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二章 宝物捜索 編
07
しおりを挟むライフが言っていた、会う必要の人物だと……
倒すことは目的にしてたのに、何故だろうか、
苦しんで叫ぶような声に身体は動かなくて
この感覚は知っている…魂を奪われた時に脚が動けずにいた時のだ
あの時は、ネロが助けてくれたから俺が立ち向かうことが出来たけど、今はなんだ……
圧倒的な力の差に、身体は動かないなんて…強くなった意味が無いじゃないか
「 牙狼雷神! 」
「 はっ、雷程度の子犬が!樹神天帝 」
「 どうかな。燃えろ、黒狼炎 」
彼等の魔法がぶつかり合い、辺りの木々は倒れていき、ソレイユの身体に傷が入る度に俺の身体にも密かな痛みが走る
彼が怪我をするのに、俺が突っ込んだらまた腹を突き刺されるんじゃないか
例え、枯れてる姿としても一本縄のような蔓の尖端は槍のように尖りソレイユを襲い
軽く避ける彼にすら、服を裂いて傷をつけ、互いに高速再生を持ってるからこそ俺の出番は無いんじゃないか
手を貸す?どのタイミングで?
風圧に堪えて飛んでくる流れ弾のような魔法を、氷壁を使って防ぐしか出来ない俺が、何処で力を貸せばいいんだ
「 火属性の耐性は持ってるんだよね~!!爆炎! 」
「 どれだけ合成してるんだ……!雷壁!二重合成魔法、土竜雷天狼 」
「 アハハッ!そんな忘れたよ!樹壁 」
ソレイユの土の狼は雷の鎧を纏い、走って突っ込むがジョセフが作り出した蔓が編み込まれた壁によって塞がれた
爆発音と砂煙が上がり、顔を背けた俺を他所に二人の攻防戦は続く
「 っ……馬鹿みたいに、合成した聖獣に使い慣れてやがる……
それになんだ、俺の魔力が通用しない? 」
「 ふはっ、残念でした……死海樹…… 」
食虫植物が咲いた瞬間に悪臭が放ち、ソレイユが鼻に腕を置き隠したのに気付き、俺も直ぐに氷の鎧を変形させ、口と鼻を覆ってガスマスクをつければ辺りの木々は一瞬にして枯れていく
身体に感じる痺れに目を開けば、ソレイユは膝を付いた
「 っ……毒か…… 」
「 毒耐性が無いときついよね……アハハ……まずは君から合成してあげる…… 」
『 ソレイユ!! 』
俺がガスマスクを着けたから平気なのか?そんなの、きっと違うぐらいに俺にはこれが効いてないようにも思えた
彼へと近付いたことで、立ち止まっていた脚を動かし手を伸ばせば、合成の魔法陣は発動した
「 アハハッ、二匹セットでもいいよ~? 」
「 ファル…… 」
「 はいよ、無時空間 」
「 なっ!? 」
聞き覚えのある声と、辺りが真っ暗になった瞬間に木々のない大地へと移動していた
ソレイユの肩に触れる俺は、合成されてないことに安心を覚えるも、ふっと笑われた声に顔を向ける
「 随分と苦戦してんじゃねぇか~?たかが、死に損ない一匹だろ? 」
『 ファル…… 』
「 うるせぇ……直ぐに終えるつもりだ 」
死神の姿をしたファルが居ることに、彼の時空間へと連れてこられた事で助けられたのだと知る
ソレイユは息を吐き立ち上がれば俺の手から離れ、此方を向いた
『 っ…… 』
その冷たい瞳に一瞬、息が詰まる
何故、手助けしないのか言いたいのだろうか
怒られても仕方無いと身を竦め、彼の手は動き反射的に目を閉じれば、痛みは無く、変わりに優しく撫でられていた
『 えっ……? 』
「 よく頑張ったな。あんな敵、俺でも主を守りきれるか分からん 」
『 っ……ん…… 』
「 もう、御前が失うことに怯える主は無事だ。この空間なら好きなだけ殺し合うことが出来る 」
彼の優しさに胸が熱くなり、鼻先が痛む感覚をグッと堪えれば手を離した彼と共に目線の先を前へと向ければ、ファルの指が鳴ると同時にジョセフは落とされ、地面へと落下した後に周りを見てから眉を寄せた
「 ボクを……別空間に引きずり込んだね……ははっ。いいよ、面白い…… 」
「 俺は関係無いし、傍観してるから二人に任せたぜ 」
後ろに下がったファルに礼を呟き、俺達は其々並んでから指を鳴らし口角を上げた
「 嗚呼、その方が助かる。森が邪魔で暴れ辛かったからな 」
『 うん、主に危害が出ないならいい…… 』
『「 魔力解放 」』
俺の恐怖は、主を守れないことによる罪悪感だった
怪我をさせたらどうしよう、俺が怪我をして反応が遅れたら、其ばかりを考えてたけど
此処ならどんなに馬鹿デカイ魔法を使っても怪我をすることはない
只、目の前にいる敵をボコせばいいだけ
声を揃えて告げたことに、五層の魔法陣は外側から割れるように消えていき
最後の内側が割れた瞬間に、鎧の強度と姿は変わる
「 この身を守り、邪神を罰せ。雷神天恵、天狼神殺 」
ソレイユの着ていたマントは黄金色の獅子のようなファーを付けバチバチと音を立て靡き
全ての鎧が消え去り、変わりに背中にある二枚の黄金色の翼には模様が入り、彼の手足や首には豪華な装飾品がある
ポケットから売ろうとして出していた、あれよりももっときらびやかであり、彼の褐色肌に似合うほどで
頭に着いた髪飾りと共に長く伸びた髪の毛は足の踝ほどにあるように見える
額から目元にかけて現れる模様と、胸元や肩にある模様は似ていて、神々しい姿に息を飲む
「 やらかした…… 」
「『 えっ? 』」
ハンマーが大剣へと変わり、彼の瞳が開けば何処かライフに似た瞳に見え
そして、呟いた言葉に俺とファルは察した
「 ……止めていた、魔力を解除してしまって、ランクが上がった…… 」
この人はたまにド天然の馬鹿だと思う
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