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一章 聖獣への道のり編

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金狼討伐と第三王女を無事届けた事で
ルイスは昇格し、次の年には第二部隊 隊長へとなった

それはアンドリューの部下ではなくなり、
自分が隊長へとして部下を任される立場になったと言うこと

俺としては誇らしく、ルイスが" 騎士 "と呼ばれるのを聞くと笑みが溢れる

そう言えばアメリア王女は結婚したと言う噂は耳に届いた
幸せそうならなによりだ

俺もまた元の世界で見る、森林狼シンリンオオカミ位の大きさにまで成長した

まぁ、肉体が成長したところで" 聖獣 "としてのランクは上がってないのは分かる

魔法も使えなければ、氷を操れるわけじゃない
只" 狼 "として力が付いたって位だろう

それだけ野性味が溢れたのはちょっと嬉しい 
" 子犬 "なんて呼ばれる人は現れないからだ

「 最近、少しでも鍛練が怠ると身体が硬くなる気がする…… 」

『 二十歳過ぎたら一気に来るらしいからな……三十路め 』

「 三十四歳で独身とか認めたくないんだが…… 」

俺が大きくなるって事は、それだけルイスも年齢が経過した
三十四歳になった彼はあの可愛らしい幼げな面影はなくなり、立派な騎士になり
イケメンで男らしい

いや、元々顔立ちがいいから若々しいんだが
本人は身体が直ぐ鈍るのが分かる様子

『 俺は子供を楽しみにしてるんだがなぁ? 』

「 それを言ってくれるな 」

『 まっ、気長に待つとするよ 』

「 そうして…… 」

独身なんてあっという間に無くなるだろう
そのタイミングがないだけで……

ほら……春は訪れる

「 わっ! 」

「 っ、すまない……大丈夫ですか? 」

「 あ、はい。大丈夫……で、す…… 」

『( おやおや…… )』

波長が合えばそれは直ぐに進展するだろ
人はとても早く、成長するからこそ
見ていて楽しいと思えるようになった

『( 街中で出会った騎士と商人の娘が恋に落ちる。そんな、よく有るパターンだが、傍で見てる俺には新鮮なものがある )』

「 あの、付き合ってくれ 」

「 うんっ……! 」

ルイスはいつも俺を連れていく
と言うより俺は離れることが出来ないから傍で見ていた

デートするコースも、ルイスが俺の目を気にしてスキンシップしたりイチャイチャするのに気になるのも

そして雰囲気を壊したくない俺は、そっと部屋から出てたりする

「 隊長結婚おめでとうございます!! 」

「 隊長!お幸せに 」

「 ははっ。ありがとうな 」

出逢って何年とは考えなくなった
当たり前ように明日が来て、ルイスが任務に出る度に守って
そして一緒に帰還する

変わった事となると、俺の寝る場所がルイスの顔の横から足元になったと言うぐらい

そして夜になると、部屋からそっと抜けるってこと……

『 人は直ぐ成長する、なぁ……ルミネちゃん? 』

「 あー! 」

あんなに可愛かったルイスに、ルミネと言う子供が産まれた
ちっちゃくてモチモチの頬っぺたに彼と同じ外見をしてる

『 子育ては嫌いじゃないかもしれ、ガハッ!! 』

「 だー! 」

『 ルミネ!物を投げたらダメだろ!ワンコは大事にしなきゃ!! 』

「 ははっ、リアン。許してやれ 」

二人はとても仲いい
俺はよく知ってるからこそ
幸せな夫婦だからこそ、
ずっと一緒にいるのを近くで見たかった

でも、御別れも訪れる

「 っ、俺を……おいて、行かないでくれ…… 」

「 ママ…… 」

彼女は身体が弱かった、一人っ子のルミネがまだ物心が着く前に病で息を引き取った

ルイスは悲しみを乗り越える為に、子育てをしながら騎士として過ごしていても

家に居る時間が少ないルミネは少しずつ、ルイスが知らない内に心を病んでいた

「 ルミネが家出?っ……探しに行く 」

『 止めとけ 』

「 なんでだ!? 」

『 一人立ちする時期なんだよ 』

人の成長はこんなにも早かっただろうか
欠伸をする程度、瞬きする程度で、年月は変わっていく
年を取っても隊長として国を守るルイスは、唯一の一人っ子の娘を守れなかった事に後悔していた

それはずっと……身体が衰えるまで心、残りなのだろう

「 ……リアン、そこに居るか 」

『 俺はずっと傍にいる 』

「 ……そうか、御前だけだな……最後まで、傍にいてくれるのは…… 」

いつからルイスは俺のように白髪になっただろうか
手足もヨレヨレのお爺ちゃんになっただろうか
そんなの思い出せないぐらいにあっという間だった

横へと横たわった俺に、彼はずっと動かせなかった身体を、今日……力を込め此方を向き背中へと片手を当て撫でてきた

ずっと変わらない、優しい撫でた方をする人だ

「 リアン、愛してる……俺の、最高のパートナー…… 」

『 ありがとう、俺も愛してるよ、ルイス 』

人の命は儚いもの
其でもずっと試合では無敗を誇り
他国でも知らない者が居ないほどに強い騎士へとなった彼を俺は忘れない

目を閉じ、動かなくなった目元を舐めれば
懐かしい魔法陣が現れる

『 ルイス、また俺を呼んでくれ。いつでも俺は駆けつける 』

二度目の召喚で、命尽きるその日まで見れたことは満足だ
これはシロに自慢できるお土産話になる

『 ウォォォォオン!!!! 』

俺はまた、神の庭ディヴァインガーデン に戻ってきたらしい

悲しげに鳴く狼の声は何処までも遠くに響いていた


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