転生したら召喚獣になったらしい

獅月 クロ

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二章 宝物捜索 編

05

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そう此所は、異世界の森の中
未知の魔物は沢山いるって想像はしてたんだが……

『 いやぁぁぁあ!!!たらんちゅらぁぁぁあ!! 』

「 あれはポイズンアレニエだ!! 」

やっとアースリザードから逃れる事が出来たと思ったら、次に襲ってきたのは毛むくじゃらのタランチュラを大きくして、もっと目の数を身体中に付けた魔物

毒巨蜘蛛・ポイズンアレニエ
湿度の高く木々の多い森の中に生息する巨大蜘蛛
その見た目からは想像が付かないほど身体は甲殻類のように美味だと言う
吐き出す糸に含まれた猛毒は熱処理すれば、麺類のように柔らかく歯応えのある喉ごしであり食べれるらしい
いや!食わなくていいから!!

シエルを背中に乗せたまま、もうダッシュする俺と普通に走りながら後ろのポイズンアレニエへと落雷を落としていく、ソレイユは平然としてる
よく平気だな!あんなフェンリルさえ、美味しく食べてしまいそうな敵なのに!

『 つーか、はえぇぇえ!!蜘蛛ってこんな飛ぶのかよ!! 』

「 糸を吐き出し、糸を使って飛ぶことをバルーニングと言う。覚えとけ 」

『 そんなの今はどうでもいいよぉぉお!! 』

もっと対戦します!戦争のために頑張ります!っていうなら立ち向かうけど
あんな牙を動かしながら、木に糸を付けターザンのように飛んでくる蜘蛛を相手にしろなんて、怖くて後ろすら振り向きたくない

前を向いて走ることが精一杯の俺に、ソレイユは俺の前へと行き、振り返ればテールを背中に乗せたままバチッと音が出るほどの静電気をたて、魔法を唱えた

「 動きを封じろ、感電激かんでんげき 」

「 ギギッ!!ギッ!! 」

雷とは違った攻撃を見ていれば、巨大蜘蛛へと当たった瞬間に魔物は身体に電流が流れ、ビリビリと感電し始めた
目に見える程の電気によって、蜘蛛の身体は地面へと落ち、瞳の色が消え焦げたような匂いを放つ

「 ……喰うか? 」

『 喰わねぇよ!! 』

「 えっ、でもちょっと美味しそう? 」

『 どこが!? 』 

シエル、御前は王子なんだから変な食べ物は食べなくていいし!
毎回、毎回食べようとするソレイユに付き合わなくていい
オースティンの様に、よく笑うようになったテールは一人でケラケラ笑ってるけど、そんな余裕よくあるな!

「 実際、ちょっとお腹すいたし。此所で休憩もいいんじゃないかな? 」

「 そうそう、休憩大事だよ? 」

『 うぅ……分かった 』

焼け焦げた蜘蛛の横で昼休憩になるのか
でも、走り疲れた気もするからちょっとだけ休むのもいいな
耳を下げ承諾すれば、彼等は背中から降りて直ぐにポイズンアレニエへと近付いた

「 どの辺が美味しいかな? 」

「 やっぱり腕だろ 」

『 食うんかい!! 』

フェンリルの姿から、人型になったソレイユは腰に差した剣を抜き、食べれそうなところを斬ろうとしてる事にツッコンでしまった

「 腕かぁ~、よし、この辺りお願い 」

「 嗚呼 」

スパンッスパンッと華麗に全ての脚を斬ったソレイユに、俺は頭痛がする
兄弟が喜んでるからいいとするが……

「「 いただきます!! 」」

『( 蜘蛛の……炙り焼き? )』

彼等は切った脚の堅い周りを剥がしてから、中身の身の部分だけ取り出し、火を付けて炙るように焼き
リュックに入れていた調味料をふってかぶりついた

「 んー!おいしい! 」

「 うん、いける! 」 

いや、毛むくじゃらの部分スルーしてるけど相当縮れた陰毛みたいだし、確かに中身は甲殻類みたいに白くて綺麗だが、垂れる緑色の血を見ると毛は逆立つ

「 ルーナ、目玉はもっとうまいぞ? 」

『 ……おえっ 』 

まだ蜘蛛の近くにいるからどうしたって思ってたけど、まさか目玉抉り取ってたなんて
脇へと左右に抱えてるソレイユは、直火で目玉を二つ落とした
ギョロッとした蜘蛛の目玉を見て耳を下げる俺に、隣に座った彼は軽く笑った

「 何事も挑戦だろ?見た目は悪いが、味は保証する。他の召喚師にとっても、森での珍味でありたんぱく質だからな 」

『 ……ソレイユは、何度も仕留めて食べたんだ 』

「 俺は余りねぇが、主がな 」

経験の差だろうな、俺にとって森での魔物に遭遇するのはこれが初めてだ
いや、正確にはルイスやファルクの時もあったんだが、あの時は昆虫や爬虫類系ではなくケンタウロスやトロールとか、寝床から出てきた奴を追い返すだけで
食べるために取るなんて無かった 

『 まぁ、食べるために仕留める人もいるんだし。ちょっと食べてみてもいいかな 』

「 嗚呼、食ってみろ 」

軽く焼けた目玉を剣で斬って、一部だけ銀皿へと入れ差し出してきた為に、受け取り熱さを気にしつつ、片手で掴めば口へと含む

ヌチャッ、としたなんとも言えない食感と香る生臭、それに噛めば噛むほど弾力があり、匂いを気にしなかったらゼリーに入ってるナタデココみたいだ

『 うーん、匂いはあれだが…。食えなくもない… 』

「 そうだろ?俺は好きじゃねぇが 」

『 おい…… 』

ちょっとは感触に好きなんだなって思っただろ!
嫌いなのかよ!ならなぜ食わせた!?

「 その、飲み込むタイミングが分からない感じがな……ずっと噛んでてしまう 」

『 あ、ガムが吐き出せないで、味がなくなるまで噛み続ける人みたいな…俺もそれ 』

「 その例えは分からねぇが……そう言うことだ 」

実際にいつ、飲み込んでいいか分からないから
ぐっと気合いを入れて飲み込んだ
どうやらソレイユは歯応えのある食べ物は好きでも、噛み続けるようなのは苦手なのか
肉でいうホルモンとか、ダメだろうなぁ

何となくソレイユの嫌いなものを知れて満足した
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