上 下
52 / 81
九話 囚われた海賊

01

しおりを挟む

翌朝に目を覚ましたウィンドは彼の姿がないことに直ぐに気付き何時もの事だと思いながら服を掴む

『 シャワー...借りるか... 』

海の上の生活が長い海賊にとって真水は貴重だが唯一、キャプテンであるデリットの部屋の奥に備え付けられたシャワールームだけは自由に借りれる
前に航海士の部屋を与えられたときに許可を貰っているのだ

『 海水でもいいんだがな...ベトベトするか 』

人魚のウィンドにとって海水で身体を洗っても問題ないと思いながら部屋の奥の扉を開き脱衣場にて脱ぎ捨てていた服を置けば布で仕切られたカーテンの向こうに行きシャワーの蛇口を捻り水を出す
湯も出せるらしいがまぁいいかと、思いながら頭から洗い流し花の香りがする固形石鹸を掴み手で僅かに泡を立て其を全身へと付け、石鹸を少し洗い元にあった場所へと置けば手で身体を洗っていく

『 ...これは...っ! 』

不意に触れた裏の太股にある物へと指で撫でればそれが何かに気付き目で見れば眉は寄る

『 鱗...デリットは、気付いてるのか?いや、だが... 』

こんなものを見せたら気味悪がる筈だと他に無いか探せば其よりも多いキスマークの方が見てて恥ずかしくなるとウィンドは鱗を探し腰と、肩にもあることに息を吐く 

『 ...寝てるときになったか。それとも前から、いやそれならデリットがこれなんだ?位には聞いてきてもいい筈なんだが...寧ろ、背ビレも其なりに目立つんだが... 』

背骨へと手を滑らせれば撫でれば分かるほどぼこぼことしてる事に人間らしさが無くなってることに溜め息は漏れる

もし、死ぬ前に気持ち悪い魚類にでもなったらどうするんだと考えれば青ざめる

『 え、まさか...俺は人魚として死ねば、魚類になるのか!?深海魚とか...それこそ、デリットが嫌がるだろ... 』

出来れば若く居たい、同じぐらいの感覚だと嬉しいと思っていたがこうも魚っぽい鱗などが出てたら気持ち悪いなと一人落ち込み、石鹸で頭も全て洗えばシャワーで流し服を掴む

『 ...はぁ、時間がないってのも辛いな 』

やっと会えたと思ったらもう時間がない事にウィンドは服を着直した後にデリットがいつの間にか外していった自身の小物を付けていく 
腰にヒップホルスターをぶら下げ拳銃と銃弾を確認し太股に左のナイフ入れを付け
立て掛けていた剣を腰へと下げ他に無かったかと思い見渡した後、靴下を履き紐靴を履けば部屋を出る

まずは外の天気でも見るかと甲板へと脚を向けたデリットはやっぱり海風は好きな為に大きな背伸びをする

『 ふぁー気持ちいい。もっと早く海賊になってればよかったな 』

海風がこんなに気持ちよく晴れ渡る日が上る朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいればスタンと背後に降り立った音が聞こえれば彼は振り返る

『 お、おはよう。スクード。不寝番? 』

「 !! 」

背後に居たのはスクードであり、ウィンドな言葉通りの不寝番であり彼がおはようと告げようとするも首筋に見えた何ヵ所にもあるキスマークにあわあわとし、自分の頭に巻いていたバンダナを外せば彼の首へと巻き隠すようにスカーフの様に結べば満足げに笑ったところでウィンドは見つめる

『 ん?ありがとう。そう言えばスクードって...短髪で褐色肌だが...男っぽくないよな? 』

身長は其なりに有るけどと手術した時を含めて思い出せば前にデリットが言ってた" つるぺたの奴に興味ない "的な事を思い出せば手を伸ばしその胸へと触れた

「 !!!? 」

『 つるぺ...たぁ!! ガハッ!! 』

「 ...! 」

二発殴ったスクードは親切を無にしやがってと怒れば歩いてきていたデリットへと抱き着いた

『 みぞ、うちにはいった... 』

「 ウィンド、朝からなにセクハラしてんだ? 」

『 キャプテン...じゃ、まさか...お、女の子!? 』

デリットの言葉にウィンドは驚けば、スクードは顔を染めた後にふるふると首を振りデリットの胸元に顔を埋める

「 女、扱いはしてないが。女の子だよな?モノはねぇし?あぁ、それとおはようスクード。不寝番御苦労様 」

顔を下げたデリットにスクードはごく普通に口付け重ね挨拶をすればウィンドは目を見開く

『 なっ!?なにしてるんだ!! 』

「 御前と同じ事をしてるだけだろ?まぁ、スクードとはヤってないが...キスぐらい挨拶だろ 」

『 お、俺は認めない!! 』

何故かふてくしたウィンドはその場を走り去ればデリットとスクードは顔を見合わせ首を捻れば彼は久々にバンダナを外した彼の髪に触れ笑みを溢す

「 髪を伸ばしてはみないか? 」

「 ...嬉しい?伸ばすと。」

「 見てみたいだけさ。御前は似合いそうだ 」

「 !!伸ばす。邪魔....ならない....程度。」

「 嗚呼、楽しみにしてる。朝飯食いにいくぞ 」

スクードは軽く頷き離れればデリットの後ろに付いていきながら戦闘に揺れて邪魔な為に切っていた髪に触れれば少しは伸ばしてもいいかも知れないと内心思いながら食堂へと向かう
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結済】星瀬を遡る

tea
BL
光には前世の記憶があった。かつて人魚として、美しい少年に飼われていた、そんな記憶。 車椅子の儚げで美人な高身長お兄さん(その中身は割とガサツ)と彼に恋してしまった少年の紆余曲折。 真面目そうな文体と書き出しのくせして、ー途(いちず)こじらせた男でしか得られない栄養素ってあるよねっ☆て事が言いたかっただけの話。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...