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一章 聖獣への道のり編

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ノアと共に商人の目を盗んで、馬小屋へと近付けば羽毛馬と呼ばれる
フェザースティードは此方に気にする様子もなく足元にある藁をむしゃむしゃと食っていた

鼻に付く草食動物の匂い、人間の時に嗅いだ
動物園のふれあい広場より遥かに鼻に来るんだが、この身体の嗅覚はとてもいいらしい
けれど、羽毛馬の糞、藁、体臭の他にこの町では嗅いでない遠い砂の匂いもする

「 わたわただー!ふかふか! 」

温厚なのだろ、羽毛馬が食べてる間に腹へと抱き着いたノアを横目に俺は匂いを嗅いでいた
もう一頭の方へと近付き、嗅ぎ慣れない匂いを嗅ぐために足元をクンクンと匂っていた
匂いフェチではないが、この身体になってから様々な匂いが気になる

『( んー、森の匂い? )』

「 そうさ、私達は商人を乗せて旅をするからねぇ 」

『 なるほどな……んっ!? 』

聞こえてきた声に驚いてビクッと身体を跳ね、
少し後ろへと下がれば食べていた羽毛馬は俺の方へと顔を向けていた
今、喋ったのコイツか?と思うより馬は歯を見せ笑う

「 そう驚くことも無いさ。同じ獣。話が通じる。人間には私達の言葉は分からないけどねぇ 」

『 同じ獣……あぁ、そうか 』

今は人じゃない、視線に写るノアには言葉が分からなくとも獣なら言葉が分かる
何も驚くことは無いなと納得し身体を動かし、羽毛馬の足元へと近付けば
彼女は脚を折り横たわった、自分より大きな巨体が動くことで少し怖かったが
此方に気を付けてくれたのだろうか、動きはゆっくりだ

「 君は珍しいねぇ 」

『 なにがだ? 』

俺が腹辺りの羽毛に触れなかったのを気付いてか、許可をしてるような彼女に
様子を見ながら羽毛へと顔を近づけていれば呟かれた言葉
顔を向ければその丸い瞳と長い睫毛は一度ゆっくりと瞬きをする

「 君は肉食だろう。けど私達に殺意を向けないからさ 」

『 肉食…… 』

肉食の見た目なのか、何となく犬みたいな外見だと思うのだが、其が当たってるのか知らないが彼女は言葉を続ける

「 旅人をしてると銀狼やらに遭遇するのだが、彼等は私達を獲物としか考えてない。
けれど君は違うように見える 」

銀狼・シルバーウルフは何かで聞いた事はある
名前の通りに銀色の毛並みを持った狼の事なんだろ
まるでファンタジーの世界だなと、内心笑えるが彼女の言葉からして命を狙われたに違いない
銀狼とは違うさ、なんて笑うことも出来ずに俺なりに考えを返す

『 俺は飼われてるから、腹は空いてない 』

「 あははっ!腹が空いてたら噛みついてたってことかい? 」 

『 それは否定しない 』

馬が高く声を上げる時の声が混じるように聞こえ、笑う彼女に少しだけ口角は上がる
そう、お腹を空いていたらこの身体は本能的に喰うかもしれない
けれどノアに会ってから空腹を知らないから、何とも言えない

「 あははっ。まぁ、君が噛み付いてもその小さな歯では痛くも無いだろうけどね 」

『 小さな歯……あ、俺の姿ってどんな見た目なんだ? 』 

舌で歯並びをなぞれば確かに小さく思える
それなら話が通じる彼女に問えば、少し驚かれた

「 自分の容姿も知らないのかい?なら、見てみるといいさ 」

『 見る…… 』

どうやって見るのだろか?と思えば
視線の先にあるのは彼女達が飲む為に置かれたバケツ
この中には水が入ってるようで、俺は誘われるままにバケツへと近付いた

『 ……可愛いげない容姿だったり気持ち悪かったらショックだな…… 』

バケツを覗く前に、一度自分の容姿を見て幻滅したらどうしようかと考えてしまう

此れから一生、この丸っこいボディーとお友達になっていないといけないと考えると
頭の血の気は引く

『 ……まぁ、でも体型を知ってても悪くはないよな…… 』

去らば、俺の人間での姿と記憶
初めまして此れからの丸っこいボディー!

ごくりと生唾を飲み込み、恐る恐るバケツに前足をかけ覗き込んだ

『 ……… 』
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