57 / 263
一章 聖獣への道のり編
07
しおりを挟む
~ ルイス視点 続 ~
どのぐらい走ったか分からないが、
銀狼の声が無くなったところで俺達は少し安心をした
国境にある岩場の間で休憩する目的と、此所なら他の部下が戻ってくるのが期待できるからだ
「 アメリア王女を運んでたなんて、そりゃ国の未来が関わるわけだ…… 」
「 言ってくれなきゃな 」
切れる緊張感と僅かな休息に
彼等は其々に座り込み、自身のコカトリスと共に休んでいた
俺の青毛をしたコカトリスもまた、透明馬に着いてこられて程に無傷であり主人に忠実だと思う
アメリア王女へと飲み物と食べ物を渡し、着いてきてくれコカトリスの頭を撫でる
「 よく頑張ったな、ありがとう 」
「 グァ…… 」
返事をし嬉しそうに頬へと嘴を押し当てる様子は、何処かリアンと重なる
「 アンドリュー隊長もどうしたんでしょ…… 」
「 国で一番最強と言われたあの人が銀狼に負けるわけないだろ…… 」
俺達を先に逃がすために、彼等は残った
その事に少しだけ胸が痛む
近衛同士で慰め合う中で俺はどんな言葉を掛けたらいいのか分からない
こんな時なら、リアンは鼻で笑ったりするのだろうか
「 と言うか、ルイス副隊長の聖獣どうしたんっすか?逃げたとか? 」
「 それ!現れなかったよな 」
助けてくれると思っていた、その言葉に
俺はリアンの声が聞こえない事に不安だからこそ、口は閉じた
「 聖獣なのに逃げたとか? 」
「 それは…… 」
「 んなことが有るわけ無いだろ 」
「「 !! 」」
突然と聞こえたよく知る声に、俺達は目を見開き
武器へと手をかければ、コカトリスの足音が聞こえ、そして暗闇から現れた人物に言葉を失う
「 彼奴は俺達を守るために足止めをした。そしてルイス、御前に贈り物だ 」
「 俺に? 」
アンドリューの姿と、彼の言った言葉の後に
他の死んだかと思っていた部下の姿も見え
安堵する
彼は贈り物があるとコカトリスから降りれば、その腕に大切に抱いていたものを見せてきた
「 っ、これは…… 」
「 生存者を見付けろって命令したらしいな?ちゃんと見付けてたぞ 」
「 っ……リアン、よくやった…… 」
赤子は少し衰弱してる気味だが、生きてるのは間違いない
受け取り優しく抱けば、赤子は小さく泣いた
「 なっ、えっと、水!? 」
「 あの……貸してくれませんか? 」
「 アメリア王女? 」
「 私、まだ出ますから 」
出るって何を?って疑問になる俺達に
彼女へと赤子を差し出せば、彼女は少し離れ、此方に背を向けたところで気付き、近衛隊は視線を外す
「 私の赤ちゃんは、産まれて直ぐに星になったんです……。相手は国民で、それをお父様が怒って。他のお見合いになって…… 」
赤子に乳を上げながら、優しく告げたアメリア王女の言葉
王家に子供が生まれたなら、近衛を含めて誰もが祝うのだが
相手が国民なら……王様は怒るだろう
「 君は其でいいのか? 」
「 いいのです。それが私の、新しい人生ですから……。ほら、お腹いっぱいだね 」
赤子がゲップをするまで丁寧に、相手をしたアメリア王女に俺達は何も言えなかった
王家に仕えてるはずなのに、今、彼女を他の国にやることは気に入らないと少なからず此所にいる誰もが思っただろう
「 はぁー、考えるのは仕方ないが。俺達は騎士だ。そんな事より先に進む方が優先じゃないか? 」
暗い空気を変えたのは、尊敬するアンドリュー隊長の言葉であり
俺達は其々に武器を持ち直し、コカトリスを立ち上がらせる
「 進みましょう。私を国に連れていってくれますか? 」
「 其が命令なら、俺達は命を掛けて貴女を国に送ります 」
「 はいっ! 」
強い少女へと一瞬でも心惹かれたのは分かる
けれど俺は近衛であり、今はまだやることがある
僅かな気の迷いは此れから先、役に経たないと思い気持ちに蓋をした
透明馬へと跨がり、彼女と共に赤子を前へと乗せれば、コカトリスへと乗った隊長達と共に国を目指す
「 ウォォォオン!!! 」
珍しい程に美しい満月が真上へと上がった夜中
シルバーウルフの遠吠えがまた聞こえる
「 走れ!! 」
アンドリュー隊長の言葉でそれまでゆっくり歩いていた、透明馬やコカトリスの脚を速め
岩の切れ目を走り抜けていく
「 隊長!上からシルバーウルフが!! 」
「 気にするな!この岩場を抜ければまた開ける、そこで倒せばいい! 」
「「 はい!! 」」
赤子を抱いた、アメリア王女が落ちないよう支えながら走れば
上から飛び降り、背後から走ってくる銀狼が見える
月の光が怖いほどに、俺達は開けた場所へと呼ばれてる気がする
どのぐらい走ったか分からないが、
銀狼の声が無くなったところで俺達は少し安心をした
国境にある岩場の間で休憩する目的と、此所なら他の部下が戻ってくるのが期待できるからだ
「 アメリア王女を運んでたなんて、そりゃ国の未来が関わるわけだ…… 」
「 言ってくれなきゃな 」
切れる緊張感と僅かな休息に
彼等は其々に座り込み、自身のコカトリスと共に休んでいた
俺の青毛をしたコカトリスもまた、透明馬に着いてこられて程に無傷であり主人に忠実だと思う
アメリア王女へと飲み物と食べ物を渡し、着いてきてくれコカトリスの頭を撫でる
「 よく頑張ったな、ありがとう 」
「 グァ…… 」
返事をし嬉しそうに頬へと嘴を押し当てる様子は、何処かリアンと重なる
「 アンドリュー隊長もどうしたんでしょ…… 」
「 国で一番最強と言われたあの人が銀狼に負けるわけないだろ…… 」
俺達を先に逃がすために、彼等は残った
その事に少しだけ胸が痛む
近衛同士で慰め合う中で俺はどんな言葉を掛けたらいいのか分からない
こんな時なら、リアンは鼻で笑ったりするのだろうか
「 と言うか、ルイス副隊長の聖獣どうしたんっすか?逃げたとか? 」
「 それ!現れなかったよな 」
助けてくれると思っていた、その言葉に
俺はリアンの声が聞こえない事に不安だからこそ、口は閉じた
「 聖獣なのに逃げたとか? 」
「 それは…… 」
「 んなことが有るわけ無いだろ 」
「「 !! 」」
突然と聞こえたよく知る声に、俺達は目を見開き
武器へと手をかければ、コカトリスの足音が聞こえ、そして暗闇から現れた人物に言葉を失う
「 彼奴は俺達を守るために足止めをした。そしてルイス、御前に贈り物だ 」
「 俺に? 」
アンドリューの姿と、彼の言った言葉の後に
他の死んだかと思っていた部下の姿も見え
安堵する
彼は贈り物があるとコカトリスから降りれば、その腕に大切に抱いていたものを見せてきた
「 っ、これは…… 」
「 生存者を見付けろって命令したらしいな?ちゃんと見付けてたぞ 」
「 っ……リアン、よくやった…… 」
赤子は少し衰弱してる気味だが、生きてるのは間違いない
受け取り優しく抱けば、赤子は小さく泣いた
「 なっ、えっと、水!? 」
「 あの……貸してくれませんか? 」
「 アメリア王女? 」
「 私、まだ出ますから 」
出るって何を?って疑問になる俺達に
彼女へと赤子を差し出せば、彼女は少し離れ、此方に背を向けたところで気付き、近衛隊は視線を外す
「 私の赤ちゃんは、産まれて直ぐに星になったんです……。相手は国民で、それをお父様が怒って。他のお見合いになって…… 」
赤子に乳を上げながら、優しく告げたアメリア王女の言葉
王家に子供が生まれたなら、近衛を含めて誰もが祝うのだが
相手が国民なら……王様は怒るだろう
「 君は其でいいのか? 」
「 いいのです。それが私の、新しい人生ですから……。ほら、お腹いっぱいだね 」
赤子がゲップをするまで丁寧に、相手をしたアメリア王女に俺達は何も言えなかった
王家に仕えてるはずなのに、今、彼女を他の国にやることは気に入らないと少なからず此所にいる誰もが思っただろう
「 はぁー、考えるのは仕方ないが。俺達は騎士だ。そんな事より先に進む方が優先じゃないか? 」
暗い空気を変えたのは、尊敬するアンドリュー隊長の言葉であり
俺達は其々に武器を持ち直し、コカトリスを立ち上がらせる
「 進みましょう。私を国に連れていってくれますか? 」
「 其が命令なら、俺達は命を掛けて貴女を国に送ります 」
「 はいっ! 」
強い少女へと一瞬でも心惹かれたのは分かる
けれど俺は近衛であり、今はまだやることがある
僅かな気の迷いは此れから先、役に経たないと思い気持ちに蓋をした
透明馬へと跨がり、彼女と共に赤子を前へと乗せれば、コカトリスへと乗った隊長達と共に国を目指す
「 ウォォォオン!!! 」
珍しい程に美しい満月が真上へと上がった夜中
シルバーウルフの遠吠えがまた聞こえる
「 走れ!! 」
アンドリュー隊長の言葉でそれまでゆっくり歩いていた、透明馬やコカトリスの脚を速め
岩の切れ目を走り抜けていく
「 隊長!上からシルバーウルフが!! 」
「 気にするな!この岩場を抜ければまた開ける、そこで倒せばいい! 」
「「 はい!! 」」
赤子を抱いた、アメリア王女が落ちないよう支えながら走れば
上から飛び降り、背後から走ってくる銀狼が見える
月の光が怖いほどに、俺達は開けた場所へと呼ばれてる気がする
1
お気に入りに追加
2,195
あなたにおすすめの小説

気づいたら周りの皆が僕を溺愛していた
しののめ
BL
クーレル侯爵家に末っ子として生まれたノエル・クーレルがなんだかんだあって、兄×2や学園の友達etc…に溺愛される???
家庭環境複雑だけれど、皆に愛されながら毎日を必死に生きる、ノエルの物語です。
R表現の際には※をつけさせて頂きます。当分は無い予定です。
現在文章の大工事中です。複数表現を改める、大きくシーンの描写を改める箇所があると思います。当時は時間が取れず以降の投稿が出来ませんでしたが、現在まで多くの方に閲覧頂いている為、改稿が終わり次第完結までの展開を書き進めようと思っております。閲覧ありがとうございます。
(第1章の改稿が完了しました。2024/11/17)
(第2章の改稿が完了しました。2024/12/18)

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる