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二章 宝物捜索 編
03
しおりを挟む知っている、と先にソレイユは告げた
彼等の視線が此方へと向くままに、彼は隠す事なく聖獣の住む世界で、自分達と喧嘩して神様によって魔物へと成り下がった
聖獣がいたことを話した
「 もし、可能なら……俺に行かせて欲しい。これは俺の問題だ 」
『 ソレイユが行くなら、俺も行く。もう負けないし負けたくない 』
決着をつけるチャンスなんだ
ソレイユは一瞬嫌そうな顔をするが仕方無いとばかりに彼等へと視線を向ける
主を此所に置いて、魔物を退治するなんて聖獣として良くない事だろうが
俺達が落とした魔物が、主の知り合いを傷付けたのなら放置は出来ない
「 ほう、元聖獣だからこそドラゴンを傷つけたのか……俺は構わないが、御前達はどうする? 」
オースティンは兄弟へと視線を向けた
もう子供ではないにしろ危険すぎると思ったときには、彼等は顔を見合せてから拳を握り締めた
「「 もちろん、その依頼。俺達が引き受けるよ 」」
『 えっ……主も行くのか!? 』
「 当たり前!ルーナが行くところ俺も行くし、その逆もだろ? 」
「 ソレイユ、魔物退治は任せるけど着いてはいくよ 」
駄目だ、なんて言える雰囲気ではないことに俺達は其々に溜め息を吐いた
聞く耳持たないような兄弟なのは知っている
「 あはははっ。では決まりだな。シー・グリーン息子達で構わないか? 」
「 十分なほど。では準備が出来れば呼んでくれ、私は少し休む 」
「 此所までお疲れさま 」
その場で身体を丸めて眠りにつけば、まるで苔の生えた岩のように硬くなった
こうやって寝てるから、いつの間にか何年も経ってるんだろうな
まるでソレイユみたいだと思っていれば、オースティンは告げた
「 ドラゴンを傷付ける事が出来るほどの魔物だ、危険だと思うが、聖獣達よ。敵ばかりに囚われず、息子達を守ってくれよ? 」
「 嗚呼、もちろんだ 」
『 ちゃんと守って、連れて帰るさ! 』
力強く頷いては彼は笑みを向ける
「 心強いな……さて、森を食い荒らす魔物がいるなら急いだ方がいいだろ、三日後に向かわせる準備を 」
「 はい、畏まりました 」
オースティンの言葉に、セバスチャンは頭を下げた
三日後、俺達はランケを討伐する任務へと行くことになった
少しだけ彼奴に会うのは怖いが、ソレイユが居るなら大丈夫だろ
俺も強くなったし……
どんなタイミングで主を守ればいいかも分かってきた
無傷のまま城に戻ってくるのを目標に準備へと取りかかる
聖獣の俺達にはやることが無いんだが、シエルとテールは荷物を纏めていく
「 シー・グリーンが森まで連れていってくれるけど、なにがいるかな? 」
「 此所の森は広いか? 」
「 広いな!魔銃兵が探索に行くらしいけど、半分も調べ終わってないっぽい 」
流石、サバイバル術を知り尽くしてるソレイユは二人の手伝いをしていた
俺はなーんもわからないから、その様子をフェンリルの姿でベッドに横たわり見てるだけ
荷物を見れば捜索を兼ねて一週間分程に見えるが出来るだけ軽く最小限で、地図やらコンパスなども入れ、彼等は其々はぐれて良いようにと同じ物を詰めていく手際の良さに感心する
二人は他に長持ちする食糧等をシェフから貰い、リュックに入れ荷物の準備が終われば、急遽職人に作らせた魔術兵の服装へと着替えた
黒と赤を基調として作られた魔銃兵の服は、二人の雰囲気を大人びて見せ、格好いいものがある
「 二人とも、無事に帰ってくるんですよ 」
「「 はい 」」
三日間の準備は終わった
母親である女王に抱き締められた二人の表情はいつにも増して凛々しいものがある
結局、俺は最後まで手伝いはしなかったが聖獣だしいいよな、うん
「 其では行こう。私の森へ 」
「 シー・グリーン、聖獣達。息子を頼むよ 」
オースティン国王は笑ってるが心配なのだろう
城と城下しか知らない彼等を腕が立つようになったと言えど、親にとっては何歳でも子供
心配しない方が可笑しいか……
彼の不安が無いように、俺も頑張ろって心の中で思い、影へと入れば二人はシー・グリーンの背中へと乗り、背筋にある僅かなトゲを掴めば
彼女は背中を向け羽を広げ、二回程羽ばたかせ空へと飛ぶ
ソレイユの背中に乗って、城下を見るのとは違い、高く雲の上まで行く
「 わっ、どこまでも青い…… 」
「 雲の上ってこんな感じなんだ 」
好奇心が擽られるほどに、雲の上は果てがないように見えるほど青い空が広がる
彼等の言葉に納得出来るほどの景色を見ていれば、ふっとソレイユに尻尾を咬まれ引かれるまま影の中で話す
『 いっ、なんだよ? 』
「 ランケの事だが……。御前は出来るだけテール達を守れ 」
『 あ、うん…それはするつもり 』
本当にランケかは分からないが、聞いた特徴からして間違いではないと思う
あの日の事を思い出して、俺には無理だと分かれば主を守ることを優先する気はある
今、彼等といる時間が楽しいから…もっと居たいと思うのはソレイユも同じだろう
もう少し人間界を楽しみたいから、殺す気はない
「 ならいいが…。聖獣から魔物に成り下がってもランクは同じだ。今の御前には勝てない 」
『 ……断言するんだな。いいよ、ソレイユの本気、見せてな 』
「 フッ、嗚呼…そのつもりだ 」
なんとなーく俺とシエルは行かなくても良かったんじゃないか?と思うが、出来るだけ足手纏いにならないようにすればいいか
これもサバイバルの経験ってことで
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