46 / 263
一章 聖獣への道のり編
08
しおりを挟む女の子達は肉体系は真剣じゃないにしろ
男の子達はちゃんばらごっこのように楽しそうに
振って遊んでいるように見える
最初はこんなものでいいのかと、少し離れたところでルイスやら周りの子達を見ていた俺は
ふっと感じた足音に気付き耳を動かす
「 聖獣を見るのは久々だ。御前、名前は? 」
『 まだ名を貰ってないから名乗れない 』
あぁ、やっぱり俺の為に獣人の姿になったんじゃないかって位に、アンドリューは他の生徒に感付かれないよう、辺りを見たまま声をかけてきた
横たわったまま返事をした俺に、彼は檸檬色の瞳を俺へと向けた
「 それで姿が見えないんじゃないか? 」
『 見えない? 』
ん、それと此は別に理由が有るのかと
顔を上げた俺に彼は腰に手を置き、少し考える素振りを見せては言葉を続ける
「 聖獣召喚した時に直ぐに、名を与えるのだが、其を貰ってないなら契約は半分クリアしてる程度だろ。名を貰えばいい 」
『 其をルイスが気付くまで、なにも言うなよ。調べて頑張ってるんだ 』
「 ははっ。言わないさ。君は過保護だな 」
もし名前をつけてなくてルイスから俺が見えないのなら、其を調べ上げてから俺の名を呼べばきっと良いのだろう
その為に、他の誰かの力を借りる気はない
軽く笑ったアンドリューを見てから俺はもう一度、ルイスへと視線を向けた
「 だが、少しは手伝わせてくれ 」
『 なにをだ? 』
余計なことをするなよ!と忠告を入れる前に、アンドリューは生徒の方に歩いていき
手を叩き音を鳴らした
「 はい、そこまで。皆聞いてくれ 」
身体を動かしていた生徒は息を切らして、アンドリューの方へと見れば
彼は爽やかに笑った
「 剣の使い方が慣れたところで、俺と手合わせをしよう。勿論、真剣で斬り付けても怪我する事はないだろ。誰からやろうか? 」
あぁ、よく言う
先輩が後輩へと力の差を教え込むあれな
最近もレベルの差を、なんて言ってた緑色の狼の顔が頭に浮かぶ
彼奴よりは手加減も、この手合わせに意味があるのだろうが
やっぱり俺はそう言うのは好きじゃないと、耳は下がる
誰がやりたい?と生徒を見るも彼等は騎士であるアンドリューを知っている
そして剣に初めて触った子もこの中にはいるだろ
誰がいく?御前行けよ、そんな自分では無い誰かを誘うなかで
考えていたルイスは一歩前へと出た
「 俺が、俺がやるよ! 」
「 ではルイス。手合わせしようか 」
ルイスの性格を知ってたな、この男
自分から来ることを分かってたかの様に、笑みを溢した
爽やかなのに腹黒いアンドリューは敵に回したらきっと、一番厄介な感じに見える
生徒が離れ、二人で向き合うようになれば剣を構えたルイスに彼は獣人の姿から人へと変わった
体格差が無いようにするためか、それとも人間相手に斬り付けられる精神を鍛えるのかはわからないが
人の姿になったところで、ルイスの表情が一瞬歪む
「 制限時間は十五分。それまで休むこと無く切りかかって来い。君の実力、俺に教えてくれ 」
「 はっ、やってやる! 」
「 失敗野郎頑張れよ!! 」
「 直ぐにバテたりすんなよー! 」
応援なのか、してないのかわからないが
生徒の声に気に求めてないルイスは
結構一つの事に集中すると周りの音は聞こえなくなるのだろう
冷や汗を掻いたように、眉を寄せてるも斬り掛かる気はあるよう
その意思に気付き、アンドリューもまた剣を抜いた
「 それじゃ、始め!! 」
合図を出したのは、彼の部下である同じ騎士で
サブ教師としていた
彼は人間らしいがモブだと俺の中で思っておこう
「 はぁぁぁあ!!! 」
「 勢いはいいな! 」
勢い良く斬りかかると言うより突っ込んだルイスに、アンドリューは軽々と避けていく
剣を抜いてるのに必要ない気もする
それだけ彼が圧倒的に強いことは分かる
「 踏み込みが甘いな、もっと力強く 」
「 くっ! 」
剣を振るっては軽々と避けるアンドリューに、ルイスは翻弄されていた
何となくルイスが負けてるのが気に入らない俺は、座っていた体勢から身体を動かし立ち上がる
「 君、聖獣召喚すると魔力が常に食われてるって知ってるか? 」
「 はぁ?なにが 」
「 だから強くならないと、魔力食われて先にバテるぞ 」
「 ガハッ!! 」
『( ルイス!! )』
容赦無く蹴り飛ばしたアンドリューに、ルイスの身体は浮き、地面へと転がった
急いで駆け寄る、俺は起き上がる彼を見上げては爽やかに笑ってるのを睨む
『( やりすぎだろ )』
「( 此のぐらいしないと、ダメだろうに )」
「 はっ……。もっと、強くなります…… 」
蹴飛ばされた事に怒るわけもなく
ルイスは敗けを認めて頭を下げた
丁度時間なのか、騎士は片手を上げる
「 そこまで! 」
時間いっぱいに剣を振るっていたルイスは
呼吸を荒くしてから立ち上がり、剣を鞘に戻しては御辞儀をし、生徒の元に戻る
「 御前すげーな!! 」
「 えっ? 」
「 よくあんなに動けるよ! 」
「 この剣、すげー重いのに!! 」
『( なんだ…仲良くなれたか )』
俺が心配するより子供達は素直で
頑張りを受け入れた子は笑顔を向ける
ルイスもまた、何処か照れたように笑うのを見ては俺の中で少しだけホッとした
1
お気に入りに追加
2,188
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる