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一章 聖獣への道のり編
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しおりを挟む優しげに頭を撫でられる感覚に、心地よさ気に堪能していれば
何処かで聞き覚えの有る声にうっすらと目を覚ます
辺りはキラキラと光、眩しい気もするが目が慣れて無いだけと気付く
『 俺、しんだ……? 』
「 なに、死ぬわけなかろう。契約が解除され里帰りしただけよ 」
『 里帰り… 』
やっぱり聞き覚えがあると、身体を起こせば冷たい地面ではなく
真っ白な布の上に居ることに気付き、ふっと顔を上げればそこには自称 神様の姿があった
『 うわっ!? 』
「 そこまで驚くこともないだろ? 」
なんでこの人の膝の上で寝てるんだと、焦って離れれば地面へと倒れ
身体を起こしてから自分の尻尾が揺れることが見えた
『 尻尾が動く!はっ、首も動く! 』
「 だから死んではないと言っておるだろ 」
『 俺は死んでない…?あ、ノアは! 』
そうだ、ノアが居る筈だと辺りを見渡せば
此所は死後の世界か?と思うほどに一面、淡い様々花が咲き誇り草も心地好く揺れていた
明らかにあの嫌な城ではないことを知り、もう一度青年を見上げれば彼は密かに眉を下げた
「 氷牙、里帰りと言ったであろう? 」
『 …俺は此処の生まれじゃない 』
「 いや、此処で生まれたのだよ。そして此処が故郷なのだ。我が子である、聖獣のな 」
『 …聖獣 』
言葉にしなくとも、ノアが死んだことは察する事が出来た
心の何処かであった繋がりがプツリと切れたように、今は気になる程でもないと思ってしまう
それより故郷と呼ばれた此処に戻ってきたことで、俺の本能は安堵してるようにも思える
「 此処は聖地、神の庭 」
『 神の庭… 』
庭ってことはまだ他に城とか、街とか在りそうだなって勝手に思うが
広々して何処までも先が続いてるそうなこの場所に、果ての地は有るのだろうかと思う
「 聖獣は此処で生まれ、そして必要なときに力が有る者に呼ばれる 」
『 ノアが住んでた場所と、此処は違うのか? 』
「 そうな、人間界と此処はまた違う空間なのだ。天界と言った方が分かりやすいかの? 」
『 あぁ…なんとなく…… 』
ゆっくりと自称 神様の横をついていくように歩きながら、言葉を聞いていた
此処は人間達が暮らす世界とは切り離された空間であり、聖獣を創った命を司る神様とその聖獣しか来れない、彼の庭
神様には其々、自分の空間を所有しそして時より人間界に知恵やら技術やら、自分の得意なことを与えてると言う
けれど、それは人間に求められて与えてるのではなくほんの気晴らしらしい
「 聖獣もまた、私のオモチャ。つまらない人間界に貴重なものを落としたらどんな反応するか見ているのだ 」
この神様は無慈悲だ、死ぬことのない命を創り
そして人間界に落として、どんな反応するか楽しんでる
少しだけいい人そう、なんて思ったのだが
話を聞いていてその考えは無くなった
楽しそうに話す横顔は、楽しい暇潰しをしてる
子供のようで無邪気だ
『 俺は、人間を止めたら……次はオモチャか 』
「 過去を引き摺るな。気になるなら一回、一回記憶を消せるオプションをつけようか? 」
『 いらない。覚えておくことに意味があるんだ 』
「 本当、可愛いげのないの 」
記憶を消すなんて、そんなのは簡単だろうが
折角、前世の記憶やらノアと出会った記憶があるのなら消すなんて勿体無いことはしない
学んだこともある、この世界の事や俺の事
俺はどうやらノアの"召喚獣"だったらしい
『 可愛いげなくていい…俺は、ノアの召喚獣だったのに、助けることも出来なかった…… 』
「 生まれたばかりの聖獣に求めても何もできはしない 」
『 俺は強くなれるのか? 』
ノアのように無意味に殺される子を守れるほど、強くなれるだろうか
大きくなれるだろうか、その期待を胸に顔を上げれば自称 神様は猫のように目を細めては視線を大地へと向けた
そこは数多くの聖獣の姿があった
『 わっ…… 』
「 召喚した主が弱ければ一度の力は得られない。だが、何度も繰り返し経験する事で、いつしか人々の記憶に残る聖獣になるものよ 」
『 繰り返す事で強くなれる…… 』
「 嗚呼、ひと握りしか存在しないが、いつか御前も″最高クラス″へとなれるだろう 」
俺よりデカい者や、美しいほど鱗が光輝く者、空を自由に飛ぶ大きな翼を持つ者も
まだ中ぐらいの者達が集まって遊んでるのを見ると胸は高鳴る
「 氷牙、君は此処に来る前に生まれて直ぐ、召喚主に呼ばれたが次に呼ばれるまで此処で自由に過ごすとよい。争うこともない平和な地だ 」
『 次に呼ばれるまで…… 』
「 あぁ、そしてまた戻ってくるのさ。何度もな 」
俺の故郷、そして俺が生きていく為の場所
あんな風になるのかと少し胸が高鳴れば脚は動いていた
最高クラスとは、よく分からないが今はなんだか楽しいと思う
『 挨拶しに行っていいか! 』
「 好きにするとよい。私は何処にいても我が子を見守っている 」
強くなることを聞けるだろうか
どんな経験をしたのか
色々聞きたくもなるし、見たことのない動物達に
会いに行きたい為に転げながら追い掛けた
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