60 / 263
一章 聖獣への道のり編
10
しおりを挟む金狼討伐と第三王女を無事届けた事で
ルイスは昇格し、次の年には第二部隊 隊長へとなった
それはアンドリューの部下ではなくなり、
自分が隊長へとして部下を任される立場になったと言うこと
俺としては誇らしく、ルイスが" 騎士 "と呼ばれるのを聞くと笑みが溢れる
そう言えばアメリア王女は結婚したと言う噂は耳に届いた
幸せそうならなによりだ
俺もまた元の世界で見る、森林狼位の大きさにまで成長した
まぁ、肉体が成長したところで" 聖獣 "としてのランクは上がってないのは分かる
魔法も使えなければ、氷を操れるわけじゃない
只" 狼 "として力が付いたって位だろう
それだけ野性味が溢れたのはちょっと嬉しい
" 子犬 "なんて呼ばれる人は現れないからだ
「 最近、少しでも鍛練が怠ると身体が硬くなる気がする…… 」
『 二十歳過ぎたら一気に来るらしいからな……三十路め 』
「 三十四歳で独身とか認めたくないんだが…… 」
俺が大きくなるって事は、それだけルイスも年齢が経過した
三十四歳になった彼はあの可愛らしい幼げな面影はなくなり、立派な騎士になり
イケメンで男らしい
いや、元々顔立ちがいいから若々しいんだが
本人は身体が直ぐ鈍るのが分かる様子
『 俺は子供を楽しみにしてるんだがなぁ? 』
「 それを言ってくれるな 」
『 まっ、気長に待つとするよ 』
「 そうして…… 」
独身なんてあっという間に無くなるだろう
そのタイミングがないだけで……
ほら……春は訪れる
「 わっ! 」
「 っ、すまない……大丈夫ですか? 」
「 あ、はい。大丈夫……で、す…… 」
『( おやおや…… )』
波長が合えばそれは直ぐに進展するだろ
人はとても早く、成長するからこそ
見ていて楽しいと思えるようになった
『( 街中で出会った騎士と商人の娘が恋に落ちる。そんな、よく有るパターンだが、傍で見てる俺には新鮮なものがある )』
「 あの、付き合ってくれ 」
「 うんっ……! 」
ルイスはいつも俺を連れていく
と言うより俺は離れることが出来ないから傍で見ていた
デートするコースも、ルイスが俺の目を気にしてスキンシップしたりイチャイチャするのに気になるのも
そして雰囲気を壊したくない俺は、そっと部屋から出てたりする
「 隊長結婚おめでとうございます!! 」
「 隊長!お幸せに 」
「 ははっ。ありがとうな 」
出逢って何年とは考えなくなった
当たり前ように明日が来て、ルイスが任務に出る度に守って
そして一緒に帰還する
変わった事となると、俺の寝る場所がルイスの顔の横から足元になったと言うぐらい
そして夜になると、部屋からそっと抜けるってこと……
『 人は直ぐ成長する、なぁ……ルミネちゃん? 』
「 あー! 」
あんなに可愛かったルイスに、ルミネと言う子供が産まれた
ちっちゃくてモチモチの頬っぺたに彼と同じ外見をしてる
『 子育ては嫌いじゃないかもしれ、ガハッ!! 』
「 だー! 」
『 ルミネ!物を投げたらダメだろ!ワンコは大事にしなきゃ!! 』
「 ははっ、リアン。許してやれ 」
二人はとても仲いい
俺はよく知ってるからこそ
幸せな夫婦だからこそ、
ずっと一緒にいるのを近くで見たかった
でも、御別れも訪れる
「 っ、俺を……おいて、行かないでくれ…… 」
「 ママ…… 」
彼女は身体が弱かった、一人っ子のルミネがまだ物心が着く前に病で息を引き取った
ルイスは悲しみを乗り越える為に、子育てをしながら騎士として過ごしていても
家に居る時間が少ないルミネは少しずつ、ルイスが知らない内に心を病んでいた
「 ルミネが家出?っ……探しに行く 」
『 止めとけ 』
「 なんでだ!? 」
『 一人立ちする時期なんだよ 』
人の成長はこんなにも早かっただろうか
欠伸をする程度、瞬きする程度で、年月は変わっていく
年を取っても隊長として国を守るルイスは、唯一の一人っ子の娘を守れなかった事に後悔していた
それはずっと……身体が衰えるまで心、残りなのだろう
「 ……リアン、そこに居るか 」
『 俺はずっと傍にいる 』
「 ……そうか、御前だけだな……最後まで、傍にいてくれるのは…… 」
いつからルイスは俺のように白髪になっただろうか
手足もヨレヨレのお爺ちゃんになっただろうか
そんなの思い出せないぐらいにあっという間だった
横へと横たわった俺に、彼はずっと動かせなかった身体を、今日……力を込め此方を向き背中へと片手を当て撫でてきた
ずっと変わらない、優しい撫でた方をする人だ
「 リアン、愛してる……俺の、最高のパートナー…… 」
『 ありがとう、俺も愛してるよ、ルイス 』
人の命は儚いもの
其でもずっと試合では無敗を誇り
他国でも知らない者が居ないほどに強い騎士へとなった彼を俺は忘れない
目を閉じ、動かなくなった目元を舐めれば
懐かしい魔法陣が現れる
『 ルイス、また俺を呼んでくれ。いつでも俺は駆けつける 』
二度目の召喚で、命尽きるその日まで見れたことは満足だ
これはシロに自慢できるお土産話になる
『 ウォォォォオン!!!! 』
俺はまた、神の庭 に戻ってきたらしい
悲しげに鳴く狼の声は何処までも遠くに響いていた
0
お気に入りに追加
2,186
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる