218 / 263
二章 宝物捜索 編
04
しおりを挟むライフが聖獣を創り出したのも、きっと感情面でなにかを知る事が出来ると思ったから……
なんて事を前に聞いて知ったけど、
その意味がやっと理解した
誰にも会わず、話し相手すら居ないここでずっと独りぼっちなのは辛いと思う
俺なら耐え切れなくて孤独死すると思うぐらい、人っていうのは一人じゃ生きていけないんだ
それが神様だろうとも、元々人間としての記憶が残ってるなら、寂しいと思う
「 っ……!コウ…ガ? 」
背後から腰辺りへと抱き着いて、摺りつく俺に彼は驚きながら顔を向けた
『 そんなの、寂しいじゃんか……。俺がここに来る事が許可されてるなら…俺はずっと…シロの側にいるから…… 』
「 ライフが作った町が楽しみなんじゃないのか? 」
『 そんなのいい!シロと会えないなら、行かなくたっていい! 』
駄々を捏ねる子供のようで、俺は結局…聖獣としても、心の面でも成長しきれてない未熟者だと思う
困らせてばかりだと自覚しても、
今…この手を離せば、シロは寂しそうにすると思ったからだ
ライフには申し訳ないけど……
俺は、シロの元から離れる事は出来ない
「 此処はつまらない場所だというのに、御前は俺の元を選ぶんだな 」
呆れたように溜息を吐いた彼は、身体を動かした事に合わせてちょっと腕を緩めれば、膝を曲げしゃがみこんだ
敢えて目線を合わせ、大きな手は頬へと触れた
『 ん…… 』
「 コウガ、御前を愛してる 」
言おうとした言葉が見つからなかったように
全ての感情をその一言で表したシロは、前髪へと口付け落とし、俺の背中に腕を回し引き寄せてきた
肩口へと顎を乗せ、軽く髪へと頬を擦り寄せれば軽々と身体を抱き上げられた
『 っ……これはちょっと、恥ずかしい…… 』
子供のように片腕で支えられてる事に、確かにチビだけど……
恋人なんだ…と言いたくて口先がモゴモゴしてしまえば、シロは鼻で笑い気に求めず寝室の方に歩いていく
「 俺は、物作りには長けてないが……。御前の為ならもう少し、この内装を考えてもいい 」
『 やっぱり、ライフは物作りが得意だからあんな空間がつくれるんだな? 』
「 嗚呼、他の神々もそれなりに好きな場所へと変えていくだろうが。俺はまだ新米だからな…受け取ったものを変えていく事をしてないだけだ。この城や、周りの背景すら好きなように出来るはずだが…… 」
『 センスがないってことな! 』
どんな風にしたらいいのか分からないみたいなシロに、一言で言い表したら彼は分かりやすく眉を寄せた
センスが無いって言われたくなかったんだ……
いや、でも…数の多い廊下とか、
無駄に部屋数が多かったり、お風呂が沢山あっても困ると思うんだ
「 やっぱり軍人をしてたから、罠とか置いてたのが間違いか 」
『 俺、それに当たらなくて良かったよ!寧ろ、誰に攻められるって認識で作ってたんだよ!? 』
「 いや、御前の気配には作動しないようにしてたが…例えば 」
シロは爪先で、カツンと廊下に音を立てた瞬間、床から剣山がズラっと出てくるわ、左右から槍やら鉄砲玉が放ち、しまいには廊下の壁が狭くなり、デカい岩が転がってきた
『 意味分かんない!!逃げて!逃げて!! 』
「 ははっ、此のぐらい避けれるようにならなければ、戦場じゃ死ぬぞ 」
『 聖獣は死なないって言いたいけど!これは心が折れる!! 』
避ける為に俺を肩へと担いだシロは、そのまま走りながら剣山やら避けていくけど
俺は目の前に剣が現れて怖い!
めちゃくちゃ怖いんだからな!
尻尾が腹へと丸まってペタリと耳が下がりきった頃に、やっと寝室へと戻った
「 久々に楽しかったな? 」
『 楽しくねぇよ!!ちびるかと思ったじゃんか!ちびってないけどな! 』
なんで、そんなに爽やかに笑ってるのか分からないぐらい恐ろしかったんだけど……
俺がプルプル震えてるのを見てシロは、とてもいやーな顔をした
「 折角なんだ、ここに居る間に暇つぶしがてらに鍛えたらいい。御前の気配には作動しないつもりだったが、作動させよう 」
『 え、いや……死ぬよ?俺、真面目に……最初の剣で串刺しになるよ?? 』
「 問題ない。聖獣は死なないからな。それに俺にも痛みがある。そう、下手に受けないだろ? 」
シロにも痛みがいくってのは知ってるけど
神の庭の修行の続行が、余りにも過酷な気がするんだけど……
まだ、攻撃を避けてるだけの方がいいと思っていれば、シロは笑った
「 それとも、呼ばれるまで交尾をし続けるのどっちがいい? 」
『 どっちもハード過ぎて選べないんだが……選べって顔だよな……。マジか…… 」
正直、シロはいいだろうけど…俺はまだ小さいから体格差でハードなんだよ
あんな身体に合わないやつを突かれると、精神的にも肉体的にもボロボロになる
俺が色々感じるなら、シロにも流れてこんでるはずなのに…
それでもやるって……とんだ変態だよ
今に始まって無いからなんとも言えないが……
「 じゃ、始めようか。俺の訓練はハードだぞ? 」
『 訓練ってレベルなんだな!?俺は元大学生だぞ!?自衛隊に所属なんてしてないからな!!いやぁぁぁぁあ!! 』
シロが床を踏んだ瞬間、床は揺らぎ俺はズルズルと廊下へと出された
泣き泣き立ち上がれば背後から迫る剣の付いた壁に押しつぶされそうな勢いだったから、走るしかない
やっぱり、交尾を選択したほうが良かったかも知れない……
0
お気に入りに追加
2,188
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる