7 / 22
第6話
しおりを挟む
私も蒼くんも良いペースでビールを飲み続けて、随分と酔っ払ったところで今日を終えることにした。歯ブラシもコンビニで調達してたのでそれを使用する。
布団は一階のリビングに敷くことにした。勿論並べて敷いてはいないけど、こんな世の中だし宇宙人が来るかもしれないし、怖いからすぐ近くに敷いた。ちなみに蒼くんは「え?同じ部屋で寝んの?」とちょっと嫌そうだった。
飲んでる間もこの世界の有り様についてとか、この状況は夢なんじゃないかとか、そんなことばかり話した。蒼くんは然程興味もなさそうに相槌してるだけだったけど。
布団に入った今も、これは夢なんじゃないかと本気で思う。明日目覚めたら記憶を取り戻して、沢山の人がいる世界に戻っているんじゃないのかなって。
そう思ってしまうほど、この世界はまるで現実味がない。
ーーまぁ朝を迎えたら相変わらず2人ぼっちの世界だったんだけど。
今日はもっと色々な所に探検に行こう!蒼くんに軽トラで行けるところまで連れてってもらおうっと。
そもそもこの土地はどこなのかしら。あ、民家の入り口に住所書いてないかな?
蒼くんはまだ起きてなかった。スーッと小さな寝息を立てて気持ち良さそうに寝てる。もう既に気温は上がってきてるのに、よく寝続けられるなぁ‥
眠る蒼くんを横目に、私は玄関の外に出た。辺りを見渡すと郵便受けがあって、そこには湯沢市から始まる住所が書かれていた。湯沢市‥って秋田よね?私って秋田に住んでいたの?
部屋に戻ると蒼くんが上半身を起こして目を擦っていた。蒼くんの天パ気味の黒い髪が、寝癖でさらに無重力状態になっている。
「おはよう」
「‥おはよ‥‥」
「蒼くんってどこに住んでたの?」
「‥え?俺?神奈川‥」
「そうなの?ここ秋田らしいんだけど。
なんでここにいるんだろう‥?」
「‥‥‥さぁ?」
蒼くんはまた然程も興味なさそうに欠伸をしながらそう答えた。
‥蒼くんは記憶があるんでしょ?起きたら世界がこんな有り様になってて、おまけに神奈川に住んでたのに秋田に飛ばされてるんでしょ‥?
「あ、蒼くん‥。
どうしてそんなに冷静なの?」
「え?」
「ご両親とか友だちとか、恋人とか、職場とか‥
何にも気にならないの?記憶あるなら尚更パニックになりそうだけど」
私がそう言うと、蒼くんはノソノソと起き上がってペットボトルのお茶を飲み出した。
「‥‥別に、気にならない」
「えぇ?!普通神奈川に行きたくなるんじゃないの?!
みんなの無事確かめたくなるよね?!」
私は記憶がなくて自分の大切な人も思い出せないから、確かめようがないの。でも蒼くんは違うよね‥?
「‥‥リカが目覚めるまで結構時間あったんだよ。その間に色々考えたっつーか、まぁ、そんな感じ」
蒼くんはやっぱり興味無さそうにそんなことを言った。
でも、私がもし記憶があったなら‥絶対にこんな短時間の間に納得して冷静になれたりしないと思う。
蒼くん、よっぽど淡白なのかな‥?
布団は一階のリビングに敷くことにした。勿論並べて敷いてはいないけど、こんな世の中だし宇宙人が来るかもしれないし、怖いからすぐ近くに敷いた。ちなみに蒼くんは「え?同じ部屋で寝んの?」とちょっと嫌そうだった。
飲んでる間もこの世界の有り様についてとか、この状況は夢なんじゃないかとか、そんなことばかり話した。蒼くんは然程興味もなさそうに相槌してるだけだったけど。
布団に入った今も、これは夢なんじゃないかと本気で思う。明日目覚めたら記憶を取り戻して、沢山の人がいる世界に戻っているんじゃないのかなって。
そう思ってしまうほど、この世界はまるで現実味がない。
ーーまぁ朝を迎えたら相変わらず2人ぼっちの世界だったんだけど。
今日はもっと色々な所に探検に行こう!蒼くんに軽トラで行けるところまで連れてってもらおうっと。
そもそもこの土地はどこなのかしら。あ、民家の入り口に住所書いてないかな?
蒼くんはまだ起きてなかった。スーッと小さな寝息を立てて気持ち良さそうに寝てる。もう既に気温は上がってきてるのに、よく寝続けられるなぁ‥
眠る蒼くんを横目に、私は玄関の外に出た。辺りを見渡すと郵便受けがあって、そこには湯沢市から始まる住所が書かれていた。湯沢市‥って秋田よね?私って秋田に住んでいたの?
部屋に戻ると蒼くんが上半身を起こして目を擦っていた。蒼くんの天パ気味の黒い髪が、寝癖でさらに無重力状態になっている。
「おはよう」
「‥おはよ‥‥」
「蒼くんってどこに住んでたの?」
「‥え?俺?神奈川‥」
「そうなの?ここ秋田らしいんだけど。
なんでここにいるんだろう‥?」
「‥‥‥さぁ?」
蒼くんはまた然程も興味なさそうに欠伸をしながらそう答えた。
‥蒼くんは記憶があるんでしょ?起きたら世界がこんな有り様になってて、おまけに神奈川に住んでたのに秋田に飛ばされてるんでしょ‥?
「あ、蒼くん‥。
どうしてそんなに冷静なの?」
「え?」
「ご両親とか友だちとか、恋人とか、職場とか‥
何にも気にならないの?記憶あるなら尚更パニックになりそうだけど」
私がそう言うと、蒼くんはノソノソと起き上がってペットボトルのお茶を飲み出した。
「‥‥別に、気にならない」
「えぇ?!普通神奈川に行きたくなるんじゃないの?!
みんなの無事確かめたくなるよね?!」
私は記憶がなくて自分の大切な人も思い出せないから、確かめようがないの。でも蒼くんは違うよね‥?
「‥‥リカが目覚めるまで結構時間あったんだよ。その間に色々考えたっつーか、まぁ、そんな感じ」
蒼くんはやっぱり興味無さそうにそんなことを言った。
でも、私がもし記憶があったなら‥絶対にこんな短時間の間に納得して冷静になれたりしないと思う。
蒼くん、よっぽど淡白なのかな‥?
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪
naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。
「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」
そして、目的地まで運ばれて着いてみると………
「はて?修道院がありませんわ?」
why!?
えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって?
どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!!
※ジャンルをファンタジーに変更しました。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる