205 / 263
二章 宝物捜索 編
03
しおりを挟む知っている、と先にソレイユは告げた
彼等の視線が此方へと向くままに、彼は隠す事なく聖獣の住む世界で、自分達と喧嘩して神様によって魔物へと成り下がった
聖獣がいたことを話した
「 もし、可能なら……俺に行かせて欲しい。これは俺の問題だ 」
『 ソレイユが行くなら、俺も行く。もう負けないし負けたくない 』
決着をつけるチャンスなんだ
ソレイユは一瞬嫌そうな顔をするが仕方無いとばかりに彼等へと視線を向ける
主を此所に置いて、魔物を退治するなんて聖獣として良くない事だろうが
俺達が落とした魔物が、主の知り合いを傷付けたのなら放置は出来ない
「 ほう、元聖獣だからこそドラゴンを傷つけたのか……俺は構わないが、御前達はどうする? 」
オースティンは兄弟へと視線を向けた
もう子供ではないにしろ危険すぎると思ったときには、彼等は顔を見合せてから拳を握り締めた
「「 もちろん、その依頼。俺達が引き受けるよ 」」
『 えっ……主も行くのか!? 』
「 当たり前!ルーナが行くところ俺も行くし、その逆もだろ? 」
「 ソレイユ、魔物退治は任せるけど着いてはいくよ 」
駄目だ、なんて言える雰囲気ではないことに俺達は其々に溜め息を吐いた
聞く耳持たないような兄弟なのは知っている
「 あはははっ。では決まりだな。シー・グリーン息子達で構わないか? 」
「 十分なほど。では準備が出来れば呼んでくれ、私は少し休む 」
「 此所までお疲れさま 」
その場で身体を丸めて眠りにつけば、まるで苔の生えた岩のように硬くなった
こうやって寝てるから、いつの間にか何年も経ってるんだろうな
まるでソレイユみたいだと思っていれば、オースティンは告げた
「 ドラゴンを傷付ける事が出来るほどの魔物だ、危険だと思うが、聖獣達よ。敵ばかりに囚われず、息子達を守ってくれよ? 」
「 嗚呼、もちろんだ 」
『 ちゃんと守って、連れて帰るさ! 』
力強く頷いては彼は笑みを向ける
「 心強いな……さて、森を食い荒らす魔物がいるなら急いだ方がいいだろ、三日後に向かわせる準備を 」
「 はい、畏まりました 」
オースティンの言葉に、セバスチャンは頭を下げた
三日後、俺達はランケを討伐する任務へと行くことになった
少しだけ彼奴に会うのは怖いが、ソレイユが居るなら大丈夫だろ
俺も強くなったし……
どんなタイミングで主を守ればいいかも分かってきた
無傷のまま城に戻ってくるのを目標に準備へと取りかかる
聖獣の俺達にはやることが無いんだが、シエルとテールは荷物を纏めていく
「 シー・グリーンが森まで連れていってくれるけど、なにがいるかな? 」
「 此所の森は広いか? 」
「 広いな!魔銃兵が探索に行くらしいけど、半分も調べ終わってないっぽい 」
流石、サバイバル術を知り尽くしてるソレイユは二人の手伝いをしていた
俺はなーんもわからないから、その様子をフェンリルの姿でベッドに横たわり見てるだけ
荷物を見れば捜索を兼ねて一週間分程に見えるが出来るだけ軽く最小限で、地図やらコンパスなども入れ、彼等は其々はぐれて良いようにと同じ物を詰めていく手際の良さに感心する
二人は他に長持ちする食糧等をシェフから貰い、リュックに入れ荷物の準備が終われば、急遽職人に作らせた魔術兵の服装へと着替えた
黒と赤を基調として作られた魔銃兵の服は、二人の雰囲気を大人びて見せ、格好いいものがある
「 二人とも、無事に帰ってくるんですよ 」
「「 はい 」」
三日間の準備は終わった
母親である女王に抱き締められた二人の表情はいつにも増して凛々しいものがある
結局、俺は最後まで手伝いはしなかったが聖獣だしいいよな、うん
「 其では行こう。私の森へ 」
「 シー・グリーン、聖獣達。息子を頼むよ 」
オースティン国王は笑ってるが心配なのだろう
城と城下しか知らない彼等を腕が立つようになったと言えど、親にとっては何歳でも子供
心配しない方が可笑しいか……
彼の不安が無いように、俺も頑張ろって心の中で思い、影へと入れば二人はシー・グリーンの背中へと乗り、背筋にある僅かなトゲを掴めば
彼女は背中を向け羽を広げ、二回程羽ばたかせ空へと飛ぶ
ソレイユの背中に乗って、城下を見るのとは違い、高く雲の上まで行く
「 わっ、どこまでも青い…… 」
「 雲の上ってこんな感じなんだ 」
好奇心が擽られるほどに、雲の上は果てがないように見えるほど青い空が広がる
彼等の言葉に納得出来るほどの景色を見ていれば、ふっとソレイユに尻尾を咬まれ引かれるまま影の中で話す
『 いっ、なんだよ? 』
「 ランケの事だが……。御前は出来るだけテール達を守れ 」
『 あ、うん…それはするつもり 』
本当にランケかは分からないが、聞いた特徴からして間違いではないと思う
あの日の事を思い出して、俺には無理だと分かれば主を守ることを優先する気はある
今、彼等といる時間が楽しいから…もっと居たいと思うのはソレイユも同じだろう
もう少し人間界を楽しみたいから、殺す気はない
「 ならいいが…。聖獣から魔物に成り下がってもランクは同じだ。今の御前には勝てない 」
『 ……断言するんだな。いいよ、ソレイユの本気、見せてな 』
「 フッ、嗚呼…そのつもりだ 」
なんとなーく俺とシエルは行かなくても良かったんじゃないか?と思うが、出来るだけ足手纏いにならないようにすればいいか
これもサバイバルの経験ってことで
1
お気に入りに追加
2,197
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる