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二章 宝物捜索 編
03
しおりを挟む目を合わせれば喧嘩をする、そんなタイプの兄弟かと思っていたのだが案外仲は良いようで
二人で一冊の召喚書を広げては、此所はこうだ、とかあれはこうした方がいい等の話を始めた
勉強熱心なのはいい事だと頷いているが俺達は暇な為に、シロと言う本名を隠したまま" ソレイユ "と新たな名が付いた彼は、凭れるよう横たわり
その重さに耐える気もなく、同じく横になれば
パートナーと早々に告げた為に、隠す気は無い様子で、顔をこちらに向け頬やら耳をしきりと舐めてくる
よっぽど同じ場所に召喚されたのが嬉しいのか、視線の端に見える尾は冷たい大理石の床を叩くように振っている
確かに俺も嬉しいが、舐められることに耳は下がり、気分は思ってる以上に盛り上がってない
どちらかと言えば下がってる事に、彼等に聞こえない獣の声で話す
『 なぁ、ソレイユ……俺だけだろうか 』
「 んー、なんだ? 」
口先やら頬を舐めていた彼は止め、呟いた言葉に傾げてはじっと金色の目は此方を見詰める
『 今までの主は、魂が廻り合い同じ人と言う感覚はあったのだが、今回の主には其がない。全くの別人なんだ 』
感覚を間違えてるだけなのか、それともフリーレンの魂はあのまま砕け散って廻ることが無くなったのか、どちらにせよ不安な気持ちがあり
視線を兄弟へと向ければ、ソレイユは彼等を見た後にふっと鼻で笑った
「 御前は初めてだったな 」
『 なにがだ? 』
「 " 似た魔力 "なら魂は違えど召喚は出来る。特に俺と魔力が交じり合ってる御前と俺に似た魔力……つまり血肉が同じ兄弟なのだろ 」
『 俺達を呼ぶ条件が血肉と魔力が同じ兄弟になってるってこと? 』
「 あぁ……御前の中に俺でいっぱいだからなぁ~? 」
自棄に甘々で嬉しそうな原因はそう言うことか!!
兄弟が呼んだことで、俺とソレイユの魔力が交じり合って、血肉と共に同じ魔力を持つ兄弟だからこそ、属性は違えど同時召喚が可能になった
もし片方の召喚でも、次に呼べる奴は二つの魔力が交じっても強い召喚師になると言うことか
確かに俺達も魔力が自動的に貰えるような契りを交わしてる
神の庭 では時が止まってるから、どれだけ交ざりあったかは分からないが
人間界で考えるなら其なりの年を得て、扱える者が現れた事になる
『 えっ、じゃ……もう前の主の魂とは会えないのか? 』
「 人間が転生する程に必要な月日が流れれば、会えるだろ。考えも見ろ、御前が帰ってきてから今回、呼ばれるまでは早くなかったか? 」
『 あ!確かに、いつもより早かった気がする 』
「 その感覚は間違いじゃねぇよ 」
フリーレンがまた転生して、次の肉体を得ては
俺を呼べるまでのほんの箸休め程度だと、思えばいいのか
時間はないにしろ、身体に刻まれた" 感覚 "は其なりに麻痺してないことに何処か安心していれば、ソレイユは腹を出し仰向けになる
「 分かったなら、人間界をまた楽しめばいい 」
『 そうだな……。でも……あの錬金術師とは会うか分かんないんだよな 』
探したいが、それは主から離れる事になる
ライフがそれはダメだと言ってたことが胸に引っ掛かって
人間界に早々に来たのに身動きが取れないことに、不満に思い
腹を見せてる彼の上へと被さり、顔へと頭を当て擦り寄せていれば、同じ様にしては優しく答えた
「 そうだな、待て、としか言えない。今は心と身体を休めろ 」
『 ……分かった、そうする 』
焦ったところで仕方ない、身体を動かし上から退けば、人の足音と共にソレイユは起き上がり姿を消し、其を見て俺もまた消える
「「 あれ、二匹は…… 」」
「 テール様!シエル様、こんなところにいたんですか!? 」
「 うげ、セバスチャン…… 」
「 不味い、バレた…… 」
大きな扉をバンっと開き、やって来たのは執事姿をした、獣感が六十%位の鳥の獣人
ワシの様な見た目で髪飾りが付いた格好に羽は腕へとなっていて、手の先は鋭く尖った爪を持ち、脚はワシのようにしっかりとしてるが裸足に見える
服は胴体の部分にタキシードを着てる程度で、残りは鳥のまま
『( ちょっと美味そう )』
「( 焼き鳥になりそうだ )」
きっとソレイユと同じことを思ったに違いない
「( 今、殺気が? )」
キョロキョロと見渡す顔はワシに見えるがマヌケ面
かっこよさは見た目程度だが、兄弟は好きではない相手なのだろ本を持ったテールは走り出した
「 逃げろ!! 」
「 勉強なんてオレ達で出来るし! 」
「 ちょっ、待ちなさい!!午後からは文字書きの勉強ですよ!! 」
セバスチャンと呼ばれた獣人が走る姿は、何処か白亜紀に生きていた様な、飛べない鳥が走ってるときと似てる
僅かに手を前に出し、翼を畳んで追い掛ける姿はまさに小さい小動物を狙う始祖鳥だった
何となくシルキー妖精だったバトラーがどれだけ、かっこ良かったか改めて思う
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