107 / 263
一章 聖獣への道のり編
05
しおりを挟む早々にバレた、早すぎた事に隠しきれなかった俺の落ち度だが
俺が思ってる以上に魔力を子へと向けられてるようでシロは気になって、聞くのを止めていたらしいのだが寝起きでもあった為に聞いたらしい
つまりだ、シロが寝起きで言葉が滑らなかったら俺もまたバレることが無かったと言うこと
この人の寝起きの本音が恐ろしい!!
「 ふふんっ、そっか。俺達の子か~ 」
『( 番の雌にだけ優しい、まさに狼の雄って感じだな )』
興奮の余り人の姿に保つことが出来なかったのだろ
俺を床へと降ろすなり、獣に戻り顔やら身体に全身ですり寄ってくることにちょっとウザいと思ってしまった
何度もすり寄っては頬を舐めたり、背中やら頭やらを首辺りに押し付けてくるのに苛々する
『 そんな直ぐに生まれないから、師匠は続行して貰うからな! 』
「 ……!? 」
言葉に硬直したシロは、金色の目を見開き
獣の姿なら尚更、反応が分かりやすく耳を下げ
さっきまで振っていた尾は下がり全身で拒絶するように身体を下げ首を振った
「 出来るわけ無いだろ!魔力を少しずつでも失ってる御前の身体に傷なんかつけれるか! 」
『 でも、貰った後に剣で刺されたり。落雷が落ちてきたりはしたぞ? 』
「 ……ちょっとその時の俺をぶっ殺してくる 」
『( やりかねない )』
ちょっと過去に戻ってくると言っても、全然有り得そうだ
なんせ俺が知らない能力を隠し持ってるのだから、そのぐらいは出来そうだが
反応を見る限り出来ないのだろう
後ろに下がった耳のまま、彼はその場で腹を見せるように仰向けになった
「 無理だ、手は出せない。ほら、俺は好きなだけボロボロにしてくれてもいいが御前には無抵抗だ 」
『( あ、まさに降参ポーズって訳な )』
珍しく腹を見せた事に、見下げてる俺は可愛いなって思ってしまう程に
その顔は、悪さをした後に怒られた事を知って
反省の色を見せてるだけで、実際は甘えてる
あざとい系のハスキーのようで
ちょいちょいと片手で身体に触れて来るのが質が悪い
『 分かった。シロが師匠になってくれないなら他のレイヴンとかルークに頼んでくる 』
「 なっ!ダメだ!!気付かない奴は容赦ない! 」
背を向けた俺に、直ぐに起き上がり前へと来た彼は道を塞ぐように身体で行く手を遮り、通そうとはしてくれない
そんなに嫌がるならやっぱり言わなければ良かったと溜め息は漏れる
『 だから言いたくなかったんだよ……攻撃できなくなるだろうなって 』
分かってたからこそ" 最悪 "だと吐き出した俺は自分が酷いことを言ってしまったと、気付き視線を戻せば
シロは下げていた耳を上げ、俺の鼻先へと口付けを落とす
「 分かった。なら契りを交わそう 」
『 契り? 』
「 何処にいても、どんなに離れていても雷鳴の巨狼が御前を守る 」
結婚式みたいな感じなのかと思った俺は小さく頷けば、彼は聞いたことの無い魔法を唱え始めた
「 天地神明誓って、幾年の年月が過ぎ去ろうとこの身、離れる事無く……不死鳥の導きと、神の子、命の愛し子へと、この血肉を捧げよう 」
御互いの下に現れた大きな赤黒い魔法陣は自分達の身体を光、包み込めば
シロの身体は今のまま小さいけれど本来の姿と同じく、額に模様が入り枷と鎖を付けた姿へと変わり
揺れる鎖とは別の金色のチェーンは、魔法陣から現れ俺の手足から身体に巻き付けば彼は深く頭を下げた
「 我が名は白牙。この世で只一人……御前を愛すると誓う 」
頭を下げたまま告げた彼に、俺もまた自然と同じ様に頭を下げ、額へと当てれば告げる
『 俺も……白牙をこの世で只一人、愛してると誓うよ 』
" その誓いの言葉。私、生を司る神が聞き届けた "
頭に響くライフの声と共に、シロの身体にも同じ鎖が巻き付き
互いの鎖が絡み合えば魔法陣が消えると共に鎖は身体に埋まったように消えていった
辺りが光っていたのは無くなり、顔を上げたシロは口角を上げ俺の頬へとすり寄ってくる
「 もう少し、いい場所で誓えば良かったな 」
『 寝床は俺達の家だろ?だからいいんだよ 』
少し照れ臭い感覚に耳は下がり、同じく頬を擦り寄せていればふっとさっきの魔法がなんなのか気になり問い掛ける
『 で、さっきの魔法はなに? 』
「 ん?何処にいても浮気はしませんってやつだ。結婚式みたいなもんだぞ? 」
『 えっ!そんな、あんな…… 』
「 其もあるが、此で御前が消費した魔力は俺から自然と流れるようになってるから、今は身体はきつくないと思うが、どうだ? 」
つまり、シロの血肉が流れてるってことか
魔力は謂わば、俺達にとって生きてる形そのものだからそれを渡すってことは"痛み"も"死"を分かち合うと言うことになる
この俺に、永く生きてるシロの全てを貰っていいのか恐れ多いが……本人は嬉しそうに尻尾を振ってるからよしとしよう
『 無くなった分だけ貰えるのは助かるな……何となく身体も軽い 』
「 そうだろ。此で心置きなく、師匠にもなれる 」
『 えっ、痛覚も共有してるってことは自傷してるもんだろ!? 』
俺を切ったり、落雷を落とす事でシロ次第にも痛みがあるはず
それを自ら求めるなんて馬鹿げてると首を振り後ろへと下がる俺に、彼は口角を上げた
「 心配してくれるなら、攻撃避けたり防ぐんだな? 」
『 無茶な!! 』
俺の彼氏は、ドSなのかドMなのか分からないぐらい自分の身体には然程、興味ないようだ
0
お気に入りに追加
2,188
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる