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二章 宝物捜索 編

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時間は止まってるが、外ではシエルがカボチャを頑張って作ってる最中であり、俺は此方で魔力のコントロールを教わる事となった

確かに、口輪を付けられて外に放出してた無駄な魔力は消えたとしても、魔法を使ったときの魔力の無駄には気付いていた
小さな敵にしろ、デカい魔法をバンバン使ってたのは、あのおつかいの時に盗人になったエヴァンを狙った事で知ったのだろう
言われてみれば納得出来ると心の中で頷けば
黙って聞いてる様子のソレイユを他所に案外世話役でお兄ちゃんっぽいファルは笑みを浮かべ告げた

「 いいか、聖獣にとって魔力のコントロールは必要不可欠だぜ。主の魔力を喰いまくる聖獣なんて格好よくねぇ。スマートに必要最低限で敵を倒す、此こそまさにできる聖獣だ 」

『 できる聖獣!! 』

「 そう、できる聖獣だ 」

おぉ!!なんて素晴らしい響きなんだ
できる聖獣と思われるようになれば、此れから出会う召喚師が苦労する必要も無くなる
幼いシエルの負担も減ることを改めて分かれば、気合いが入り尻尾は大きく左右に揺れる

「 俺の能力は無効化だが、魔法攻撃には優れてねぇ。どちらかと言えば防御特化型だから、御前みたいな"バランス型"は鍛えようがある 」

『 バランス型! 』

知能が三割落ちたか?なんて冷ややかな視線を向けるソレイユは、その場から移動し近くの岩へと腰を下ろし此方を見ていた
どうやら彼は補助と見物程度にこの空間に入れられたらしいな

「 まずは……人型を保ちながら"此だけ"に当てるようにしろ、兄さん 」

「 ん…… 」

ソレイユも何かするらしく
兄さん、と呼ばれたと同時に彼は片手を下から上へと上げた
地面は揺れ地鳴りは響き、ファルの前に現れたのは石で作ったテーブルの上に置かれた、岩の蝋燭だ

『 まさか…… 』

「 他を氷らせること無く、それに当てろ 」

ソレイユの練習はいつも力業だった、だが今の彼が言うのはとても繊細で技術が必要なものだと分かる
細い蝋燭が立ってる程度のそれに、魔力を一点に集中して放つのか

取り敢えず人型へとなり、少年の姿のまま距離感などを見て深く呼吸をする

「 この空間に時間はねぇ、御前が倒れても永く回復するまで待っててやる。やれ……他の場所を氷らせたらぶっ叩く 」

『 ……釘バット!!? 』

鎌の姿は変わり、釘が刺さりまくった木製バットへと変わったことに驚けば、ファルはいい笑顔を浮かべた

「 俺の時代は、これだったなぁ? 」

「 よく分からねぇだろ……。元人間からの成り上がりだと知ってたが、使うものが理解できん 」

『 いやいや!!ってことは、ファルは元日本人か!? 』

褐色肌だからてっきりソレイユと同じ国の人間だなんて思ってたけど、まさか釘バットを持ってる世代ならそれだけ日本に近いと、指差して言えば、彼等の目を見開き御互いに顔を向けた

「「 にほんって、どこだ? 」」

『 ジャパンだよ!!J・A・P・A・N!!! 』

何でだよ!知らないのかよ!ちょっと期待したじゃん!!指差して告げた俺に、彼等は其々に考えるそぶりを見せた

「 俺は気付いたときには少年兵だったからな。何処で生まれてどの国に居たのかもわかんねぇな…… 」

「 同じく、住んでる国になんて興味ねぇから。これはその時はほら、薬やってた奴等が持ってたんだぜ 」

『( サラッと聖獣が薬やってた、とかいってんだけどいいのかよ……。分かった、南米だろ。御前は南米辺りってことにしよ )』

南米が薬が多いってう考えは申し訳無いが、雰囲気からして、あの辺りのヤンキーはピチピチのタンクトップにバイク乗ってるイメージだからな

『 あ、じゃ!ハーレーとか乗ってたの?バイクってやつ 』

「 戦車か? 」

「 ちげぇよ。バイクなぁ、懐かしいな、乗ってたぜ 」

『 こんなのだよな!! 』

早々にツッコミしたファルに笑いそうになるが、バイクを知らないソレイユの為に、氷を使って記憶にあるハーレーのデカいやつを造り出した

「 おぉ!!これこれ!!なーんか、ちげぇけど。確かにこんなバイクだ 」

「 車輪があるな……。動くのか 」

『 二輪車ってやつ。俺の時代はこんな車、自転車、新幹線だってあった 』

なんか練習より面白そうだと、記憶にある乗り物をどんどん造っていけば、流石青年
乗り物は好きらしく、ソレイユは立ち上がり氷を見ていく
新幹線は実物より小さいが、他の物は本物と同じ大きさで見せていく

「 かわいこちゃんの時代は進歩してんだなぁ! 」

「 ほぅ……?通りで俺が新しい成り上がりの奴等と話が合わねぇわけだ 」

『 まぁな、国も違うし、歴史も違うから 』

そう思うと、此処にいる三人は前世だと絶対に会えなかったメンバーだ
だが、こうして出逢えて其々国の話をするのなら会えたことが運命であるんだと実感する

「 で、かわいこちゃん。見せてくれるのは嬉しいが、修行……やれよ? 」

『 あ、はい!!やるやる! 』

軍服姿に釘バットってどんな組み合わせなんだと思うが、やらなければやらないだけ釘バットで叩かれそうなのは目に見えて、取り敢えずもう一度意識を集中させる

「 氷造り出す量が多い!態々、地面まで氷らすんじゃねぇ! 」

『 っ、あぶねっ……! 』

素振りする感覚で釘バット振ってくるファルの攻撃を交わしながら、行うのは精神的にも大変だ
治るとは言えど、あんなのには当たりたくない!

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