転生したら召喚獣になったらしい

獅月 クロ

文字の大きさ
上 下
202 / 263
二章 宝物捜索 編

12

しおりを挟む

氷耐性が付いたことで、シロは嬉しそうに分厚いコートを着たような服装から
普段と変わらない軍服へとなっていた

それだけ寒さが感じなくなったのか、ある意味感覚麻痺ってやつじゃないかと思うのだが
あの後に、シロに落雷を当てて貰っても俺は平気になった

そして、もう一つラッキーなのは……

『 吠えろ!雷鳴狼らいめいろ!! 』

そう、シロの魔法である雷属性の魔法を使えるようになったことだ
なにこの、飛び級した感覚!
散々、地属性の魔法を練習してた俺には雷が使えるようになったのは嬉しい

まぁ、俺も使えるって事はシロもまた使えるんだが……

「 凍りつけ、氷牙狼ひょうがろう 」

御互いに雷の狼と、氷の狼をつくらせればそれ等は走り出し、魔法がぶつかり合う
大きな雪煙を上げ魔法が効果無いほどに消え去れば、息を吐く

『 俺の魔法!!ちょっとアレンジしてるし 』

「 悪いな、氷の使いやすさを実感してる 」

全魔法が使えるようになった最強のフェンリル相手に、俺はどうすればいいんだ
あれか、無属性でも習得するか?無理だろ、無属性は生涯にその一つしか持てないらしい
寧ろ、ファルが負けてるの見たから勝ち目がない

『 うぅ……いいよ!俺は地属性を練習するから! 』

「 嗚呼、そうだな。その前に…… 」

『 ん? 』

何か他に有るのだろうかと、地属性の魔法を一生懸命に出そうとしていたら、彼は続きを答えた

「 進化も落ち着いたなら、シエルに会えよ?心配してたぞ 」

『 あっ、会う!!ありがとう! 』

忘れてた訳じゃない
まだ会えるとは思わなかったから、此所に止まっていただけなんだ
落ち着いたら会えるんだと知り、尻尾を揺らす俺に彼は眉を下げた

「 いや、いいんだが。外の気温が無理と思えば戻って来い。その繰り返しだ 」

『 おう!外の気温になれるよ 』

大変だな、みたいな顔を向けられるがこれも属性が特化されたせいでもある
それなら克服するのも、自分の身体なんだから出来るだろ
なんせ雷に打たれたレベルに痛かったあれを、クリアしたのだから不可能な事はきっと無い

流石異世界、気合いと根性で何とかなるなんて
いや、根性なんて持ち合わせてないけどな

早速、言われた通りにファルの空間から人間界へと顔を覗かせた
この進化した姿も見せたいから、そのままのフェンリルの姿をして影から出れば、気付いたシエルは振り返る

「 おっ!ルーナ!! 」

『 シエル…… 』

外の世界は思った以上に暑くは無かった
これもソレイユの" 雷耐性 "が付いたことで
同時に" 熱耐性 "を習得してたらしく、熱さには平気なよう

俺を見るなり安堵の表情を浮かべて抱き締めてきたシエルに頬を擦り寄せる

「 心配したんだからな!もう、大丈夫? 」

『 嗚呼、大丈夫…。心配かけてごめん 』

首元の飾り毛に顔を埋めた彼は、顔を上げ俺と視線が会えばニカッと笑顔を向けた
その表情に自然と二本の尾は揺れる
やっぱり主の笑顔を見るのはなんとも嬉しいものがある

「 んん。ソレイユから聞いたよ。進化おめでとう。もっと綺麗になったね 」

『 そうか……?ありがとう 』

自分では綺麗になったという自覚は無いのだが、ソレイユにもシエルにも言われたならそうなんだろ
綺麗なフェンリルなんだなって納得していれば、彼は俺の背中にあるマントを見てから気付いたのか、ポンっと手を叩いた

「 あ!そう言えば、おじさんから靴が届いてたよ。履きに行こ! 」

『 おじさん?あぁ!行く! 』

おじさん?とは誰だろって一瞬、頭の中で考えるも
靴と言われたことに思い出した
あの靴屋さんのおじさん!!
それが分かり、シエルと共に廊下を走っていく

そう言えば、俺が雪山に居たせいで収穫祭は何事もなく終わってたんだな……
ちょっとだけハロウィンっぽい体験をしたかったと内心残念に思いながら、部屋へと戻る

「 これこれ、でも履けるかな? 」 

『 大丈夫だと思う、履くよ 』

シンプルな赤い箱に入った靴は、白色であり俺の好きというか履き慣れた革靴だが、レーザーブーツに見えるほどに脹ら脛まである
氷の装飾がされた其れを、人型を得てから受け取れば成長した俺を見てシエルの眉は下がる

きっと大丈夫な自信があるから、その辺の椅子に座り
元履いていた紐靴を脱ぎ、持っていた脹ら脛側がファスナータイプのベルト付きレザーブーツを履こうと爪先を入れれば、突然と光が靴と足の回りに現れ、勝手に靴を履かせてくれた

『 ほら…履けた! 』

光が無くなれば、立ち上がり前よりずっと履き心地のいい其れに笑みが溢れれば、シエルは軽く手を叩く

「 おぉ!!ルーナへのプレゼントってちゃんと認識されたんだ!似合うよ!! 」

白いレーザーブーツに合わせるように、ズボンの色は青い線の入る白に変わり、軽装だった格好は
何処かの騎士っぽい魔法使いのように硬い生地のロングコートを着て、腰に現れたクロスしてるベルトや青い柄の入る格好はカッコ良さも兼ね備えていた

黒手袋へと視線を落とし、腰へと当てればシエルの嬉しそうな笑顔を見ると、改めて進化したんだと実感する

『 どう?俺って、格好いいだろ? 』 

「 うん!!綺麗だね!! 」

『 ……う、うん 』

あれ、騎士っぽい魔法使いって格好いい分類じゃ無いのか
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...