありがとう‥。
「そうよね!それは間違いなく私の意思だわ!欲しい、ゲットした、嬉しい!ってなるもの!」
「ええ。ですがアリー様の場合は‥」
「え?」
「そのゲットした品物たちを容赦なくジュリア様に押し付けていますね」
「‥‥‥それは」
「それも、ジュリア様を思って“こうしてあげたい!”という気持ちがあるからでしょうね」
「だぁぁぁ!!ったく本当何で貴女たちはそう捉えるのかしら!!理解不能だわ!!私はノーランド家の為にやってるの!!!」
「‥‥はい」
スーザンが不服そうに返事をしていた。不服なのはこっちよ!!
「‥‥ジュリアに、自分の気持ちに鈍いって言われたのよ」
「なるほど‥。簡単に言うならアリー様は自身に対しての欲があまりないんだと思いますよ。だから自分のものを手放すし、自分を犠牲にして動くんじゃないでしょうか」
「はぁーー、なんかそれしっくりきたかもしれないわ。さすがスーザンね」
「それ程でも」
自身に対する欲、ねぇ‥‥。
ジュリアの膨れっ面を思い返しながらぼーっとしていると、アンナが控えめに声をかけてきました。
「ア、アレクサンドラお嬢様‥宜しければ髪を結っても宜しいですか?今日のドレスはピンク色なので、流行のパールの髪留めが似合うと思うんです」
既に化粧は済ませていたけど、髪はまだ結っていませんでした。アンナなりに、私の気持ちを上げようとしてくれているのかもしれません。
「ありがとう、アンナ」
私がそう言うと、少しだけ照れたような表情を浮かべてました。
よかった‥なんだかんだ距離が縮まっているわね。
目を瞑って髪が結い終わるのを待ちます。
まさか、このまま意識を失ってしまうなんて思いもしませんでした。
*
「アンナ待て、お前それ‥」
スーザンがアンナの手元を見て顔を青くした。一方でアンナは一体どうしたのかと首を傾げている。
「どうしましたか?スーザンさん」
「そのヘアブラシ、どこから持ってきた?」
「え?あ、これですか?昨日ヘアブラシが壊れてしまって、でも以前アレクサンドラお嬢様が部屋のもの好きに使っていいと仰っていたので、その白い箱にーーーー」
アンナの言葉を待たずに、スーザンはアンナの手首に手刀を喰らわせた。その弾みでヘアブラシが床に落ちる。
「いっ?!」
突然の痛みに悶えるものの、スーザンの顔は真剣なものだった。
「すぐに旦那様と医者を呼べ。そしてジュリア様も」
「え、え?」
「このヘアブラシは、一度でも使えば呪われるという代物。アンナは様子が変わらないから、恐らくヘアブラシで髪を梳かされた側が呪いにかかるということなんだろう」
「っ!!わ、私、知らなくてっ!」
「いいからまず呼んでこい」
「は、はいっ!!!」
アンナは泣きながら部屋を飛び出して行った。ジュリアの買い物に毎度毎度同じ侍女が付き添っているわけじゃない。ましてや曰く付きの代物がアレクサンドラの部屋に置いてある方がおかしい為、スーザンはアンナを責めることができなかった。
次第にアレクサンドラの部屋にはわらわらと人が集まり、ちょうどノーランド侯爵家に居合わせたレックスもその事態を知ることになる。
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