転生したら召喚獣になったらしい

獅月 クロ

文字の大きさ
上 下
194 / 263
二章 宝物捜索 編

04

しおりを挟む

胸元に手を置き、必死に止めていれば何かに気付いたライフはどこか残念そうに笑ってから俺の額へと口付けを落とした

「 この遊びは御預けのようだ。まぁ、よい……十分楽しめた 」 

『 えっ?なにがって……っ!! 』

急に止めるなんてどうした?と疑問になれば、背後に現れた魔法陣と共に光に包まれ

あぁ、聖獣召喚がされるんだと察しては服を身に付け気持ちを落ち着かせて前へと視線をやる

現れるまでに片膝を付いた姿勢に変わってた為に、早々に立ち上がればシエルはカボチャを向けてきた

『 えっ……? 』

「 ルーナもカボチャ切り抜いてみよ! 」 

一瞬なんでカボチャ?と疑問になったが、思い出せばシエル達はカボチャを作ってる最中で時間が止まっていた
俺が数日修行してる感覚があったから忘れていたんだと思い出し、向けられたカボチャとナイフを受け取り笑みを向ける

『 いいぜ!作ってみようか 』

助かった!ファルが時間を進めていてくれたおかげで、俺の浮気は免れたと心底安堵していれば、同じくテールによって召喚された、少年の姿をしたソレイユも驚くような表情を向ける

「 ほら、ソレイユもカボチャ手伝ってな! 」

「 あ、あぁ…… 」

そういう反応になるよな、分かるって思う

二人でカボチャを受け取り、座り直せば兄弟はカボチャを取りに行き戻ってくれば、皆で和になり作る

『 意外に硬いな…… 』

ヘタの部分から下を1㎝残し、ヘタが取れない程度で切り、中の種をナイフでくり貫き中央にある
広げられた紙の上へと置き、次は目などを切り抜く為にナイフを刺すも硬さがある
よく兄弟は出来たなと感心していれば、ソレイユはポツリと呟いた

「 御前、ライフが好きなのか 」

『 っ!!なっ!?なわけ、ないだろ!? 』

「「 ん?? 」」

急に何を言い出すんだと驚いてソレイユの方を見れば、彼の獣の耳は前へと垂れるように下がっている

「 俺より抱き締めて欲しいぐらいに…… 」

『 あ、違う!あれは親みたいなもんだし、一番はソレイユに決まってんだろ!? 』

凄く雰囲気がブルーなんだが
そりゃ、突然と抱き締めて欲しいことを宣言したのを聞き、身体が動かなくなればそう思うだろう
実際にちょっと危なかったけど、それでもソレイユが一番だと、立ち上がって告げた俺に彼は答えた

「 二番はライフか……簡単に順位が変わりそうだな 」

『 二番とか考えてない、ソレイユが一番好きに決まってるだろ! 』

一番とか、二番とか、無いはずなのに
結局、一番という言葉を使ってじゃないと俺は上手く言葉を発することが出来ないのか
なんて、情けないんだと拳を握り締めれば、ぬるっとした感覚に気付き、よく見れば兄弟が青ざめていた

『 なんだ? 』

「 ルーナ……血が…… 」

「 な、ナイフが…… 」

『 あ…… 』

血を見慣れてな兄弟はガタガタと震えて、同時に俺の片手へと指を向けた
其処には、驚いた事で勢いよく突き刺さっているナイフがあった
垂れる血がポタポタと地面に落ちてるのを見れば、気に求めずナイフを引き抜いてから血が飛び散るより、ソレイユへと話をする

『 そんな事より、とにかく御前が好きなんだよ!! 』

「 ぎゃぁっ!!ルーナ、血が!! 」

「 えっと、えっと、止血!! 」

『 いや、直ぐに治るから……ほら、聖獣だし 』

「「 えっ…… 」」

痛覚すら鈍ったんじゃ無いかって思うが、この程度なら回復する方が早く
丁度いいとばかりに手の平を見せれば、傷口は塞ぎ初め、簡単に痕すら残ってない

「「 わー!聖獣すごっ!! 」」

『 だろ?だから、大丈夫! 』

血だけは残ってるために拭こうと、手を動かせば、手首はがっしりと誰かに掴まれた
なに?とばかりに視線をやれば、ソレイユは掴んだ手を引き顔を寄せた

「 その言葉、忘れるな。御前の血肉も心も全て俺のものだろ…… 」 

『 っ~~!! 』

舌先で血を舐めたソレイユは丁寧に舐めとってから、手首を離しごく普通にカボチャの続きをし始めた

「 今の、なんか……えっち!! 」

「 ソレイユ、カッコいい!! 」

キラキラと目を輝かせた兄弟に教育に悪いと、透かした顔をしてる彼を睨む

『 子供は見てはダメってか、ソレイユ!場を弁えろ!! 』

「 毛繕いをしなくてすんだな。有り難く思え 」

『 あ、そうだな……じゃない!! 』

ちょっと流されそうになったけど、絶対良くないと首を振った俺に、何処かソレイユは笑っていた

一番とか、二番とか、分からないが……
ソレイユの傍がいいのは他の誰でもないとは分かる
ライフのは単純に、彼が俺達を造り出した主だからだろ
触れられて分かったのは、"愛情"が無いってことだ

四人で騒ぎながらもカボチャを造り終えて、下手だとか色々話してはふっとファルの姿が無いことに気付く

「 呼ばれてないだけ 」

『 あ、なるほど…… 』

うん、叔父さんは何処かにフラフラ遊びに行ってるらしいから、ファルはずっとあの空間の中なのだろ
引きこもらず出てくれば良いのに、きっと彼は彼なりに楽しんでるのだろうな

「( 寂しくないし……グスンッ )」

寂しがっていた彼を俺達は知らない


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...