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一章 聖獣への道のり編
04
しおりを挟む一度きりの関係だと、割り切ったルイスの言葉を聞けば俺がまた手を出すことは無かった
其でいい、俺達は主と召喚獣なのだから
敢えてそれ以上を求める事をしなくても気にはならない
死ぬまで離れることのない関係なのだから
人だった時よりも、今の時間はとても短く感じる
ルイスが近衛になり鍛練をしては、町の見張りや
幼い子供に授業を教えるなど
平和な日常が流れるからこそいつの間にか彼は二十歳になっていた
「 第一近衛隊!王からの命令だ 」
毎年行われるトーナメントで勝ち進め、
ルイスは第一近衛隊に所属するようになった
アンドリュー直下の部下だからこそ、此処に所属してから身が引き締まるのだろう
俺と同じくらいの身長になり、体格も良くなった彼を見ては誇らしく思う
「 隣の国へ四輪輸送馬車の護衛任務だ。途中に魔物が出たと言う場所がある。討伐より護衛を優先しろ! 」
「「 はっ!! 」」
「 魔物の種類はシルバーウルフ。大きな群れを成して商人を度々狙ってると聞く。其々は各コカトリスに乗り四輪輸送馬車の周りに配置する。国の此れからが掛かる任務だ、気を抜くなよ! 」
近衛隊を使うほどの輸送馬車
それの中身に何が入ってるかは聞くことはないが、彼等は知らない者を命懸けで護るのか
随分と、命は軽いじゃないかと思うが結局はその程度
俺は任務よりルイスを守ることを優先する為に、
この話は余り聞いてはなかった
各自、身支度をしコカトリスという鶏に似てるが大きく、そして脚の速い鳥は羽毛馬より戦闘向きらしい
狼の前に鶏を差し出してる気がするのだが、乗るための移動手段が他に無い世界なら仕方無い
「 リアン、ちょっといいか? 」
『 なんだ 』
鎧を身に纏い、自分が幼い頃から育ててるコカトリスに荷物を乗せ、馬具ではないが鳥具を乗せていた彼は俺の名を呼ぶ
姿を消して居た俺は、直ぐ近くへと立ち視線をやり見れば
彼は掛けてあるベルトを持ち俺の腰へとポーチを巻いた
「 此は他の奴に必要だ。非常食と飲み物が入ってる。持っててくれ 」
他の奴って言葉に気になるが、ルイスが持っていて欲しいと言うなら頷いておく
『 分かった 』
「 ありがとう、リアン。頼りにしてるぞ 」
人の言葉をこの姿でも話す事が出来てから
ルイスとの関係は前より相棒のように思える
俺の頭を撫でる彼の手に耳を下げ受けてから
号令の合図と共に、コカトリスへと乗った
其を見て姿を消し、ルイスに呼ばれるまでは彼の中で様子を見る
召喚獣だとしても常に外にいるわけではない
いや、中に入ることを学んだだけなんだがな
「 可笑しくないか?この人数で、四輪輸送馬車が一台なんて 」
「 確かに変だな 」
馬って言うからもっと羽毛馬みたいな可愛いのかと思ったんだが
大きな馬車を六体の馬が引いてるが、彼等の姿は鎧を纏ったスケルトン
骨しか見えない事にどんな種族なのかと気になるが、考えるのは止めた
近衛隊は馬車を見てから、呟いていれば
ルイスは心の中で問う
「( 城を出たら、中に何が入ってるか確認してくれ )」
『( 分かった、見てくるさ )』
「 第一近衛隊、任務開始だ 」
赤毛のコカトリスに乗ったアンドリューが先頭を歩き出せば、それに合わせて馬車は動き始めた
各メンバーが守るように配置し、ルイスは馬車の真横、左側だ
真後ろを彼の後輩が居るのだが、囮の様に見える
狼の習性からして、後ろにいる弱い者を狙うだろ
王は何を考えてるのか分からないと、俺は街を抜けルイスの合図と共に移動した
『 お邪魔しまーす…… 』
姿は見えない為に、そっと中を覗き入れば
暗い中に見えるのは詰まれた箱
匂いは火薬などがあるが、誤魔化してるように見える
『 こっちは武器、こっちは果物か……ん? 』
「 ……誰? 」
『 うわぁぁぁ!!? 』
「( リアン!? )」
物色してたら見つけた"もの"に驚き
シアンしか聞こえない声で叫んでから馬車を飛び出し、すぐにルイスの元へと戻る
『( ルイス!これ、武器とか食べ物の輸送じゃない!! )』
「( そうだろうな。護衛が多い。なんだった? )」
『( なんだった?というか、誰だったというか…… )』
「( はぁ?どういうことだ? )」
ルイスも気付いてたから聞いたんだろう
でも、俺はこんなの近衛がやる仕事なのか疑問になる
逆にもっと人数が多くてもいいんじゃないかと
俺はもう一度、馬車へと戻り
その膝を抱えて座り込んでいる少女へと視線を向け、心の中でルイスへと伝える
『( 第三王女 アメリア様だ )』
「( はぁ!!? )」
ルイスの気持ちもよく分かる
だからこそ、驚いたのだろうな
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