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二章 宝物捜索 編

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収穫祭 当日

今日は一発目に聖獣の義が行われるから、俺は今シエルによってブラッシングされ毛並みをとかされていた

聖獣だから必要はない、とソレイユは別部屋でテールにやられて不満そうに言ってたが、やってもらう分にはどっちでもいい
シエルにされてるだけで内心喜んでる俺は、雰囲気から抑えられないまま尾を左右に揺らし
お座りしたまま手入れされていた

「 さて、このマントを着けてみて 」

『 わっ!すげっ…… 』

なんか三日間ほど没収されていた、フリーレンから貰っていたマントは今、戻って来た
バサッと広げたシエルが見せてくれたのは金の刺繍が追加で描かれたもので、首元の留め具には高価な青い宝石さえある

「 気に入った?ブルーダイヤモンドだよ。ルーナへのプレゼント! 」

 『 気に入った!ありがとう!! 』

「 ははっ、くすぐったいな~! 」

宝石の種類より、前より豪華で有りながらシンプルさも残してるマントが嬉しくなり
御礼にとばかりに顔を舐めては、満足した後に座り直す

「 よし、出来た! 」

『 完璧!! 』

マントを着けて貰った俺は尾を揺らせば、シエルも満足気に頷いた

今日の彼の服装は、貴公子の様に全体的に白く、金の刺繍があり、前にあるボタンの数が多いのに留めてはなく、首元に付いたフリフリのスカーフをしている

普段のラフな格好じゃ無い為に改めて見ては、似合うと呟く

「 ありがとう、ルーナも良く似合ってるよ 」

『 さ、サンキュー 』

小さく告げた程度で聞こえたことに少し恥ずかしくなり、耳を下げて視線を落とせば
シエルは軽く手を叩き背を向けた

「 そろそろテール達も準備出来たと思うから行こ! 」

『 おう! 』

向こうの二人もどんな感じに着飾ったのかなって考えながら、部屋から出れば既に此方に向かって廊下を歩いてきてる、テールとソレイユが居た

「 あ、テール終わった? 」

「 そっちも終わったようだな 」

「『 ………… 』」

兄弟が話してる間に、俺より大きく金色の毛並みを持ち枷と鎖、それに装飾すらされたソレイユを見て硬直した
いつもは舐めて毛繕いした程度の毛並みが、今日は洗われてドライヤーを使って乾かされ、尚更ブラッシングされて、サラッサラッになってることにハンターウルフより綺麗だと改めて思う

凛々しい顔立ちをしたソレイユもまた俺を見下げて、硬直してるが何を思うのだろうか

其にしてもイケメンウルフ、金色の毛並みと交じらないような赤い長いマントに、白いファーが全体に付いている 

『( 王様かよ!!? )』

なにコイツ、王冠があれば完璧だと思うほどの格好に羨ましいと前肢を曲げて動揺してから、鼻先を近付ける

『 めっちゃ……いい匂いする 』

「 あ、ああ。散々、洗われたからな 」

やっと動き出したソレイユは、まだどこか身体に力が入ってるが、気にもせず身体の匂いを嗅げば、いい花の香りがする

秋に咲く金木犀キンモクセイのようで、この世界にも有るんだなって匂いを嗅いでいれば
彼は、ボソッと告げる

「 御前も、いい匂いがして……綺麗だ 」

『 へ? 』

「 だからその……美人だな 」

『 ………… 』

男が美人と言われて素直に喜べるだろうか?
本人はライオンよりずっとカッコいい、フェンリルっぽい外見をしてるウルフだ
それに比べて俺はまだ灰色かかったウルフだからこそ、美人とは到底思えないのだが……

まぁ、ソレイユが珍しく褒めてるような気がして頬を舐めた

「 っ~! 」

『 ありがとう、ソレイユはもっとカッコいいけどな 』

そこまで動揺するか?って位にまた硬直したソレイユを他所に、シエル達へと視線をやれば、コカトリスの様な足音が聞こえ耳は動く

「 おや、皆さん。準備が出来たようなので、先に玉座の方へ 」

「「 はい!! 」」

獣人と言うか殆ど、鳥らしいセバスチャンの言葉と共に移動をするも、なんかソレイユは動かないから尻尾へと噛みつく

「 いっ!なっ!? 」

『 ほら、玉座の間に行くってさ 』

「 あ、あぁ。分かった 」

そんなにちょっとブラッシングされただけで変わるものなのか?
確かにソレイユも普段よりずっと引き締まってかっこ良く見えるんだが
これはあれだな、馬子にも衣装ってやつなんだな!と理解すれば影に戻る事無く、シエルの左側を歩き着いていく

頭の位置が俺の腰辺り位に体格も大きくなった為に、早く縮んだり大きくなれたり出来る魔法と言うか感覚を覚えたいな

じゃないと、子供や女性に泣かれる位の大きさはあるぞ

玉座の間へとやってくれば、ずらっと並んだ魔銃兵と、
普段は全く見掛けないからこの国にはいないと思っていた
シルバーの鎧を着た近衛隊が其々立っているじゃないか

なに、戦争でも行ってた?帰還したのかな、とどこか他人事で思っていれば
シエルとテールが王座に座る、オースティン国王の前で膝をつけば俺達はおすわりをする

聖獣が頭を下げるのは主だけだから、許せよ
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