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二章 宝物捜索 編

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雷雲が消えたと同時に現れたソレイユは
俺と同じぐらいの十五歳前後の少年の姿をし、その頭には今まで無かった獣耳とピアス  
後ろにはふっさりとはしてるが毛量が少なく長い尻尾さえ生えていた

いつも着てる軍服姿は何処か大きめに見えるが、身体に合っていて子供の容姿には似合わない首や手足にある枷と、地面に付きそうな程に長い鎖

金髪は目元を僅かに隠す程、無造作に伸ばされ、襟元に掛かる後ろ髪は長さある
これが小さくなったソレイユなのかと、俺は内心悶えていた

『( すっげぇぇえ、イケショタだけど可愛い!! )』

改めてイケメンくんだと実感する事に感動さえ覚えていれば、兄弟達もまた目を輝かせた

「 おー、すげっ!!此ならルーナと兄弟っぽい! 」

「 聖獣って何でも出来るんだ! 」

「 まぁな、此のぐらい。魔力を調整すれば出来るものだ 」

普段ならクールに鼻で笑う程度に見えるのだが、今は少年の姿
自慢気に笑った様子すら可愛さがある、凄く撫で回したい感覚をグッと堪えてみていれば
ソレイユは視線に気づいたのか眉間にシワを寄せた

「 変なことを考えたら、後で倍返しするからな 」

『 大丈夫!なんも、考えてない! 』  
 
「 嘘つけ、嫌な感覚がするぞ 」

撫でくり回したいと言う素直な事しか考えてないと親指を立てた俺に、彼はぞわっと鳥肌を立てたように身体を震わせ視線戻す

「 それで、此れからどうするんだ? 」
 
「 あー、そうだね。なにしようか? 」

「 あんま帰りが遅いと心配するし、帰ろうぜ 」

『( なんていい子!! )』

ソレイユの言葉に二人は顔を見合わせ、結論が出て居たらしく直ぐに納得する 
その親が心配するから帰ろうって気持ちにじーんと胸が熱くなっていれば、シエルは告げた

「 セバスチャン虐めるの楽しいし 」

「 うん、そっちの方が楽しそうだ 」 

『( 可愛くなかった…… )』

なに弟の言葉に直ぐに頷いてるんだ 
もう少し止めるってことを知らない兄にちょっとだけ、あの獣人に同情すら覚えた
きっと苦労してそうだ

「 じゃ、帰るなら乗せていく 」

黒い雷雲を纏い、直ぐに消えれば其処には大きくなった獣の姿のソレイユが立っていた
少しだけざわつく国民を気にしない様子は流石だな……

「 やった!乗る! 」

「 ソレイユ、帰ろう! 」

俺もまた影へと戻る
二人が伏せになり乗りやすくした彼の背に跨がれば、空へと掛け走る

少しだけ太陽が落ちてきた街は此れからオレンジ色へと綺麗に色付くのだろう
風に抵抗することなく飛ぶ彼を他所に、俺はこの街の美しさに見とれていた

「 あはははっ!それは楽しかっただろうなっ! 」

「 そう!パパも今度は街に行こうよ! 」 

「 ソレイユに乗ってさ! 」

「 笑い事じゃ有りませんよ、国王 」

夕食の食事の時間、盛大に笑う声が響くのは
この国の王であるオースティン・スペンサー
金髪の髪に青い瞳は、テールに良く似ていて
家族なんだと分かるほどだ
そして凄く若い、まだ三十代ぐらいにしか見えない彼はその年齢を疑えるほどに若々しい

「 そう言うな。聖獣を召喚したと言うなら喜ばしい程だろ 」

「 えぇ、古代から伝わる聖獣を得るなんて。私の子達は誇らしいですわ 」

困った様子のセバスチャンと言う執事を他所に、美しい黒髪の女性は上品に笑った 
彼女はとてもシエルに似ている
テーブルに肘を付き其々の息子達へと視線をやる国王の視線はとても柔らかいものがある

「 嗚呼、聖獣召喚をした御前達を国民にも知らせるべく、催しを行ってもいいかもな 」

「 ……では、古き古文書に従い。聖獣の儀を行いましょう 」 

「 それがいい!早速、明日から準備してくれ 」

「 畏まりました 」

聖獣の儀、それは召喚する為のものじゃないのかと疑問になり
獣の姿をしたまま横たわっていた俺は、何気無く狸寝入りを決め込んでいるソレイユへと問い掛けた

『 なぁ、聖獣の儀って知ってるか? 』

「 嗚呼……ふぁ~、国民を集めて、彼等の前で聖獣召喚して自慢するだけの催しだ。俺達は呼ばれたら出て、言われた魔法とかを見せるだけだ 」 

『 へぇ…… 』

大きく欠伸をし、もう一度腕へと顎を乗せた彼の言葉に俺はそこまで楽しそうな事では無いんだなと察した
詰まらそうにする辺り、何度か経験したことは有るのだろう

流石、長年生きて主を色々と変わり経験してる聖獣の知識と、それにたいする余裕ある感じは真似できないや

「 俺はいつも空を黒く染めて、落雷を降らせるだけだ。御前は……そうだな、足元を氷らせて大きな氷の彫刻でも造ればいいんじゃねぇか? 」

『 なるほど!ソレイユの本来っぽいウルフ造れるように練習するな! 』

確かにどんな属性かと教えるには、一番手っ取り早い方法だと頷いて、口角を上げ笑顔を向けた俺に彼の目は此方に向きキョトンした表情を見せた

「 御前……それ、素で言ってるのか 」

『 えっ? 』 

「 後で犯す 」

『 えぇ!!? 』

其だけ言って顔を背けた事に、意味が分からないと焦る
だって、氷の彫刻なんて造ったことないしモデルになる物なんて狼しかない
その中でカッコいいイメージのある狼はソレイユだけだ、あれなら迫力があると思って考えてたのに……

『 あ!照れた? 』 

「 黙れ 」

『 はい…… 』

本気で睨まれた事にちょっとだけ怖かった 
どうやら自覚して照れるとツンデレになるそうだ
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