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一章 聖獣への道のり編

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神様の与えた追加オプションは
どうやら人間界でも使えるようで 
黒手袋をした手やら、ロングコートの服を見れば
大人の姿になっているのだと気付く

『 まぁ、此なら世話出来るか 』

神の庭にて月が出る度に人の姿になっていた為に、今こうして変化しても驚く事はない
そんな事よりもルイスの靴を脱がせる事が出来る事にベッドへと近付き、片手で靴を支え
紐をほどき、紐ブーツの靴を脱がす

ベッド下へと揃えて置き、彼の身体へと布団を被せその幼い表現へと視線を落とす

『 ゆっくり休め。ルイス 』

髪に触れようかと手を伸ばすも、起きそうな感覚がした為に手を引っ込め僅かに眉を寄せる

『 獣の姿に慣れるとスキンシップが増えるな……。ちょっと我慢しよう 』

髪へと頬を擦り付けたい感覚を堪え、片手の拳を握り締め、獣に慣れたことで会いたかったと飛び掛かるのも考えなきゃならないな

『 シロのスキンシップが過激だから……。くっ! 』

自分で言って慣れ過ぎていたと実感する
握った拳を程き、ベッドへと腰を降ろし身体を開いてるスペースへと横にすれば目を閉じる

傍に居るだけで、安心感さえ感じるのは
俺が召喚獣へとなったからだろう
昔なら他人の横で寝れるわけが無かった

元人間と考えるのではなく、今は聖獣だからと考えていた方が自然体で居られるのかも知れないな……

眠る間は本能的に獣の姿へと戻る為に
朝、太陽の光が差し込む時には子犬へとなっていた

「 やべっ、遅刻する!! 」

『( ルイス起きたのか )』

まだ俺の姿は見えないようで、彼は靴を履いてないことに疑問になること無く
バタバタと急いで準備をしていく 

俺もまた起き上がり身体を伸ばして背伸びをし、ベッドから飛び降りては、着いていく

「 朝飯~!! 」

子供は元気だな、そう思ってはルイスが食堂へと急ぐ様子を保護者感覚で眺めていた

「 朝御飯、間に合った!? 」

「 えぇ、おはよう。まだ有るわよ 」

「 おは、ようございます…… 」

食堂らしい場所は他の子達もいるようで
給食のようにあの綺麗な女性と、他の大人達も配っていた
トレーを持ち、其々の前に行き受け取るやり方を見てるのだが
ルイスはあの女性と会うと硬直するみたいだな
初々しくて笑える

「 どうぞ、しっかり食べて今日も勉強頑張ってね 」

「 は、はい 」

そんな動揺しなくとも、普通にしている岳で
日本じゃクラスに一人は居そうな程にイケメンなのに勿体無いな
シャキッとしろ、なんて言いたいが言える訳もなくルイスはトレーを持ち、空いてる席へと視線をやる

「 向こうに座るか…… 」

生徒を見れば、彼等の傍には妖精の姿がある者と無い者がいる
必ずしも誰もが精霊召喚に成功してるわけじゃ無く
上手くいった、又は聖獣と同じく相性のいい妖精が居たってだけなのだろうが
生徒の中には妖精が居るだけで鼻が高い奴も居るのだろうな

「 いただきます……。今日は豆のスープか、あんま好きじゃ無いんだよなー。はぁー…… 」

『( 好き嫌いは良くないぞ )』

椅子を器用に使って、テーブルへと上がった俺は今日の朝御飯を見る
豪華では無いにしろ、朝御飯にしては量がある
流石、勉強を教えれることの出来る孤児院だけあるな

豆のスープに、パン、シーザーサラダ、牛乳みたいな白い飲み物だってある
スプーンを持ち嫌そうに食べるルイスだが、残すことは無いようだ

「 おや?此は召喚失敗のルイスでは無いの 」

「 ……エリザベス 」

エリザベス、なんかお嬢様みたいな名前だな、と思って顔を上げれば
如何にもって感じの金髪でウェーブのかかるロングの髪をしたルイスと同じ位の女の子が立っていた
肩には金色身体をしてる、少年っぽい妖精が居る

直ぐに精霊召喚出来た、勝ち組なんだと察する

「 お兄様から聞いたわ。退学は免れたそうね 」

「 まぁーな 」

余り関わりたくないように視線を外すルイスだが、エリザベスの言ったお兄様って言葉にじっと視線をやる

『( えっ、まさかの理事長が兄?あーー、そんな感じする…… )』

鼻の形は良く似てるし、きっとこの子も爽やかに笑えば理事長みたいな胡散臭い笑顔になるだろ
見た目は可愛くてお人形さんみたいなんだが、性格が残念なら勿体無いな

「 お兄様に慈悲をかけられたのよ。せいぜい、精霊召喚出来るといいわね。オホホホッ 」

「 ははっ。そうだな 」

ルイスはこういうタイプの子には適当に笑って返すのだな
触らない方がいい相手なのはよく知ってるように思える
高らかに笑って立ち去ったエリザベスと言う女の子に、俺は自然と舌を出していた

『( べー )』

「( べー! )」

見てないと思ったのに、エリザベスの肩にいた精霊が振り返り、同じく舌を出した事にドキッとする
やっぱり精霊には俺の姿は見えてるようだ

「 はぁ、精霊召喚な…。あの子犬、何処に行ったんだろ 」

頬杖を付き溜め息を吐く、ルイスに俺は此処にいる、なんて言えたらいい事に少しだけ悲しくなる
何故見えないのか、俺が見せようとしてないのか

其すら俺には理解できないから
役立たずな聖獣ですまないと心の中で謝った

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